召喚勇者と関西弁エルフ

えびまる

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本編

ぬくもりを知った朝に

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ここからハヤト視点に戻ります。
いつも♡と御支援ありがとうございます。しおりも嬉しいです。ありがとうございます!

──

 ぼんやりと意識が浮上していく。
 ……朝か。そう思いながらもなんだか心地よくて目が開けられない。
 
 胸元にある何かを、ぎゅっと抱きしめてみる。
 それはとても温かくて、身体にぴたりと馴染んでいる。それに、どこか花のような優しい匂いがする。

 (こんな抱き枕持ってたっけ……?)

 疑問に思いながらようやく目を開けると、視界いっぱいに金色。

「……え?」
 
 そこには、フィーネの後頭部があった。
 しかも俺の腕の中にすっぽり収まってる。

 なにこれ、どういう状況?

「ふ、フィーネ……?」

 声をかけると、フィーネは少しモゾモゾ動いたあとゆっくりこちらを見た。

「……はやと?おはよお」

 ふにゃっと笑うフィーネは多分、まだ半分寝ている。
 その顔を見た瞬間、思わず腰を引いた。
 ――めちゃくちゃ朝勃ちしてる。やばい。

「ご、ごめん!寝ぼけてた!嫌だったよな……?」

 慌てて腕を離そうとすると、フィーネはふるふると首を振った。

「……いややないよぉ?はやと、あったかい……」

 そう言って、再び俺の胸元に寄ろうとするフィーネ。
 だけど途中でピタッと固まってしまった。
 
 ……起きたか。

「ご!!!ごめん!!!」

 バッと飛び起きたフィーネは、耳の先どころか首筋まで真っ赤に染まっていて、うるうると目に涙をためていた。
 それを見て俺の顔も、どんどん熱くなる。

「や、元はと言えば俺が悪いし……!」
「そ、それは全然大丈夫!ふっ、普通に熟睡してもーてたし!」
「な、ならよかった……!」
「う、うん!大丈夫大丈夫!こんなこともまあ、あるって!」
 
「……え?」

 なんて事ない、よくある出来事のように言うフィーネに、思わず低い声が出てしまった。

「……よくある事なの?」

 そう尋ねた俺に、一瞬きょとんとした後、しばらく何かを考えていたフィーネは涙目のまま少しだけ怒った感じで
 
「ある訳ないやろ、あほぉ。……てゆか家族以外と寝たの初めてやし……」

 と小さな声で答えた。
 その答えに胸のモヤモヤが晴れる。
 なんでモヤモヤしたのかはわからないけど。

「……ならいい。朝ごはん食べに行こうか」

 ベッドからそっと降りると、フィーネも慌てて続く。
 交代で洗顔と歯磨きを済ませ、廊下へでる

「……ハヤトこそ」
「……ん?」
「……いつも誰かと寝てたんちゃうん?」

 後ろから小さな声で尋ねてきたフィーネを振り返っても、俯いていてその表情は見えなかった。

「……?そういえば俺も、雑魚寝以外で人と寝るの初めてだ。……案外心地がいいんだな」

 他人となんて絶対寝られないと思っていたのに、フィーネと寝るのは何故か凄く安心出来た。
 
 ちょうどゴウシュとミーグが先に食堂へ向かうのが見えたので、その背中を追う。

 並んで歩きながら、ちらっと横を見ると、フィーネは耳まで赤いまま、必死に俯いて歩いてた。
 それを見たら、なんだかおかしくなって、自然と笑いがこぼれる。

「……何わろてんねん」

 フィーネがぼそっと言ったけど、その声も小さくて、まるで子猫みたいだった。

「別に。フィーネ、可愛いなって」

「~~~~っ!!!!」

 耳を真っ赤にしたフィーネは、何も言えずに口をぱくぱくさせたまま、ついてきた。
 何も言い返せないその姿が、またたまらなく可愛い。
 
 はー……ほんっと、可愛いな。
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