異世界に転生したら竜騎士たちに愛されました

あいえだ

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竜騎士になったよ

フィリックスたなぼた

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初めてのお休みをもらった俺は、することがなくて、ラースとパトロールとは別に遠乗りに出かけることにした。ヘラクレス号はお留守番してもらうことにした。

ラースがとても嬉しそうだ。久しぶりの二人だけのお出かけ。魔剣ルーカスも、ピアスのガラもいるし、大丈夫!

夜明け前にそっとフィリックスのベッドを抜け出した俺はドラゴン舎からラースと出かける。

「いってきまーす」

ラースは俺を乗せて一気に空へと舞うように飛んだ。

暁の空とまだ暗い街を見下ろした。とても美しい景色、遠くに俺の故郷、辺境の田舎にも続くこの空。

「どこいくの?」

シンクロしているから、ラースと会話ができる。

「うーん…こないだエリアスにもらった国の観光ガイドにあった遺跡とかに行ってみようかと。東へ向かって」
「わかった。相変わらず歴史好きだね、シン」

俺は歴史が大好きだ。生まれ故郷の辺境の村は大昔に栄えた国があったらしく、言い伝えが多いのも理由なのかもしれない。長老は神官も兼ねていて、俺は神殿が遊び場所だった。
今日いく予定にしてるのは、その大昔の国と関係があったらしいという遺跡。遠足気分だ、楽しみだな。

一時間ほど飛ぶと、山深い森の中にそれはあった。壊れた石像が散らばり、石垣も崩れている。誰もいない、捨て去られた遺跡。そこかしこに石垣を抱くように木の根がうねっている。

こんなの大好きだーーー!俺はワクワクした。

「すごいね、ここ…シン、怖いから離れないで。」

ラースが後を必死でついてくる。かわいいな。

昔ここには沢山の人がいて、生活をしていて…。そんな妄想をしながら俺は辺りを散策した。

ある大きな施設の跡地のような場所に出た。資料によると、王の屋敷の近くに神殿があったそうで、辺境の村にあるのと同じような紋様が書いてある石碑を見つけた。

「おおー。村のと同じだね。同じ国だったんだろうか?」
「さあ?僕にはわかんないもん」
「ロマンがないねぇラース」

なんて軽口を言いながら荒れた遺跡の奥へと進んでいく。

『懐かしいな…ここは昔、竜騎士と来たことがある』

ガラが感慨深そうに言う。

『ここには一般には知られてない伝説があってな…伝説の竜騎士の祖が祀られてるら、そこの石碑に書いてあるぞ』

ガラに言われて、古代文字が羅列している石碑をみた。ちんぷんかんぷんだけどね。

「へえ!伝説の竜騎士の初めの人?」
『大昔の話だ。それによると、伝説の竜騎士は人ではなかったらしい。異世界の番人、神の使い、天界の青年だったそうだ』
「天界…?」

ガラは話し始めた。

『太古の昔、天界の青年が人間に恋をした。美しい人間の容姿をした天界の青年はすぐに人間と結ばれ、幸せに暮らした。』

「うん、よかったね」

えーと、ここでも青年と青年なんだな。もうツッコむのはやめよう。

『この話には続きがあるのだ。ある時、太古の化け物、魔というものが忍び寄り、その人間の青年の命を奪ってしまった。悲しみにくれる天界の青年は仇を討つために戦い、その時に散った命が彼の最後の魔法により多くの人々の体の組織に組み込まれ…その中から稀に、伝説の竜騎士と呼ばれる者が生まれる。そして天界の使い、ドラゴンに守られて誕生するようになった…らしい。
知らんけどってそこの石碑にも書いてあるからこれは伝説の域を出ないが。
俺も生まれながらに竜騎士を守るように天から遣わされたと思ってる。あぁ一気に話して疲れた』

すごい話を聞いてしまった。

魔、って言ったよね?さっき。

「魔?あのさ、伝説の竜騎士が二人現れたら甦るっていう…」
『さあな?竜騎士への怒りで魔が甦るのかも…』

突然ラースが唸り、魔剣ルーカスが鈍く光った。

気持ち悪い触手をもったモンスターが数体現れて、俺たちはみるみるうちに取り囲まれる。

『魔のモンスターだ…いつの間に』

ガラが忌々しそうに言った。

「ラース!逃げろ!」

俺は自分よりラースが心配になった。でもここは広いとはいえ屋内だから飛ぶことも不自由だ。飛んだときに襲われたらラースだけが傷つく可能性がある。それにまだ俺は治癒の魔法は上手くない。

触手が伸びてきて、俺は魔剣ルーカスで凍らせながら応戦をした。ラースも冷凍波を口から放ち、触手を凍らせていく。
でも、キリがなくて俺は腕に巻き付かれて魔剣ルーカスを取り落としてしまった。ラースも触手にぐるぐる巻きにされてしまう。

俺の体を調べるように触手が服の中に直に入り込んできて粘液で溶かし始めた。うわああ!やめろ!俺まで溶けちゃうじゃん!

その瞬間、触手のモンスターが燃え上がった。

え?何が起こったの?

見ると、ヘラクレス号が壊れた遺跡の屋根から顔を覗かせているのが見えた。追いかけてきてここから熱線でやっつけてくれたのか…。燃え上がるモンスターはもがき苦しみ、俺は隙を見てラースを連れて逃げ出した。

「ヘラクレス号っ!ありがと!」

俺はヘラクレス号に走って抱きついた。怖かったよう!
ラースも俺と一緒に抱きついたので、ヘラクレス号は赤くなって固まった。

「シ、シン…」
「ん?」

声がして振り向くと、フィリックスがオリオン号を連れて立っていた。顔が真っ赤だ。目が泳いでいる。

「来てくれたのフィリックス?…どうしたの、顔が真っ赤だよ?」
「いや、ベッドを抜け出したシンが心配で…ヘラクレス号がらここまで連れてきてくれて。追ってきたらこんなラッキー…いや、こんなひどい目にあってたなんて!」

フィリックスがマントを脱いで俺にかけて抱き締める。

あ。

俺は自分の姿を確認して赤くなった。裸よりもっと恥ずかしい、ちょっと見せられないところがチラ見えしてる俺にフィリックスが照れてしまっている。全く目を合わせてくれなかった。

フィリックス、いま、ラッキーって言ったよな?

オリオン号がヘラクレス号からラースを引き剥がして抱き締めたまま行ってしまった。

オリオン号まで…。



























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