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竜騎士になったよ
ハンターダリウス
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日が高くなり、時間だけが過ぎていく。エリアスやフィリックスに交信を呼び掛けるけど、魔力をオリオン号に供給してるためか、ここが森深いせいだからなのか、まだ二人に連絡がとれないでいる。
焦るばかりの俺はどうしていのかわからない。魔法で治癒ができないので、とにかく傷をこれ以上ひどくしないための体力となる魔力をオリオン号に注ぐしかできなかった。
オリオン号はぐったりして動けないでいる。相当痛いんだろう、時々苦痛に顔を歪めて呻いていた。でも、側に寄り添うラースに無理して時々微笑みかけるんだ。ラースに心配させまいとする優しいその表情が、より痛々しく見えた。
このまま、俺の体力が尽きたらみんな終わる。ラースを王宮に伝令として飛ばそうかとも思ったけれど、もしラースだけでモンスターに遭遇してしまったらと思うと、ムリだと判断した。
遠くから何だか獣の遠吠えが聞こえる。オリオン号の血の匂いを嗅ぎ付けたんだろうか。
突然、茂みからうなり声がして現れたのは犬だった。
「犬か…」
俺は目線を逸らし、ん?と思ってそいつを二度見した。
「は?うそ…!狼じゃん!」
そいつは頭が3つついていた。妖怪なの?化け物なの?
前世に図鑑で見た、ファンタジーとかに出てくるケルベロスとかいうやつだよね?この世界にはこんなのはいないはず。…ということは魔のモンスターである可能性が高い。
訳がわからなくて固まっていると、ぞろぞろとケルベロスが数匹に増えていく。
もう、そうなってくると頭がいくつあるのかわからない。そしてどこを基準に数えるの?混乱してきた俺の表情が険しくなる。
そして、ピンチすぎない?
このままいくと俺達は食べられて、いつか白骨で発見されたりするんだろうか。そしてニュースに出ちゃうんだろうか。
いや待て、そもそもケルベロスが発見されるほうが大ニュースになるな。
俺はケルベロス以下か。悲しい…
悶々と考えている暇はないかもしれないと我に帰り、ケルベロスがジャリ、と砂を踏む音が俺の恐怖を駆り立てた。ラースは必死でオリオン号を庇って構えている。
「グワアッ」
一匹が声を上げて牙を剥き出し、オリオン号へ飛びかかって来たとき。
黒い影が前を遮った。
「キャウン!」
ケルベロスの悲鳴がして一匹が真っ二つになった。影が目にも止まらぬ早さでケルベロスを片付けていった。全部を退治すると、その影は大きな剣をひと振りして動きを止めた。
すごい剣技だったな。俺は目を見開いてただ見惚れるしかできなかった。
「大丈夫か?」
その人は、フードを外し俺のほうを振り向いた。
い、イケメン…。銀髪に赤い瞳。整いすぎた容姿。全身黒い装束に長く大きな剣を持った若い男性だった。
この人…ハンターの装束だ…!ハンターというのはモンスターはもちろん、ドラゴンまで狩りの対象にしている賞金稼ぎだ。俺はラースとオリオン号を守るように前に進み出ると、その男性は笑って俺に話しかけた。
「大丈夫、俺はドラゴン狩りはしない主義だ。モンスター専門。…おい、怪我をしているな?っ…お前は…!」
男性がオリオン号の腹の辺りを見て驚いた表情で近づいた。
オリオン号に手をかざすと彼の手のひらが白く光り、不思議なことに、みるみる火傷が治っていくのだ。目を閉じたオリオン号は大きく息を吐いて、だんだんと呼吸が落ち着いていった。
すごい…こんなすごい治癒の魔法は見たことがない。それにドラゴンはこの人にいっさい威嚇などはしなかったのも不思議だった。
しばらくすると、完全にオリオン号の傷は回復して、起き上がる。
「すごい…!」
思わず出た俺の声を聞いた男性が微笑んだ。
「お前、竜騎士か?」
頷く俺に、その男性はオリオン号を見て言った。
「大きくなったな…」
「え?オリオン号を知ってるの?」
俺は驚いた。
「…オリオン号というのか。昔、助けたことがある。脇に俺の焼きごてが入ってるから確実だ。それがあれば他のハンターは手出しできないからな。俺はダリウスだ、よろしく」
「あ、俺はシンです」
確かに、オリオン号の脇にはハンターの焼きごてがある。そらはダリウスの印だったのか。
「そいつは幼い頃、ドラゴンハンターに狩られて剥製職人の所に持ち込まれかけていたのを、俺がオークション会場で現場を押さえてな…。まだ仮死状態だったんだ。俺が治癒して信頼できる牧場に保護してもらいながら飼い主を探してたんだが全く見つからなくて。だが、竜騎士のドラゴンになってたとはな。目立たないように容姿も変えて、茶色くなるように魔法をかけたのに…自分で破りやがったんだな。血は嘘を言えないか…」
困ったやつだ、と言うような笑顔でダリウスがオリオン号の体をポンポンと叩いた。
「こどもの頃の記憶がないって言ってたのは、そんなことがあったからだったのか…オリオン号」
俺はオリオン号に話しかけると、ダリウスが驚いて俺を見る。
「え?何だ?お前ら再会したってことだろ、お前が飼い主だよなシン?じゃあ、シンは伝説の竜騎士…。そうか、そうだよな、このオリオン号は伝説の竜騎士のドラゴンだもんな、幼い頃からあんな赤くて美しい容姿をしてたんだからな。記憶がもどって覚醒したら、まだ形が変わるぞ」
え?ちょっと待ってダリウス。
伝説の竜騎士のドラゴン?
誰が?
オリオン号が?
焦るばかりの俺はどうしていのかわからない。魔法で治癒ができないので、とにかく傷をこれ以上ひどくしないための体力となる魔力をオリオン号に注ぐしかできなかった。
オリオン号はぐったりして動けないでいる。相当痛いんだろう、時々苦痛に顔を歪めて呻いていた。でも、側に寄り添うラースに無理して時々微笑みかけるんだ。ラースに心配させまいとする優しいその表情が、より痛々しく見えた。
このまま、俺の体力が尽きたらみんな終わる。ラースを王宮に伝令として飛ばそうかとも思ったけれど、もしラースだけでモンスターに遭遇してしまったらと思うと、ムリだと判断した。
遠くから何だか獣の遠吠えが聞こえる。オリオン号の血の匂いを嗅ぎ付けたんだろうか。
突然、茂みからうなり声がして現れたのは犬だった。
「犬か…」
俺は目線を逸らし、ん?と思ってそいつを二度見した。
「は?うそ…!狼じゃん!」
そいつは頭が3つついていた。妖怪なの?化け物なの?
前世に図鑑で見た、ファンタジーとかに出てくるケルベロスとかいうやつだよね?この世界にはこんなのはいないはず。…ということは魔のモンスターである可能性が高い。
訳がわからなくて固まっていると、ぞろぞろとケルベロスが数匹に増えていく。
もう、そうなってくると頭がいくつあるのかわからない。そしてどこを基準に数えるの?混乱してきた俺の表情が険しくなる。
そして、ピンチすぎない?
このままいくと俺達は食べられて、いつか白骨で発見されたりするんだろうか。そしてニュースに出ちゃうんだろうか。
いや待て、そもそもケルベロスが発見されるほうが大ニュースになるな。
俺はケルベロス以下か。悲しい…
悶々と考えている暇はないかもしれないと我に帰り、ケルベロスがジャリ、と砂を踏む音が俺の恐怖を駆り立てた。ラースは必死でオリオン号を庇って構えている。
「グワアッ」
一匹が声を上げて牙を剥き出し、オリオン号へ飛びかかって来たとき。
黒い影が前を遮った。
「キャウン!」
ケルベロスの悲鳴がして一匹が真っ二つになった。影が目にも止まらぬ早さでケルベロスを片付けていった。全部を退治すると、その影は大きな剣をひと振りして動きを止めた。
すごい剣技だったな。俺は目を見開いてただ見惚れるしかできなかった。
「大丈夫か?」
その人は、フードを外し俺のほうを振り向いた。
い、イケメン…。銀髪に赤い瞳。整いすぎた容姿。全身黒い装束に長く大きな剣を持った若い男性だった。
この人…ハンターの装束だ…!ハンターというのはモンスターはもちろん、ドラゴンまで狩りの対象にしている賞金稼ぎだ。俺はラースとオリオン号を守るように前に進み出ると、その男性は笑って俺に話しかけた。
「大丈夫、俺はドラゴン狩りはしない主義だ。モンスター専門。…おい、怪我をしているな?っ…お前は…!」
男性がオリオン号の腹の辺りを見て驚いた表情で近づいた。
オリオン号に手をかざすと彼の手のひらが白く光り、不思議なことに、みるみる火傷が治っていくのだ。目を閉じたオリオン号は大きく息を吐いて、だんだんと呼吸が落ち着いていった。
すごい…こんなすごい治癒の魔法は見たことがない。それにドラゴンはこの人にいっさい威嚇などはしなかったのも不思議だった。
しばらくすると、完全にオリオン号の傷は回復して、起き上がる。
「すごい…!」
思わず出た俺の声を聞いた男性が微笑んだ。
「お前、竜騎士か?」
頷く俺に、その男性はオリオン号を見て言った。
「大きくなったな…」
「え?オリオン号を知ってるの?」
俺は驚いた。
「…オリオン号というのか。昔、助けたことがある。脇に俺の焼きごてが入ってるから確実だ。それがあれば他のハンターは手出しできないからな。俺はダリウスだ、よろしく」
「あ、俺はシンです」
確かに、オリオン号の脇にはハンターの焼きごてがある。そらはダリウスの印だったのか。
「そいつは幼い頃、ドラゴンハンターに狩られて剥製職人の所に持ち込まれかけていたのを、俺がオークション会場で現場を押さえてな…。まだ仮死状態だったんだ。俺が治癒して信頼できる牧場に保護してもらいながら飼い主を探してたんだが全く見つからなくて。だが、竜騎士のドラゴンになってたとはな。目立たないように容姿も変えて、茶色くなるように魔法をかけたのに…自分で破りやがったんだな。血は嘘を言えないか…」
困ったやつだ、と言うような笑顔でダリウスがオリオン号の体をポンポンと叩いた。
「こどもの頃の記憶がないって言ってたのは、そんなことがあったからだったのか…オリオン号」
俺はオリオン号に話しかけると、ダリウスが驚いて俺を見る。
「え?何だ?お前ら再会したってことだろ、お前が飼い主だよなシン?じゃあ、シンは伝説の竜騎士…。そうか、そうだよな、このオリオン号は伝説の竜騎士のドラゴンだもんな、幼い頃からあんな赤くて美しい容姿をしてたんだからな。記憶がもどって覚醒したら、まだ形が変わるぞ」
え?ちょっと待ってダリウス。
伝説の竜騎士のドラゴン?
誰が?
オリオン号が?
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