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オードブル
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158 オードブル
「いいかい?飲み物を持ってないやつは今のうちにもらって来な。あーそこ、まだ飲むんじゃない。今からケイが一言挨拶するからね。みんなもわかってるように、今日はケイとフェルの新居の御披露目会だ。王都に着いてから散々世話になったって言ってアタシらに飯をご馳走してくれるそうだ。ここは居酒屋じゃないからね。それなりに節度を持って飲むように。じゃあケイ、何か一言頼むよ」
こういうのは慣れてる人にお願いしたほうがいい。
会場を仕切るのはセシル姉さんに任せた。
僕は短めにみんなに感謝の気持ちを伝えるだけだ。
「皆さん。今日はお集まりいただいてありがとうございます。田舎の村から王都に出てきて4ヶ月。ようやく生活の基盤ができました。それも全てここにお集まりの皆さんのおかげだと思っています。本日はささやかではありますがお食事を用意いたしました。お酒もたくさん皆さんから差し入れていただいたので、今日は楽しんでいってください。これからもよろしくお願いします!」
「それじゃあ乾杯といこうじゃないか。ケイとフェルの新しい生活に!」
「「「乾杯!」」」
なんか結婚したみたいな感じに聞こえるけど、ただ家を借りただけなんだよね。
ちょっと大袈裟だ。
バーベキューコンロの炭を整えて、肉をどんどん焼いていく。タレはたくさん用意してる。近くのテーブルに小分けにしていっぱい置いた。
「いつも炊き出しの時食ってる肉より美味えじゃねーか」
よく炊き出しを手伝ってくれる冒険者がそう言った。この人はこないだポーションを取りに走ってきた人だ。くじ引きに勝ったのかな?
「良いお肉が市場で買えたんだよ。あんまり高級なお肉じゃないけど充分美味しいでしょう?」
「ウサギ、このタレやたら美味えぞ。お前絶対屋台やれよ。みんな毎日食いにいくぜ」
「なんかみんなおんなじこと言うよね。でもまだまだ勉強しなくちゃいけないことがいっぱいあるから。今は小熊亭で頑張るんだ」
「そういや、おめえが入ってからスープが美味くなったな」
別の冒険者がそう言ってくれた。
「ありがとう!こんど毎週火曜日限定で僕が考えたスープを出すことになったんだよ。今度食べにきて。初めてそのスープで師匠に褒められたんだ」
そう言うと冒険者がこぞって僕の頭を撫でてくる。
ひとしきりもみくちゃにされたあと、お肉を焼くのを冒険者たちに任せて簡易の調理スペースに戻る。
煮物の鍋の火加減を調節して、フライパンに入るだけ餃子を詰めて焼き始めた。
今日は天気がいい。
王都の空は高く澄み渡っていた。
料理を作るのが楽しい。
こういう風にみんなで笑顔で美味しいものを食べる会を開くのが夢だったような気がする。
ライツとガンツが餃子の取り合いをしてる。どっちが多く食べたかとか言い合いをしている。間に入ってなだめてるのはサイモンさんだ。恋人かな?少し小柄な女性を連れてきてた。
すぐに焼いて持っていくから2人とも待ってて。
奥のゼランドさんたちが座ってるスペースではあのメガネの受付の人がエリママに何度もお辞儀をしてる。
知り合いだったんだ。いったいどんな関係なんだろ。
あとで挨拶に行かなくちゃ。
2回目の餃子を焼き始めて、辺りを見回す。食べ物が足りないみたい。
家の中に走って行って保冷庫にあるものをとにかく持ってくる。
ポテトサラダを大皿に盛って、ゴードンさんからいただいたトマトを切って周りに並べる。
ゴードンさん一家の様子を見ると小さい子たちが焼肉に夢中だ。いかつい顔した冒険者たちが子供たちのために丁寧にお肉を焼いている。なんだか微笑ましい光景だけど、みんなが誘拐犯みたいにも見えるから面白い。
お浸しは少し温めてから大皿に盛った。
やっと手に入った鰹節をたっぷりかける。
焼き上がった餃子と一緒にテーブルに持っていく。
「ウサギ、大盛況じゃねーか。やっぱりオメーの作る飯は美味いな。最近は炊き出しに使う肉をギルドの依頼と一緒に受けてくれてるらしいじゃねーか。なかなかギルドでは細かいとこまで見れなくてな。助かってるぜ」
ギルマスがおにぎりを片手に持ちながらテーブルに置いたばかりの餃子を箸を使って器用につまんで大きな口で食べた。
箸、普通に使えるんだ。
箸は最初にみんなに一膳ずつ配っていた。ライツの工房でお弟子さんに手伝ってもらいながら頑張って作ったものだ。
今日のお土産にしてもらうつもりだったけど……みんなちゃんと帰りに持って帰ってくれるかな?
みんなだいぶ酔っ払ってない?
「ケイくん。これ大したものじゃないんだけど、解体部からの贈り物なんだ。ダン主任が今日はこれなかったから代わりに渡してくれって言っててね」
そう言ったのはマルセルさん。ホーンラビットの狩りの方法を紹介した時、ついてきてくれた解体係の職員さんだ。
もらった箱を開けて思わず笑ってしまった。
ギルドの紋章入りの解体ナイフだった。僕が前に仕上げに研いだものだ。
これは大切に取っておこう。僕には初めて会った時にガンツからもらった解体ナイフがあるから。
出来上がった料理を運ぶと同時にどんどんみんなが食べていく。
困ったな。全然追いついてない。
来てくれた人と挨拶する時間もないよ。
餃子はもう5回目を焼き始めている。
締めのうどんにはまだ早いから……何か作んなきゃいけないな。忙しい。
そう思っていたら入り口の方から声が聞こえて来る。
「ほんとにここなの?」
「倉庫って言ってたっすから間違い無いっすよ。この奥じゃないっすか?」
聞き覚えのある声はサンドラ姉さんとロイだった。
「お集まりの皆さーん!今日はケイのために集まっていただいてありがとうございます。まだまだ未熟なところもありますが、これからも暖かく見守っていただけると嬉しいわ」
ロイがマジックバッグから料理がたくさん盛られた大皿をどんどん出していく。
え?こんな大皿店にあったっけ?
「こちら店主のクライブから皆様へ。これからもケイのことをよろしくお願いいたします。小熊亭の特別製のオードブルの盛り合わせよ。今日は楽しんで帰って」
オードブルの盛り合わせ?ていうか2人とも今休憩中じゃないの?
「クライブが営業中に作ったのよ。何やってるのかなって思ったら、私たちにケイのところに持っていけ、ですって」
師匠が?確かにこんな会を開くことは話したけれど、いつも通り「そうか」って一言だけしか言われなかった。
オードブルには普段アラカルトで出している料理や、小熊亭でも出していない料理がいろいろ盛り付けられていた。
ひとつひとつの料理が少し小さめに作ってある。全体の分量は変わらないけど、大人数の人たちが少しずつ摘んで食べられるように工夫されていた。
こんな細かいところもまだ全然。まだまだ師匠には敵わない。
師匠は派手な料理は作らない。
以前おつかいで商業ギルドに行った時、師匠の噂話をしている人たちがいた。
あいつは大衆的だ、だからダメなんだ。料理がわかってない。そんな内容の会話だった。
違うと思った。
師匠の作る料理は、味が良くてお腹いっぱいになる料理だ。
そして食材を決して無駄にしない。
伝統のスープとか、めんどくさいからやらないというけれど、多分違う。
いわゆる身分が高い人たちが好むような高級で洗練されている料理よりも、もっと食べ応えがあって、来てくれたお客さんが満足する料理を、手間をかけ工夫して作ってきたんだと思う。
師匠の作る料理は食べてくれる人のことを第一に考えて作っている。食材の切り方、扱い方、師匠の仕事全てにそれは感じられる。
「客のために考えた美味いものなら自信を持って作ればいい」
師匠は前に僕にそう言った。
小熊亭で働けて本当に良かったと思う。
ロイとサンドラ姉さんにパーティの料理を振る舞って、僕はゼランドさんたちに挨拶に向かう。フェルは先に来ていてエリママと何か話してる。
「おめでとうって言うのも何か変ね。うちが紹介した物件だし。今日はお誘いありがとう。それにしてもこの小さい唐揚げ?美味しいわね。なんだか止まらなくってたくさん食べちゃったわ」
軟骨の唐揚げは大衆居酒屋の定番メニューだ。元王女はまず食べないだろう。
エリママ、唇が油でベトベトです。
南門の受付にいたメガネの人は昔エリママの付き人だったんだそうだ。
久しぶりに会えて嬉しかったとエリママが喜んでいた。
そうか。お姫様の執事だったのか。あの人。きっとさぞかし苦労したんだろうな。
ゼランドさんとの恋の顛末はなんとなくフェルから聞いていた。
詳しくは聞いてないけど、けっこう破天荒な内容の恋愛話だった。
その裏でいろいろ動いている人たちはさぞかし大変だったろう。
「ケイくん。うちの息子を紹介するよ。まだ会ってなかったよね、次男のダグラスだ」
ゼランドさんが横に背の高い男の人を連れている。
髪の毛は短く揃えられて、長男のドナルドさんはどちらかというと知的な感じがするけど、ダグラスさんは体育会系のような爽やかな感じがする印象だ。
「君がケイくんか、はじめまして私はダグラスだ。父から話はいろいろ聞いていてね。本当に会うのが楽しみだったんだ。私は普段仕入れに出ていてね。ほとんど王都にはいないんだ。急に帰って来いって言われて、話を聞いて驚いたよ。ああ、別に迷惑だなんて思ってないから大丈夫だよ。むしろ王都に久しぶりに帰って来れて良かったと思ってる」
ダグラスさんは商会の仕事が忙しくなったから、王都に戻っていろいろと動き回っていると前に3男が言っていた。
僕のせいだよねと思って少し気まずい感じになったのを見てダグラスさんがそう言ってくれた。
ダグラスさんは王国だけじゃなく、いろいろな国に買い付けに行くらしい。欲しいものがあればなんでも相談してくれと、連絡方法を教えてもらった。
きっといろんな国のことを知ってるんだと思う。
王都にいるうちにもっといろいろ話を聞いてみたいな。
長男のドナルドさんといつも僕に仕上げ研ぎをさせるガンツのお弟子さんが何か話してる。
少し怖いな。見なかったことにしよう。
「いいかい?飲み物を持ってないやつは今のうちにもらって来な。あーそこ、まだ飲むんじゃない。今からケイが一言挨拶するからね。みんなもわかってるように、今日はケイとフェルの新居の御披露目会だ。王都に着いてから散々世話になったって言ってアタシらに飯をご馳走してくれるそうだ。ここは居酒屋じゃないからね。それなりに節度を持って飲むように。じゃあケイ、何か一言頼むよ」
こういうのは慣れてる人にお願いしたほうがいい。
会場を仕切るのはセシル姉さんに任せた。
僕は短めにみんなに感謝の気持ちを伝えるだけだ。
「皆さん。今日はお集まりいただいてありがとうございます。田舎の村から王都に出てきて4ヶ月。ようやく生活の基盤ができました。それも全てここにお集まりの皆さんのおかげだと思っています。本日はささやかではありますがお食事を用意いたしました。お酒もたくさん皆さんから差し入れていただいたので、今日は楽しんでいってください。これからもよろしくお願いします!」
「それじゃあ乾杯といこうじゃないか。ケイとフェルの新しい生活に!」
「「「乾杯!」」」
なんか結婚したみたいな感じに聞こえるけど、ただ家を借りただけなんだよね。
ちょっと大袈裟だ。
バーベキューコンロの炭を整えて、肉をどんどん焼いていく。タレはたくさん用意してる。近くのテーブルに小分けにしていっぱい置いた。
「いつも炊き出しの時食ってる肉より美味えじゃねーか」
よく炊き出しを手伝ってくれる冒険者がそう言った。この人はこないだポーションを取りに走ってきた人だ。くじ引きに勝ったのかな?
「良いお肉が市場で買えたんだよ。あんまり高級なお肉じゃないけど充分美味しいでしょう?」
「ウサギ、このタレやたら美味えぞ。お前絶対屋台やれよ。みんな毎日食いにいくぜ」
「なんかみんなおんなじこと言うよね。でもまだまだ勉強しなくちゃいけないことがいっぱいあるから。今は小熊亭で頑張るんだ」
「そういや、おめえが入ってからスープが美味くなったな」
別の冒険者がそう言ってくれた。
「ありがとう!こんど毎週火曜日限定で僕が考えたスープを出すことになったんだよ。今度食べにきて。初めてそのスープで師匠に褒められたんだ」
そう言うと冒険者がこぞって僕の頭を撫でてくる。
ひとしきりもみくちゃにされたあと、お肉を焼くのを冒険者たちに任せて簡易の調理スペースに戻る。
煮物の鍋の火加減を調節して、フライパンに入るだけ餃子を詰めて焼き始めた。
今日は天気がいい。
王都の空は高く澄み渡っていた。
料理を作るのが楽しい。
こういう風にみんなで笑顔で美味しいものを食べる会を開くのが夢だったような気がする。
ライツとガンツが餃子の取り合いをしてる。どっちが多く食べたかとか言い合いをしている。間に入ってなだめてるのはサイモンさんだ。恋人かな?少し小柄な女性を連れてきてた。
すぐに焼いて持っていくから2人とも待ってて。
奥のゼランドさんたちが座ってるスペースではあのメガネの受付の人がエリママに何度もお辞儀をしてる。
知り合いだったんだ。いったいどんな関係なんだろ。
あとで挨拶に行かなくちゃ。
2回目の餃子を焼き始めて、辺りを見回す。食べ物が足りないみたい。
家の中に走って行って保冷庫にあるものをとにかく持ってくる。
ポテトサラダを大皿に盛って、ゴードンさんからいただいたトマトを切って周りに並べる。
ゴードンさん一家の様子を見ると小さい子たちが焼肉に夢中だ。いかつい顔した冒険者たちが子供たちのために丁寧にお肉を焼いている。なんだか微笑ましい光景だけど、みんなが誘拐犯みたいにも見えるから面白い。
お浸しは少し温めてから大皿に盛った。
やっと手に入った鰹節をたっぷりかける。
焼き上がった餃子と一緒にテーブルに持っていく。
「ウサギ、大盛況じゃねーか。やっぱりオメーの作る飯は美味いな。最近は炊き出しに使う肉をギルドの依頼と一緒に受けてくれてるらしいじゃねーか。なかなかギルドでは細かいとこまで見れなくてな。助かってるぜ」
ギルマスがおにぎりを片手に持ちながらテーブルに置いたばかりの餃子を箸を使って器用につまんで大きな口で食べた。
箸、普通に使えるんだ。
箸は最初にみんなに一膳ずつ配っていた。ライツの工房でお弟子さんに手伝ってもらいながら頑張って作ったものだ。
今日のお土産にしてもらうつもりだったけど……みんなちゃんと帰りに持って帰ってくれるかな?
みんなだいぶ酔っ払ってない?
「ケイくん。これ大したものじゃないんだけど、解体部からの贈り物なんだ。ダン主任が今日はこれなかったから代わりに渡してくれって言っててね」
そう言ったのはマルセルさん。ホーンラビットの狩りの方法を紹介した時、ついてきてくれた解体係の職員さんだ。
もらった箱を開けて思わず笑ってしまった。
ギルドの紋章入りの解体ナイフだった。僕が前に仕上げに研いだものだ。
これは大切に取っておこう。僕には初めて会った時にガンツからもらった解体ナイフがあるから。
出来上がった料理を運ぶと同時にどんどんみんなが食べていく。
困ったな。全然追いついてない。
来てくれた人と挨拶する時間もないよ。
餃子はもう5回目を焼き始めている。
締めのうどんにはまだ早いから……何か作んなきゃいけないな。忙しい。
そう思っていたら入り口の方から声が聞こえて来る。
「ほんとにここなの?」
「倉庫って言ってたっすから間違い無いっすよ。この奥じゃないっすか?」
聞き覚えのある声はサンドラ姉さんとロイだった。
「お集まりの皆さーん!今日はケイのために集まっていただいてありがとうございます。まだまだ未熟なところもありますが、これからも暖かく見守っていただけると嬉しいわ」
ロイがマジックバッグから料理がたくさん盛られた大皿をどんどん出していく。
え?こんな大皿店にあったっけ?
「こちら店主のクライブから皆様へ。これからもケイのことをよろしくお願いいたします。小熊亭の特別製のオードブルの盛り合わせよ。今日は楽しんで帰って」
オードブルの盛り合わせ?ていうか2人とも今休憩中じゃないの?
「クライブが営業中に作ったのよ。何やってるのかなって思ったら、私たちにケイのところに持っていけ、ですって」
師匠が?確かにこんな会を開くことは話したけれど、いつも通り「そうか」って一言だけしか言われなかった。
オードブルには普段アラカルトで出している料理や、小熊亭でも出していない料理がいろいろ盛り付けられていた。
ひとつひとつの料理が少し小さめに作ってある。全体の分量は変わらないけど、大人数の人たちが少しずつ摘んで食べられるように工夫されていた。
こんな細かいところもまだ全然。まだまだ師匠には敵わない。
師匠は派手な料理は作らない。
以前おつかいで商業ギルドに行った時、師匠の噂話をしている人たちがいた。
あいつは大衆的だ、だからダメなんだ。料理がわかってない。そんな内容の会話だった。
違うと思った。
師匠の作る料理は、味が良くてお腹いっぱいになる料理だ。
そして食材を決して無駄にしない。
伝統のスープとか、めんどくさいからやらないというけれど、多分違う。
いわゆる身分が高い人たちが好むような高級で洗練されている料理よりも、もっと食べ応えがあって、来てくれたお客さんが満足する料理を、手間をかけ工夫して作ってきたんだと思う。
師匠の作る料理は食べてくれる人のことを第一に考えて作っている。食材の切り方、扱い方、師匠の仕事全てにそれは感じられる。
「客のために考えた美味いものなら自信を持って作ればいい」
師匠は前に僕にそう言った。
小熊亭で働けて本当に良かったと思う。
ロイとサンドラ姉さんにパーティの料理を振る舞って、僕はゼランドさんたちに挨拶に向かう。フェルは先に来ていてエリママと何か話してる。
「おめでとうって言うのも何か変ね。うちが紹介した物件だし。今日はお誘いありがとう。それにしてもこの小さい唐揚げ?美味しいわね。なんだか止まらなくってたくさん食べちゃったわ」
軟骨の唐揚げは大衆居酒屋の定番メニューだ。元王女はまず食べないだろう。
エリママ、唇が油でベトベトです。
南門の受付にいたメガネの人は昔エリママの付き人だったんだそうだ。
久しぶりに会えて嬉しかったとエリママが喜んでいた。
そうか。お姫様の執事だったのか。あの人。きっとさぞかし苦労したんだろうな。
ゼランドさんとの恋の顛末はなんとなくフェルから聞いていた。
詳しくは聞いてないけど、けっこう破天荒な内容の恋愛話だった。
その裏でいろいろ動いている人たちはさぞかし大変だったろう。
「ケイくん。うちの息子を紹介するよ。まだ会ってなかったよね、次男のダグラスだ」
ゼランドさんが横に背の高い男の人を連れている。
髪の毛は短く揃えられて、長男のドナルドさんはどちらかというと知的な感じがするけど、ダグラスさんは体育会系のような爽やかな感じがする印象だ。
「君がケイくんか、はじめまして私はダグラスだ。父から話はいろいろ聞いていてね。本当に会うのが楽しみだったんだ。私は普段仕入れに出ていてね。ほとんど王都にはいないんだ。急に帰って来いって言われて、話を聞いて驚いたよ。ああ、別に迷惑だなんて思ってないから大丈夫だよ。むしろ王都に久しぶりに帰って来れて良かったと思ってる」
ダグラスさんは商会の仕事が忙しくなったから、王都に戻っていろいろと動き回っていると前に3男が言っていた。
僕のせいだよねと思って少し気まずい感じになったのを見てダグラスさんがそう言ってくれた。
ダグラスさんは王国だけじゃなく、いろいろな国に買い付けに行くらしい。欲しいものがあればなんでも相談してくれと、連絡方法を教えてもらった。
きっといろんな国のことを知ってるんだと思う。
王都にいるうちにもっといろいろ話を聞いてみたいな。
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