第二の人生は王子様の花嫁でした。

あいえだ

文字の大きさ
7 / 93
本編

★契りの夜を

しおりを挟む
俺の頬を涙が一粒すーっとつたっていく。

「っ…!」

声を殺して、気づかれないようにしていたけれどもさすがに無理だった。

「…レイ?」

心配そうに顔を覗きこまれ、俺は耐えきれずに手の甲で両目を覆って横を向く。

「…すまない、嫌だったか…早くレイを抱きたくて…焦ってしまったようだ」

切ない目をして詫びてくるベンに申し訳なくて俺はぶんぶん首を振った。

「ちが…!違う、悔しい…。こんなことなら体をもっと大事にしとけばよかった…うぅ…」
「ん?何…?」

意味不明だよな、俺の言ってること…。
ベンの眉間が少し険しくなる。

「ベンが未来、俺の前にこうやって来てくれるのがわかってたなら…!こうなるのなら後ろの処女はベンにとっとくんだった…」

殴られても蹴られても結婚するまではと拒むべきだった。あんな奴に体を許していた自分が情けない。

俺の後悔をよそに、ベンが俺の頬に唇を寄せ、涙を舌でペロッと舐める。そして鼻をすりつけてこう言った。

「私は初めてなど全く気にしない。後ろの処女って言い方は初めて聞いたがな」

驚いて瞬きしながらベンを見た。

「え、ほ、ほんと…?」
「ああ。…レイに経験があるということは…お互い楽しめそうだってことだ」

手の甲を俺に向けて見せ、小指から順番にボキボキと音を鳴らして閉じていくベンが愉快そうに笑う。

「え、もしかしてベン、どS?」
「…残念ながらその趣味はない…」
「そっか…」
「私に初めてを捧げたいと思ってくれただけでもう幸せな気持ちになっている。それにレイを抱くのは初めてなのだから、それで充分」
「え、ベン童貞なの?」
「……。ん?…そう思うか?」
「全く思いません…解釈間違えました」
「レイは天然だな…。と言っても、レイに過去の男の記憶があるのは許せない」

ぽそりと不機嫌そうに呟き、ベンが俺の腰を引き寄せた。

「過去なんて、後にも先にもあの…」

余計な事を言おうとした俺の唇を、彼の人差し指がそっと閉じる。

「いや、レイの可愛い口が奴の話をするのも腹が立つ」

俺はその人差し指を軽く噛んだ。

「この夜を一生忘れられないものにしてほしい…」

そう言った俺の唇を指でなぞりながらベンが顔を近づける。息が少しずつ荒くなっているような気がした。

「…これが最後みたいな言い方をするな。これからずっと、もっと深く愛せるのだから。今夜は始まりに過ぎないが…覚悟しろ」


と切なげに囁くと、覚悟をする間も与えずにベンが俺の唇を貪るように奪ってきた。
激しいキス。もう少し心の準備をさせてほしかったような…。

「俺の黒髪とは対のプラチナブロンド、世にも珍しい紫の瞳に、白磁のような肌。気性は強く、凛々しい、まるで猫のようだ…。ここでシュワルツ伯として生活している間にレイへの気持ちは募るばかりだったんだ」

キスの合間に想いを語られた俺は、驚いてベンの緑の瞳を見つめていた。
うっわぁベンが俺のことをそんな風に語るのめっちゃ恥ずかしい!
べた褒め録音しときたかったなー。

こんな痒くなるような台詞もベンに言われたなら心にダイレクトに刺さってくる。

うわ、ベン、スゲー俺のこと好き、俺…すっげー想われてんな…。
大丈夫か?
こんなに幸せでいいのか?神様、今世は幸せすぎて早死にするとかやめてね…。

「う、ぁ…あぁっ…」

うわ!うわうわうわ!
何もかも違う!ベンが俺を撫でるその指に、手のひらに、全てに俺の全神経がものすごい反応をしていく。
わななく唇、震える体が止められない。

今まで俺がしてきたセックスってなんだったんだ。
まだ本番もしてないのになんだこれ!?

「あ、んっ…や、だぁ…とまんなっ…!」

快感と痙攣が止まらない。俺、変になっちゃったの?既に何度も俺はイカされている。

「あ、また、出る…出ちゃう…っ!あぁっ、ベン、ベンっ…!」

ベンが触れる指と唇が俺を溶かして激しい快楽の嵐へと放り込んでいくんだ。

「…レイ、好きだ」

ベンがそう囁く。

これが彼の俺への愛の証のはじまりだった。





































しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。 ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります! ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

日色
BL
「ぼく、あくやくれいそくだ」弟の誕生と同時に前世を思い出した七海は、悪役令息キルナ=フェルライトに転生していた。闇と水という典型的な悪役属性な上、肝心の魔力はほぼゼロに近い。雑魚キャラで死亡フラグ立ちまくりの中、なぜか第一王子に溺愛され!?

処理中です...