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竜騎士になったよ
不穏なもの
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その時、ものすごい通るイケメンボイスが頭に響いてきた。
「ラース、俺の後ろを離れるな、お前は俺が護るから」
「カイザー…」
カイザー号がラースをちらりと見る。そして並ぶように至近距離を飛びながらラースに話しかけるのが聞こえた。
「どんな危険があっても俺がいるから。誰にも俺のラースを傷つけることは許さない。」
「うん…でも、怪我しないで」
「俺はラースのために戦う。お前さえ無事なら傷つくことは厭わない、むしろ名誉の勲章…」
カイザー号…イ、イッケメェェェン…!
ラース、いつもカイザーからその低い囁くようなイケメンボイスでそんな甘い言葉を言われてんのか…。そしてラース、お前小悪魔か!
つか、カイザー号、伝説の竜騎士エリアスの伝説のドラゴンだよね?あのね、君が戦うのはラースのためでなくてエリアスが優先だよな?
とかツッコミ入れてやろうかと思ったけれども、なんかいい雰囲気を出して何度もラブラブのアイコンタクトを取るドラゴン二匹に俺はただ呆然とした。
そしてエリアスは前だけを集中して睨んでいる。
『…この先に不穏なものがいる…心してかかれ』
ガラの声がした。
視界に黒い点がいくつか見え、それが大きくなってくる。
見たこともない化け物が三匹こちらに近づいてきた。
「シンはここで待て!カイザー、速攻!!」
エリアスの大声にカイザー号の姿が瞬時に黒い点になる。それくらい速かった。
カイザーはその化け物のど真ん中に突っ込み、雷撃のようなものが迸ると一匹が汚い悲鳴を上げて墜落していった。
『地底のモンスターだな…何故地上にいる?』
ピアスの中から頭に直接ガラが話しかけてくる。地底のモンスター…この禍々しい黒い化け物がそうなのか。
「逃げろシン!」
エリアスの声がした。カイザー号が一匹と接近して噛み合いをしている。エリアスは手から雷撃をほとばしらせてモンスターに攻撃をしているけれども相手も強い。もう一匹がこっちに向かってくる。俺とラースは身を翻らせて全速力で飛ぶ。
エリアスのほうを振り向くと、カイザー号がモンスターの首に噛みついていた。ギチギチと鋭い歯を食い込ませてモンスターの首を引きちぎりそうなほどだ。俺はあまりの迫力に声が出なかった。ラースはどんどんエリアス達から離れていき、俺は魔剣ルーカス号を握りしめる。
ラースが全速力で飛ぶけれど、このモンスターは速かった。そいつは瞬間移動のようにいきなりラースの目の前に現れた。驚いた俺は無意識に魔剣ルーカス号を奴に向けると、ルーカスの手から冷気のビームが放たれてそいつの翼をかすめた。バランスを崩したモンスターにラースがすれ違い様に口から酸を放つ。それはモンスターの足にヒットして、指先が音を立てて溶けていった。
そのままラースはまた全速力で飛んでいくけど、俺にはわかってしまった。
もうそろそろラースのスタミナが切れるのだ。これ以上の戦闘は不利しかない。それにエリアスからかなり離れてしまっている。そして困ったことに、ガラがくれた魔力は俺たちには器が小さすぎて全部利用できなかった。
「ガラごめん!魔力、うまく使えない!」
『まだまだ修行中だからやむを得んが…どうするんだ?』
「どうしよう!?とにかく応戦するしかない」
俺は立ち上がってラースの尾のつけ根へ立った。俺はラースにずっと乗ってきたから、どんな全速力でもラースのどこかに乗ってられる術はある。自転車の曲乗りみたいなもんだ。ラースもそれをわかってて飛ばしている。
魔剣ルーカス号が俺の手ごと浮き上がって前に向いた。剣の先からモンスター目掛けてまるでピストルのように冷気の弾が発射されていく。すごい、ルーカス号!
『お前の器がダメならルーカス号に魔力の弾を装填するとしよう…』
ため息混じりにガラが言った。えっそれすごくいい!伝説のドラゴン達の連携プレーじゃないか!ご面倒かけてすみません…。
本当にラースがばててきた。俺がコントロールできなくて、モンスターに当たらないんだ。奴は弾をよけながら追いかけてきて、だんだん距離がつまりだした。
ズドォン!!!
その時爆音がして、モンスターの背中がいきなり燃えた。ドラゴンが吠える声。
「シン!!!!」
赤いドラゴン、オリオン号とフィリックスがものすごい速さで近づいてくるのが見えた。
「エリアスからの救援要請で飛んできた!またエラく強いのに遭遇したな!…無事でよかった、心臓が止まるかと思った…」
フィリックスがものすごく心配した表情を見せた。
「…!ここまでこいつにやれるのは、初陣だとしたら驚異的だぞシン…ラースもよくがんばったな」
俺は必死だったので、優しいフィリックスの言葉がしみてきて、安心して泣きそうになる。
「ここからは俺がやるから。シンはラースを守ってやれ」
フィリックスが庇うように俺の前に位置を変えた。俺がラースの首を撫でると、息を上げながらラースが俺を安心させるように見る。
「…へーき。僕がシンを護る」
「ラース…」
護りたいと思ってたのはラースもだったんだ。俺がラースを護らなきゃ!って思ってたのって、思い上がりも甚だしい。俺は恥ずかしいと同時にすごく温かい気持ちになった。
オリオン号がラースに言った。
「ラース、向こうにいろ…」
「オリオン、気を付けて」
「ああ、お前を護れるなら本望だ」
「だめだよ!オリオンが怪我すんのやだ」
「ふ、可愛いことを…お前さえ無事ならいいんだ、お前を護って傷を追うならその傷さえ愛おしい」
ドラゴンって照れとかないの?
いつもこんな聞いてるほうがこっ恥ずかしいやりとりしてんの?
ってか、フィリックスにはまさか聞こえてないよね?
あなたのドラゴン、竜騎士を護る使命よりラースのためだけに生きてますとか絶対言えないなあ…。
「ラース、俺の後ろを離れるな、お前は俺が護るから」
「カイザー…」
カイザー号がラースをちらりと見る。そして並ぶように至近距離を飛びながらラースに話しかけるのが聞こえた。
「どんな危険があっても俺がいるから。誰にも俺のラースを傷つけることは許さない。」
「うん…でも、怪我しないで」
「俺はラースのために戦う。お前さえ無事なら傷つくことは厭わない、むしろ名誉の勲章…」
カイザー号…イ、イッケメェェェン…!
ラース、いつもカイザーからその低い囁くようなイケメンボイスでそんな甘い言葉を言われてんのか…。そしてラース、お前小悪魔か!
つか、カイザー号、伝説の竜騎士エリアスの伝説のドラゴンだよね?あのね、君が戦うのはラースのためでなくてエリアスが優先だよな?
とかツッコミ入れてやろうかと思ったけれども、なんかいい雰囲気を出して何度もラブラブのアイコンタクトを取るドラゴン二匹に俺はただ呆然とした。
そしてエリアスは前だけを集中して睨んでいる。
『…この先に不穏なものがいる…心してかかれ』
ガラの声がした。
視界に黒い点がいくつか見え、それが大きくなってくる。
見たこともない化け物が三匹こちらに近づいてきた。
「シンはここで待て!カイザー、速攻!!」
エリアスの大声にカイザー号の姿が瞬時に黒い点になる。それくらい速かった。
カイザーはその化け物のど真ん中に突っ込み、雷撃のようなものが迸ると一匹が汚い悲鳴を上げて墜落していった。
『地底のモンスターだな…何故地上にいる?』
ピアスの中から頭に直接ガラが話しかけてくる。地底のモンスター…この禍々しい黒い化け物がそうなのか。
「逃げろシン!」
エリアスの声がした。カイザー号が一匹と接近して噛み合いをしている。エリアスは手から雷撃をほとばしらせてモンスターに攻撃をしているけれども相手も強い。もう一匹がこっちに向かってくる。俺とラースは身を翻らせて全速力で飛ぶ。
エリアスのほうを振り向くと、カイザー号がモンスターの首に噛みついていた。ギチギチと鋭い歯を食い込ませてモンスターの首を引きちぎりそうなほどだ。俺はあまりの迫力に声が出なかった。ラースはどんどんエリアス達から離れていき、俺は魔剣ルーカス号を握りしめる。
ラースが全速力で飛ぶけれど、このモンスターは速かった。そいつは瞬間移動のようにいきなりラースの目の前に現れた。驚いた俺は無意識に魔剣ルーカス号を奴に向けると、ルーカスの手から冷気のビームが放たれてそいつの翼をかすめた。バランスを崩したモンスターにラースがすれ違い様に口から酸を放つ。それはモンスターの足にヒットして、指先が音を立てて溶けていった。
そのままラースはまた全速力で飛んでいくけど、俺にはわかってしまった。
もうそろそろラースのスタミナが切れるのだ。これ以上の戦闘は不利しかない。それにエリアスからかなり離れてしまっている。そして困ったことに、ガラがくれた魔力は俺たちには器が小さすぎて全部利用できなかった。
「ガラごめん!魔力、うまく使えない!」
『まだまだ修行中だからやむを得んが…どうするんだ?』
「どうしよう!?とにかく応戦するしかない」
俺は立ち上がってラースの尾のつけ根へ立った。俺はラースにずっと乗ってきたから、どんな全速力でもラースのどこかに乗ってられる術はある。自転車の曲乗りみたいなもんだ。ラースもそれをわかってて飛ばしている。
魔剣ルーカス号が俺の手ごと浮き上がって前に向いた。剣の先からモンスター目掛けてまるでピストルのように冷気の弾が発射されていく。すごい、ルーカス号!
『お前の器がダメならルーカス号に魔力の弾を装填するとしよう…』
ため息混じりにガラが言った。えっそれすごくいい!伝説のドラゴン達の連携プレーじゃないか!ご面倒かけてすみません…。
本当にラースがばててきた。俺がコントロールできなくて、モンスターに当たらないんだ。奴は弾をよけながら追いかけてきて、だんだん距離がつまりだした。
ズドォン!!!
その時爆音がして、モンスターの背中がいきなり燃えた。ドラゴンが吠える声。
「シン!!!!」
赤いドラゴン、オリオン号とフィリックスがものすごい速さで近づいてくるのが見えた。
「エリアスからの救援要請で飛んできた!またエラく強いのに遭遇したな!…無事でよかった、心臓が止まるかと思った…」
フィリックスがものすごく心配した表情を見せた。
「…!ここまでこいつにやれるのは、初陣だとしたら驚異的だぞシン…ラースもよくがんばったな」
俺は必死だったので、優しいフィリックスの言葉がしみてきて、安心して泣きそうになる。
「ここからは俺がやるから。シンはラースを守ってやれ」
フィリックスが庇うように俺の前に位置を変えた。俺がラースの首を撫でると、息を上げながらラースが俺を安心させるように見る。
「…へーき。僕がシンを護る」
「ラース…」
護りたいと思ってたのはラースもだったんだ。俺がラースを護らなきゃ!って思ってたのって、思い上がりも甚だしい。俺は恥ずかしいと同時にすごく温かい気持ちになった。
オリオン号がラースに言った。
「ラース、向こうにいろ…」
「オリオン、気を付けて」
「ああ、お前を護れるなら本望だ」
「だめだよ!オリオンが怪我すんのやだ」
「ふ、可愛いことを…お前さえ無事ならいいんだ、お前を護って傷を追うならその傷さえ愛おしい」
ドラゴンって照れとかないの?
いつもこんな聞いてるほうがこっ恥ずかしいやりとりしてんの?
ってか、フィリックスにはまさか聞こえてないよね?
あなたのドラゴン、竜騎士を護る使命よりラースのためだけに生きてますとか絶対言えないなあ…。
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