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本編
魔塔主の弟子
しおりを挟む俺自身もミーグを見ないようにしながら、事が終わるのを待つ。
「……んッ♡ん~ッ♡♡♡♡!」
ドサッと音がして、そちらを見ると青年はミーグを抱えたまま座り込んでいた。
ミーグの胸に顔を埋め、呼吸を整えているらしい。
「はぁ……っ♡久しぶりの師匠の魔力やばい♡満たされたぁ♡♡」
「それはよかったのぉ、ジルク。して?何か分かったのか?」
「んもぉ、いきなり本題?久しぶりに可愛い弟子に会えたんだからもっと優しくしてよぉ」
「久しぶりと言ってもたった5ヶ月程ではないか」
「5ヶ月と23日、4時間23分ぶりだよ!?妖精族の師匠からしたら一瞬なのかもだけどさぁー!」
呆れたようなミーグと、ぐりぐりと頭をミーグの胸に擦り付け甘える青年。
弟子?……ということは、この青年も魔法使いなのだろうか。時間が細すぎて少し怖い。
「ジルク、お前なぁ。人前では辞めろって言ってんだろうが。しかもいきなり現れやがって」
ゴウシュも彼を知っているらしい。
呆れたように声を掛けた。
「あん?いたのかゴウシュ……。あれ?フィーネもいんじゃん」
フィーネとも知り合いだったらしい彼は、地面に胡座をかいてミーグを抱えたままキョロキョロと俺たちの顔を確認していた。
「知らねぇ顔が二人だなぁ、じゃあこっちが勇者?こっちは?」
「ぼくはシャンだよー」
勇者と言いながら俺を指さし、次にシャンを指さす。シャンは聞かれるがまま素直に返事を返す。
「ジルク」
「なぁに?♡師匠♡」
「我は最低限の礼儀はお主に叩き込まなんだか?」
「え~?♡師匠のこと以外はどうでも良すぎて忘れちゃった♡」
すごい。
この人は徹底してミーグとそれ以外で世界を分けているのだろう。態度も表情も声もミーグとそれ以外で全然違っている。
そんな彼はミーグに頭を手刀で殴られて、涙目で頭を擦りながら立ち上がった。
「魔塔所属、魔塔主ミーグの弟子ジルク、よろしくお願いします」
ジルクは自己紹介をし、ぺこりと頭を下げた。
顔には思いっきり『不服です』と書いているが……。
「こちらは勇者のハヤト、そして魔道具技師のシャンじゃ。シャンは昨日から仲間になってくれたのじゃ。ハヤト、シャン。うちのがすまんの、ジルクは我の弟子で魔王についての調査を頼んでおったのよ」
「うちのだって♡照れるぅ♡でもその通りだからもっと言ってほしー♡」
「……仕事は出来るんだがの」
ミーグはジルクに抱きつかれたまま、少し呆れてはいるが、自分に100%な感じで好意を向けられて満更でもないのだろう。初めて見る、どこか優しい眼差しで微笑んでいる。
それにミーグが他人にベタベタ触られて受け入れているのを始めて見た。
前に王都でミーグをナンパした男性はミーグの肩に触れようとしてぶん投げられていたし。
というか、あんだけ濃厚なキスをぶちかましてたんだから師匠と弟子というだけではないのだろうな……。
『師匠ちゃんとご飯食べてた?♡』『あんまりお酒は飲んでない?♡』とか聞かれてるのを、全部無視してるけど……。
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