10 / 80
本編
魔道具技師の願い
しおりを挟む「ぼく……?」
「……お主が悲しんでおったのは、失敗したから……というだけではあるまい。守りたいものを守れなかった……そういう想いもあったはずじゃ」
「……うん。助けてあげたかった。あの子達はまだまだ役目があった。魔道具だから命があるわけじゃないけど、もっともっと頑張りたかったと思うんだ」
「うむ。……勇者ハヤト、騎士ゴウシュ、エルフのフィーネ、そして魔法使いの我。我らは戦力はあるだろう、……だがそれだけでは……やがて立ち行かなくなるであろう」
ミーグは少し下を向いたあと、再びシャンを見た。
「共に来てはくれないか、シャン。無理強いはせぬが、我らにはお主のような、構築し、補える者が必要なのじゃ」
少年のような見た目でありながら、ミーグの放つ言葉には百年を超える時の重みがあった。
初めて見る彼の強い眼差しに、場の空気が張り詰める。
「……ぼくでいいの?」
「我はお主がよい。決めるのはお主だがの」
シャンは拾い集めた魔道具のパーツを胸に抱えじっと見ていた。
ミーグはそれを静かに見つめながらシャンの言葉を待っているようだ。
シャンは、きゅっと唇を噛んで目を伏せたあと顔を上げた。その目には強い光が宿っていた。
「ぼく、いく。もうこれ以上この子達を悲しい道具にしたくないもん」
「……そうか」
ミーグは優しい顔で微笑んだ。
「じゃあ親方に言ってこないとね!よおし!ぼくとみんなとぼくの魔道具たちで魔王やっつけちゃおー!!」
おー!と片腕を突き出し笑うシャンに、皆ホッとした様に笑った。ミーグがシャンを勧誘しだした時は驚いたが、よく考えるとやはりシャンみたいな人がいてくれるだけで旅の進め方も、パーティの雰囲気も良い方向に違ってくるのだろう。
「よく言ったぜシャン!俺もお前なら大歓迎だ!」
ゴウシュはシャンとガッシリ肩を組み、空いている方の手でシャンの頭を撫ぜまわす。
「ふふふ、賑やかになりそうやなぁ。シャンみたいな子が入ってくれるなんて嬉しいわぁ。これからよろしく、シャン」
フィーネはじゃれ合っているゴウシュとシャンににこやかに声を掛けた。
「……これから一緒に頑張ろうな、シャン」
俺もそう声を掛ける。
「うん!みんなよろしくね!!ぼくの魔道具たちも一緒によろしくだよお!」
シャンは嬉しそうな晴れやかな顔でにっこりと笑っていた。
――
「はあ?もっぺん言ってみろ、シャン」
「だーかーらぁ!ここにいるみんなとね、魔王をやっつけに行くんだってば!」
「魔王を?お前が?」
「そうだよー?勇者のハヤトとー騎士団長のゴウシュとー魔法使いのミーグとーエルフのフィーネだよ」
シャンに「こっちだよー」と言われるがまま着いてきたシャンの親方の家(多分)。
家主の許可もないまま引っ張られるように家に上げられ、挨拶する間もなく、中にいた強面の男性にシャンが「おやかたぁ、ぼく魔王倒してきちゃうねー」と言ったものだから、中にいた親方(きっと)とシャンの言い合いが始まってしまった。
せめて自ら挨拶させて貰いたかった……!
41
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる