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本編
娘さん(?)をください!
しおりを挟む「シャン、ストップ!俺から話をさせてくれないか?」
「ゴウシュ?」
シャンに任せたままでは、話が進まないと思ったのだろうゴウシュが、シャンを庇うように前に出た。
「お前は?」
「王立騎士団、団長のゴウシュと申します。ご挨拶が遅くなり大変申し訳ございません」
「……王立騎士団のゴウシュ。そういえば凱旋パレードで見た団長もアンタみたいな赤毛だったな」
「ゴウシュ、パレードしたの?いいないいなー!ぼくもみたい!」
「……ご覧頂きありがとうございます」
姿勢正しながら挨拶をしたゴウシュは、さっと床に膝を着く。
「シャンと共に旅に出る許可を下さい……!」
勢いよく土下座のように身を伏せたゴウシュは、力強く声を張った。
え?娘さんを下さいのやつじゃん、これ。
「ゴウシュ~♡」
シャンは感激したようにゴウシュの背中に覆いかぶさって頬擦りをしている。
「何でこいつなんだ。こいつよりも腕のいい技師なら他にも沢山いるだろうが」
親方が重く、低い声を出しゴウシュを睨んでいる。
ゴウシュは少し頭を上げ、しっかりと親方を見据えていた。
「……確かに、腕のいい技師は他にもいるでしょう、ですが、シャンは暴発した魔道具を『助けてあげたかった』と言いました。それに沢山の技師が住むこのグラズで、あの暴発を止めようと広場にいたのはシャンただ一人です。俺たちの旅の仲間はただ技術がある、魔法や剣の腕がいい、それだけではダメなんです。誰かを、何かを助けたいと手を伸ばし、危険な時ほど前に出る。その勇気と優しさを持つシャンだからこそ共に歩みたい」
親方はゴウシュの言葉を腕を組みながら聞いていた。その目には僅かな揺らぎが見えた。
「……はぁ。そこまで言うなら好きにしろ。そいつの面倒見るのは骨が折れるぞ」
親方は小さく笑った。
ぶっきらぼうだがシャンに対する愛情を確かに感じる優しい声だ。
「やったー!!!」
シャンは押し倒す勢いでゴウシュに飛びついて、ゴウシュはそれをホッとした顔で受け止めていた。
――
「ほっほ!新しい仲間も加わって幸先がいいのぉ!」
流れでシャンの親方のお宅で夕食を頂いたあと、シャンには旅の準備をしてもらうため、一旦別れた。
なるべく早く旅を進めたいが、準備は万全にしておきたい。そこでグラズには今日をいれて3日程滞在する予定になった。
上機嫌なミーグは宿の食堂でワインを楽しんでいる。
「だなぁー、よくよく考えたら俺たちマメな方じゃねぇし、ああいう細けぇ事が得意そうなやつは必要だよな!」
ゴウシュもその隣で、ビールのような琥珀色の酒を飲みながらご機嫌で相槌を打った。
「え?でもフィーネは料理とか得意じゃん」
「フィーネが得意なのはあくまで一般的な家事だけじゃ。細かいことはそやつも苦手よ。お主の剣をフィーネに整備させてみよ、もう戻せないぐらいにバラバラになるであろうよ!」
はっはっは!!
ミーグとゴウシュは酔っ払い特有の高笑いを響かせる。
「そこまで言わんでええやんかぁー、プロにしてもらった方がええのは当たり前やしっ!」
フィーネは珍しくぷくっと頬を膨らませていて、そんな顔もかわいいんだなー、としみじみ思った。
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