254 / 318
タラコ
しおりを挟む
255 タラコ
「兄ちゃん、なんか昨日チコが世話になったみてえじゃねえか。馬車でここまで送ってくれたんだって?」
次の日市場に行ったら魚屋のおっちゃんからお礼を言われた。
「昨日は屋台を休みにしたんです。散歩?ちょっと海が見てみたいなって友人と東の方に行って、そこで出会ったんですよ」
「暗くなる前に領都に着けるかギリギリの時間だったみたいだからな。うちの嫁も感謝してたぜ」
チコはもちろん東の漁村の人たちは丸一日かけて村から領都に売り物を背負ってやってくる。おっちゃんはそのは人たちを家に泊めてあげている。
チコはさっき村に帰って行ったそうだ。
「で、約束してた土産だな。これなんてどうだ?魚の卵の塩漬けなんだが、けっこういけるぜ。こっちじゃあまり売れねーからほとんど仕入れることはないんだが向こうじゃパンに塗ったりして食ってる」
タラコだ。
たぶんそうだ。絶対そうだ。見覚えのあるピンク色の粒々が瓶にぎっしり入ってる。
「保存のために少し塩辛くしてあるけどな。慣れればけっこういけるぜ」
おっちゃんはタラコの入った瓶詰めを、向こうで買って来たままの値段で譲ってくれた。
小さな瓶にぎっしり詰まって銅貨10枚。少し高い気もするけどこんなにぎっしり入っているんだ。当然の値段だろう。
「おっちゃんこれ日持ちはどのくらいするの?」
「冷やしておけば……10日くらいは大丈夫だと思うぜ。だが向こうで買ってここまで来るまで2日くらいかかってるからな。あと1週間ってところかな」
1週間かぁ。それだと王都には運べないよね。王都の市場の近くにある店で買えるようにお願いしたかったけど賞味期限が微妙だ。とりあえず今日買ったものは保存の箱に入れておこう。
その後急いで仕入れと買い出しを済ませて部屋に戻る。
マジックバッグから道具を出して部屋の中なのにも構わず僕はパスタの生地をこね出した。
「どうしたのだ?朝から忙しいな」
朝の走り込みから帰って来たフェルが僕をみて不思議そうにしている。
「食べたい物があるんだ。屋台が終わったら作るから楽しみにしておいて」
そう言うとフェルは嬉しそうにシャワーを浴びに行った。
捏ねた生地をボウルに入れて湿った布巾をかけたらマジックバッグで寝かしておく。
朝ごはんは和食にした。最初はやっぱりご飯に乗せて食べたい。支配人に了解をもらってからすっかりバイキング形式になってしまったお茶漬けのコーナーから適当なおかずと白飯、海苔をお皿に盛る。
卵焼きがあるのが地味に嬉しい。お味噌汁がないのが残念だけど。
フェルは生のまま食べるのが少し不安そうだったけれど、卵かけご飯のこともあったので僕を信用してくれた。
少なめに盛ったご飯にタラコを乗せて一口。ちょっと塩気がきついけどとても美味しい。フェルも驚いた顔をしてこれは美味しいなと言ってくれた。
海苔にご飯とタラコを乗せて巻いて食べると、フェルもやって欲しそうに僕を見てる。フェルの分も作ってあげたらにっこり微笑んでそれを食べていた。
ご飯をおかわりして今度はタラコでお茶漬けを作る。塩分が少し心配だけどたっぷりとタラコを乗せて具材を散らし、そこに熱々の出汁をかける。
タラコの色が少しずつ変化していく。とっても美味しそう。
熱々のお茶漬けをかき込むように夢中で食べた。
支配人にお願いされて、もう一度お茶漬けを作り厨房に持っていく。
普通は逆だよね。食堂で作ったものを厨房に持っていくなんてちょっとおかしい。
スティーブさんと支配人が少し小さめに作ったタラコのお茶漬けを食べて、支配人からは何度もお礼を言われる。
この人本当にお茶漬けが好きなんだな。
スティーブさんは生のタラコが少し苦手だったようだ。でも火を通せばまたちがった味わいになることに驚いていて、やっぱりお米を使うようになってよかったと言った。
単価の問題はあるけれど、炒め物にも使えるし、前世ではとても手軽な海の幸だった。けっこう贅沢にいっぱい入れると美味しいんだよね。
屋台の営業が終わったらタラコパスタを作るつもり。
中央広場に向かう前にパン屋に寄って、バゲットを何本か注文した。お昼に屋台で使うパンと一緒に届けてくれるそうだ。
屋台にはたくさんのお客さんがやってくる。昨日休みにしたせいかハンバーガーはいつもより早い時間に売り切れてしまった。
申し訳ないのでいつもより多めにサービス券の札を渡してお客さんに謝った。
時間は2時を回ったところ。集まる冒険者たちの姿もまだ少ない。シドたちはまたオークの森の偵察に行くって言ってたな。夕方には戻るってたしか言ってた。
今日のは少し時間がかかるからと待っている冒険者たちに言うとみんな勝手に屋台から料理を買って来てお酒を飲み始めた。
この人たちほんと飲んでばっかりいるな。
洗い物をフェルにお願いしてパスタマシンでひたすらパスタを作っていく。
小麦粉は薄力粉しか持っていなかったからパスタのつなぎには卵を使った。少し黄色みがかった生地を伸ばして畳んでまた伸ばしてとひたすら繰り返して生地を作る。
乾燥させて乾麺にしておけばもっと楽だったんだろうか?だけど作る分量は一緒なんだよね。
パスタの生地を伸ばしながらこれをお店で出すにはどうしたら良いか考えた。
やっぱり人数限定のメニューになっちゃうだろうな。20人前、頑張っても30人前が限界だ。パスタ専門店をやろうとしたらかなり大変だよ。
出来上がったパスタの麺は打ち粉をまぶしてどんどんバットに並べていく。
1時間かけてやっと30人前くらいのパスタの麺が出来上がる。
どうやって大量のパスタを作っていこうかなと考えていたらシドたちが帰って来た。ザックたちのパーティも一緒だ。
「腹減ったぜー。簡単なもんでいいからなんか食わしてくれって、何やってんだ?」
大量のパスタの麺を見てシドが言う。
「今日は作ってみたい料理があってね。その仕込みだよ。パスタって食べたことない?」
「知らねーな。王都では普通に食えんのか?」
「王都でもあまり見かけないよ。なんか西の方の街の名物だって聞いたことがあるけど」
いろんなところに依頼で行ってそうなザックも知らないと言う。そもそも高級な料理なら俺たちが知るわけないだろうと言って笑っていた。
市場で急いで買った、シメジに似たキノコをバターで炒める。バターの少し焦げた香ばしい匂いがいい感じだ。シメジは少ししんなりするくらいに炒めた。
シメジは少し高かった。森で採れるのだと言っていたからたぶん天然のシメジだ。
キノコの栽培の話は聞いたことがない。シイタケみたいなキノコはけっこういっぱい採れるらしいけどシイタケは乾燥したものが多くて、森で採れる生のキノコは領都では少し割高なんだそうだ。
麺を茹でるお湯を沸かしている間に買って来たバゲットにたっぷりのタラコを混ぜたマヨネーズを塗ってオーブンで炙る。
マヨネーズには辛子とほんの少しお醤油を混ぜた。
一切れ齧ってみる。フェルも欲しそうにしてたので食べさせた。僕の手から直接パンを齧って、まあるい笑顔でフェルが微笑む。
少し胡椒が効いてた方がいいかも。
出来上がったバゲットに胡椒を振る。
もう少しでできるからこれでもつまんでてとバゲットを持って行った。バゲットはフェルが追加で焼いてくれている。なんだか楽しそうだ。
パスタは2分くらい、少し生っぽいかなって思うくらいで引き上げる。
別の大鍋にさっきのシメジと追加のバター、そして少し茹で汁を入れて弱火で少し炒めた後、パスタとたっぷりのタラコを投入。
大鍋を煽るようにしてパスタをソースに和える。顔が熱い。鍋はけっこう重たいから身体強化をして手早く仕上げた。
お皿に盛り付けて刻んだ海苔とレモンを絞って優しくかき混ぜる。
半生に仕上げたタラコに火が入ってしまう前に急いで持って行くと歓声が上がった。
食べ方を教えて屋台に戻る。
僕たちも試食だ。一人前のパスタをフェルと2人で食べる。隣同士で密着してるからフェルの髪の毛が当たって少しくすぐったい。
「少し塩気がきつかったかな?」
「確かに少し味付けは濃いな。だがレモンを絞ったかすかな酸味は心地よい。充分に美味しいと思うのだが」
「もう少しまろやかに仕上がると思ってたんだけどね。あ、もうみんなのお皿が空になる。続きを作るね」
2回目はタラコを水で割ったお酒に浸けて少し塩抜きをする。
乳化が少し足りないのかな。バターの分量はこのくらいでいいはず。
シメジとバター、茹で汁を入れて大鍋をよく振りながらかき混ぜる。タラコを半分入れてパスタを投入。
優しくかき混ぜたら火から下ろして、また大鍋を振る。
最後に残りのタラコと海苔を入れてレモンを絞り、優しくかき混ぜて出来上がり。
急いでみんなのところに持っていく。
さっきより大きな歓声が上がってみんながパスタに飛びついた。
急いでもう一回作ろう。
「ケイ!さっきより美味しいぞ。味が少しまろやかになった」
フェルが嬉しそうに僕に言う。
頑張って鍋を振ったからかな。パスタの茹で時間はもう少し短めでいいかも。
2回目の試食をして、最後のパスタを茹で始めたらラッセルさんが来た。
ちょうどいいから少し待っててもらい、出来上がったパスタをラッセルさんにも出してあげる。
3回目はとても上手く作れた。ちょっと腕が痛くなったけど茹で汁の分量もちょうど良くパスタの歯応えもいい感じだ。
急いでノートに分量を書き込んだ。
その後ラッセルさんのためにハンバーガーを作りながら味の感想を聞く。
この前の鯛めしの話やさっきのタラコパスタなど、絶賛してくれた。
たどたどしく少しずつラッセルさんは話すけど楽しそうなので僕は嬉しくなった。
お代を払おうとするラッセルさんに今日の試食分の銅貨を返す。
味の感想を聞けて嬉しかったと伝えると、ラッセルさんは嬉しそうに笑った。
おっちゃんから売ってもらったタラコはほとんど使ってしまった。
残りはまた明日何かに使おう。
明日は何を作ろうかな。
「兄ちゃん、なんか昨日チコが世話になったみてえじゃねえか。馬車でここまで送ってくれたんだって?」
次の日市場に行ったら魚屋のおっちゃんからお礼を言われた。
「昨日は屋台を休みにしたんです。散歩?ちょっと海が見てみたいなって友人と東の方に行って、そこで出会ったんですよ」
「暗くなる前に領都に着けるかギリギリの時間だったみたいだからな。うちの嫁も感謝してたぜ」
チコはもちろん東の漁村の人たちは丸一日かけて村から領都に売り物を背負ってやってくる。おっちゃんはそのは人たちを家に泊めてあげている。
チコはさっき村に帰って行ったそうだ。
「で、約束してた土産だな。これなんてどうだ?魚の卵の塩漬けなんだが、けっこういけるぜ。こっちじゃあまり売れねーからほとんど仕入れることはないんだが向こうじゃパンに塗ったりして食ってる」
タラコだ。
たぶんそうだ。絶対そうだ。見覚えのあるピンク色の粒々が瓶にぎっしり入ってる。
「保存のために少し塩辛くしてあるけどな。慣れればけっこういけるぜ」
おっちゃんはタラコの入った瓶詰めを、向こうで買って来たままの値段で譲ってくれた。
小さな瓶にぎっしり詰まって銅貨10枚。少し高い気もするけどこんなにぎっしり入っているんだ。当然の値段だろう。
「おっちゃんこれ日持ちはどのくらいするの?」
「冷やしておけば……10日くらいは大丈夫だと思うぜ。だが向こうで買ってここまで来るまで2日くらいかかってるからな。あと1週間ってところかな」
1週間かぁ。それだと王都には運べないよね。王都の市場の近くにある店で買えるようにお願いしたかったけど賞味期限が微妙だ。とりあえず今日買ったものは保存の箱に入れておこう。
その後急いで仕入れと買い出しを済ませて部屋に戻る。
マジックバッグから道具を出して部屋の中なのにも構わず僕はパスタの生地をこね出した。
「どうしたのだ?朝から忙しいな」
朝の走り込みから帰って来たフェルが僕をみて不思議そうにしている。
「食べたい物があるんだ。屋台が終わったら作るから楽しみにしておいて」
そう言うとフェルは嬉しそうにシャワーを浴びに行った。
捏ねた生地をボウルに入れて湿った布巾をかけたらマジックバッグで寝かしておく。
朝ごはんは和食にした。最初はやっぱりご飯に乗せて食べたい。支配人に了解をもらってからすっかりバイキング形式になってしまったお茶漬けのコーナーから適当なおかずと白飯、海苔をお皿に盛る。
卵焼きがあるのが地味に嬉しい。お味噌汁がないのが残念だけど。
フェルは生のまま食べるのが少し不安そうだったけれど、卵かけご飯のこともあったので僕を信用してくれた。
少なめに盛ったご飯にタラコを乗せて一口。ちょっと塩気がきついけどとても美味しい。フェルも驚いた顔をしてこれは美味しいなと言ってくれた。
海苔にご飯とタラコを乗せて巻いて食べると、フェルもやって欲しそうに僕を見てる。フェルの分も作ってあげたらにっこり微笑んでそれを食べていた。
ご飯をおかわりして今度はタラコでお茶漬けを作る。塩分が少し心配だけどたっぷりとタラコを乗せて具材を散らし、そこに熱々の出汁をかける。
タラコの色が少しずつ変化していく。とっても美味しそう。
熱々のお茶漬けをかき込むように夢中で食べた。
支配人にお願いされて、もう一度お茶漬けを作り厨房に持っていく。
普通は逆だよね。食堂で作ったものを厨房に持っていくなんてちょっとおかしい。
スティーブさんと支配人が少し小さめに作ったタラコのお茶漬けを食べて、支配人からは何度もお礼を言われる。
この人本当にお茶漬けが好きなんだな。
スティーブさんは生のタラコが少し苦手だったようだ。でも火を通せばまたちがった味わいになることに驚いていて、やっぱりお米を使うようになってよかったと言った。
単価の問題はあるけれど、炒め物にも使えるし、前世ではとても手軽な海の幸だった。けっこう贅沢にいっぱい入れると美味しいんだよね。
屋台の営業が終わったらタラコパスタを作るつもり。
中央広場に向かう前にパン屋に寄って、バゲットを何本か注文した。お昼に屋台で使うパンと一緒に届けてくれるそうだ。
屋台にはたくさんのお客さんがやってくる。昨日休みにしたせいかハンバーガーはいつもより早い時間に売り切れてしまった。
申し訳ないのでいつもより多めにサービス券の札を渡してお客さんに謝った。
時間は2時を回ったところ。集まる冒険者たちの姿もまだ少ない。シドたちはまたオークの森の偵察に行くって言ってたな。夕方には戻るってたしか言ってた。
今日のは少し時間がかかるからと待っている冒険者たちに言うとみんな勝手に屋台から料理を買って来てお酒を飲み始めた。
この人たちほんと飲んでばっかりいるな。
洗い物をフェルにお願いしてパスタマシンでひたすらパスタを作っていく。
小麦粉は薄力粉しか持っていなかったからパスタのつなぎには卵を使った。少し黄色みがかった生地を伸ばして畳んでまた伸ばしてとひたすら繰り返して生地を作る。
乾燥させて乾麺にしておけばもっと楽だったんだろうか?だけど作る分量は一緒なんだよね。
パスタの生地を伸ばしながらこれをお店で出すにはどうしたら良いか考えた。
やっぱり人数限定のメニューになっちゃうだろうな。20人前、頑張っても30人前が限界だ。パスタ専門店をやろうとしたらかなり大変だよ。
出来上がったパスタの麺は打ち粉をまぶしてどんどんバットに並べていく。
1時間かけてやっと30人前くらいのパスタの麺が出来上がる。
どうやって大量のパスタを作っていこうかなと考えていたらシドたちが帰って来た。ザックたちのパーティも一緒だ。
「腹減ったぜー。簡単なもんでいいからなんか食わしてくれって、何やってんだ?」
大量のパスタの麺を見てシドが言う。
「今日は作ってみたい料理があってね。その仕込みだよ。パスタって食べたことない?」
「知らねーな。王都では普通に食えんのか?」
「王都でもあまり見かけないよ。なんか西の方の街の名物だって聞いたことがあるけど」
いろんなところに依頼で行ってそうなザックも知らないと言う。そもそも高級な料理なら俺たちが知るわけないだろうと言って笑っていた。
市場で急いで買った、シメジに似たキノコをバターで炒める。バターの少し焦げた香ばしい匂いがいい感じだ。シメジは少ししんなりするくらいに炒めた。
シメジは少し高かった。森で採れるのだと言っていたからたぶん天然のシメジだ。
キノコの栽培の話は聞いたことがない。シイタケみたいなキノコはけっこういっぱい採れるらしいけどシイタケは乾燥したものが多くて、森で採れる生のキノコは領都では少し割高なんだそうだ。
麺を茹でるお湯を沸かしている間に買って来たバゲットにたっぷりのタラコを混ぜたマヨネーズを塗ってオーブンで炙る。
マヨネーズには辛子とほんの少しお醤油を混ぜた。
一切れ齧ってみる。フェルも欲しそうにしてたので食べさせた。僕の手から直接パンを齧って、まあるい笑顔でフェルが微笑む。
少し胡椒が効いてた方がいいかも。
出来上がったバゲットに胡椒を振る。
もう少しでできるからこれでもつまんでてとバゲットを持って行った。バゲットはフェルが追加で焼いてくれている。なんだか楽しそうだ。
パスタは2分くらい、少し生っぽいかなって思うくらいで引き上げる。
別の大鍋にさっきのシメジと追加のバター、そして少し茹で汁を入れて弱火で少し炒めた後、パスタとたっぷりのタラコを投入。
大鍋を煽るようにしてパスタをソースに和える。顔が熱い。鍋はけっこう重たいから身体強化をして手早く仕上げた。
お皿に盛り付けて刻んだ海苔とレモンを絞って優しくかき混ぜる。
半生に仕上げたタラコに火が入ってしまう前に急いで持って行くと歓声が上がった。
食べ方を教えて屋台に戻る。
僕たちも試食だ。一人前のパスタをフェルと2人で食べる。隣同士で密着してるからフェルの髪の毛が当たって少しくすぐったい。
「少し塩気がきつかったかな?」
「確かに少し味付けは濃いな。だがレモンを絞ったかすかな酸味は心地よい。充分に美味しいと思うのだが」
「もう少しまろやかに仕上がると思ってたんだけどね。あ、もうみんなのお皿が空になる。続きを作るね」
2回目はタラコを水で割ったお酒に浸けて少し塩抜きをする。
乳化が少し足りないのかな。バターの分量はこのくらいでいいはず。
シメジとバター、茹で汁を入れて大鍋をよく振りながらかき混ぜる。タラコを半分入れてパスタを投入。
優しくかき混ぜたら火から下ろして、また大鍋を振る。
最後に残りのタラコと海苔を入れてレモンを絞り、優しくかき混ぜて出来上がり。
急いでみんなのところに持っていく。
さっきより大きな歓声が上がってみんながパスタに飛びついた。
急いでもう一回作ろう。
「ケイ!さっきより美味しいぞ。味が少しまろやかになった」
フェルが嬉しそうに僕に言う。
頑張って鍋を振ったからかな。パスタの茹で時間はもう少し短めでいいかも。
2回目の試食をして、最後のパスタを茹で始めたらラッセルさんが来た。
ちょうどいいから少し待っててもらい、出来上がったパスタをラッセルさんにも出してあげる。
3回目はとても上手く作れた。ちょっと腕が痛くなったけど茹で汁の分量もちょうど良くパスタの歯応えもいい感じだ。
急いでノートに分量を書き込んだ。
その後ラッセルさんのためにハンバーガーを作りながら味の感想を聞く。
この前の鯛めしの話やさっきのタラコパスタなど、絶賛してくれた。
たどたどしく少しずつラッセルさんは話すけど楽しそうなので僕は嬉しくなった。
お代を払おうとするラッセルさんに今日の試食分の銅貨を返す。
味の感想を聞けて嬉しかったと伝えると、ラッセルさんは嬉しそうに笑った。
おっちゃんから売ってもらったタラコはほとんど使ってしまった。
残りはまた明日何かに使おう。
明日は何を作ろうかな。
78
あなたにおすすめの小説
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~
榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。
彼はその日から探索者――シーカーを目指した。
そして遂に訪れた覚醒の日。
「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」
スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。
「幸運の強化って……」
幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。
そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。
そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。
だが彼は知らない。
ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。
しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。
これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる