第二の人生は王子様の花嫁でした。

あいえだ

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本編

エルンスト

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ベンが一週間ほど公務で僻地にいくことになった。

俺はゲットとゼルに守られて王宮の図書館に通う毎日。
少しでもベンの役に立つために今勉強しているのだ。シュワルツに手解きをうけ、政治や経済、少しでも知識を手にいれたい、そう思って勉強を始めたんだ。

その合間にベンのためにバイオリンを弾く。ベンが帰ってくるまでに新しい曲を弾きたい。
そう思って励んでいると、ノックの音がした。

開けるとそこにはエルンストがいた。

「…楽器の音がしたから…入っていいか?」
「え、あ、うん…」

俺はエルンストは好きじゃないけれど身の危険がなさそうなので入れてあげた。

「今の…レイの演奏だよね?すごいな…」
「ん?ま、まぁ…趣味みたいなもんだよ」
「弾いてくれない?」

そう言うエルンストに俺は少し躊躇した。だってベンは自分以外に弾いてほしくないようだし…でも、音楽は誰のものでもないよね?

「少しでいいなら」

俺は快諾した。

少し短い曲を弾いてあげるとうっとりしながら聴いている。なんかかわいい。

演奏が終わるとエルンストが拍手をした。

「すごい、よかった…ありがとう弾いてくれて」

その目には少し涙も滲んでいる。そ、そんなによかったかな…俺は恥ずかしくなって照れ笑いをした。

「これ…ベンが?」
「うん、陛下に許可はとってあるって」
「父上…か」

エルンストが少し遠い目をした。

「楽器に触っていい?」

え、俺は少し戸惑ったけれども、これは王宮のもの、王子のエルンストが触れるのを禁止する権限は俺にはない。素直に渡すと、しばらくエルンストはそれを眺めて裏返したり物珍しそうに見ていた。

すると。

「えい」

という声と共にエルンストが机にそのバイオリンを勢いよく叩きつけた。
バキバキという音と共に目の前で破壊される楽器。

息が止まり、凍りつく俺は動けなかった。

「は、思ってたより脆いねこれ…こんな衝撃でバラバラかよ。あーつまらない。じゃ、 またな」

そう言い捨てるとエルンストはさっさと部屋を出ていった。

投げ捨てられたバイオリンを腰が抜けたように眺める俺。

無意識に涙がボロボロと出てきた。ゲットとゼルがすぐに俺に寄り添う。

「び、びっくりした…!まさかあいつがこんなことをするとは…レイ!大丈夫か!?ごめん、守れなかった」
「あれ皇后の差し金だろうな…あいつ目が泳いでたぞ…。俺こそ油断した、すまないレイ」

二人で俺を慰めてくれるけれど、ゲットもベンも悪くないし、俺の油断でこんなことになってしまったんだ。

「っ…」

二人の気遣いが申し訳なくて、俺は首を振り、精一杯の笑顔を見せた。

「ごめ…ちょっと…一人になりたい…。俺がでてくから、すぐ戻るから…」

壊されたバイオリンを抱えて部屋を走って出ていってしまった。

可哀想な楽器!痛かったよね、ごめん、俺が悪かった。

悔しくて、自分にも腹が立って仕方がない。

人気のない廊下でへたりこみ、楽器を抱き締めて泣いてしまった。

しばらくうずくまっていると。

「…レイ?」

聞いたことのある声がして振り向くと、ヴォルフだった。

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