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プロローグ
はじまらない。
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「はは…私の野望は潰えるのか……ぐっ」
勇者の全身全霊の一撃によってやっと、致命傷を与えることができた。魔王の体制が崩れる。
「勇者!!早くトドメを!!」
「勇者様ッ!!」
私たちは叫ぶ。ここで仕留めなければ。
「…ッ!!うおおおおおおおおお!!」
魔王の体を引き裂く一撃。裂かれた部分から淡い光となって消えていく。
「…あぁ、見事だ。…私の妹も、このようにアイツを倒したのだろうな…向こうで、妹に、ソロに会えるだろうか…」
「…魔王、お前の過去に何があったか知らないが、人類を滅亡させようとした罪は重い。会えるとは思わないことだな」
魔王は苦い顔をする。
「あぁ、そうだろうな。覚悟は出来ている…何れこうなることはわかっていたさ」
魔王がこちらを向く。…心なしか魔王の雰囲気が柔らかくなった。
「時の魔導士、空間の魔導士よ。貴様らは周りに恵まれている。その幸せを受けれない奴らもいるのだ。私たちのように、な。…だからこそ、大切にするのだぞ」
勇者の方に振り向く。勇者に倒されたとは思えないほどに穏やかに微笑みながら。
「勇者よ。貴様は数ある人間の中から選ばれ、私を倒すためにここまでたどり着けたのは後ろの魔導士たちが居たからだ。もしもこの先に絶望する事があるなら、魔導士たちを頼れ。勇者、お前は1人ではない」
「魔王、お前…」
魔王だとは思えない慈愛に満ちた言葉。心に染み渡る言葉。…なら、何故魔王に…?
「くははは…不思議な物だ。妹がいた時の頃を思い出してしまってな。つい、助言をしてしまったわ」
光が天に昇っていく。消える前に、1つ聞かなければ。
「魔王、貴方は何故、魔王になったのですか…?そのような心を持ちながら、何故…?」
魔王は自嘲しながら言う。
「とある国への復讐、妹を殺した、な。虚しいものだろう?…だが、それだけが心残りだ。」
そう囁きながら消えていった。
―――
「というような事があったのです賢者様。何か心当たりはありますか?」
「ふーん、復讐ねぇ…」
魔王が最期に言った復讐という言葉。それがどうも気になって仕方がない。私が知っている限りでは国家の命令によって殺害を命じるような国なんてない。どの国も国民を大切にしている。そのような黒い噂なんて聞いたことがない。
「いいや、私もしらないな。だが、魔王が出現する直前に魔王の妹とやらは殺されたのだろうな。そもそも、魔王に妹がいたとはな…」
賢者様でも知らなかったことだ。私が知っている訳が無い。
「…まぁ調べておいてやるよ。私も気になることが出来た」
「ありがとうございます。賢者様」
賢者様に手伝って貰えるならば百人力だ。
「…ところで、だ。お前、魔王を倒して直ぐに此処へ来たな?」
「…は、はい。そうです」
「戯け!!お前はいつも考えていることを最優先にしているな!?こんな所に来ておる暇があったらさっさと休まんか!!」
「はいッ!!失礼しました!!」
勇者の全身全霊の一撃によってやっと、致命傷を与えることができた。魔王の体制が崩れる。
「勇者!!早くトドメを!!」
「勇者様ッ!!」
私たちは叫ぶ。ここで仕留めなければ。
「…ッ!!うおおおおおおおおお!!」
魔王の体を引き裂く一撃。裂かれた部分から淡い光となって消えていく。
「…あぁ、見事だ。…私の妹も、このようにアイツを倒したのだろうな…向こうで、妹に、ソロに会えるだろうか…」
「…魔王、お前の過去に何があったか知らないが、人類を滅亡させようとした罪は重い。会えるとは思わないことだな」
魔王は苦い顔をする。
「あぁ、そうだろうな。覚悟は出来ている…何れこうなることはわかっていたさ」
魔王がこちらを向く。…心なしか魔王の雰囲気が柔らかくなった。
「時の魔導士、空間の魔導士よ。貴様らは周りに恵まれている。その幸せを受けれない奴らもいるのだ。私たちのように、な。…だからこそ、大切にするのだぞ」
勇者の方に振り向く。勇者に倒されたとは思えないほどに穏やかに微笑みながら。
「勇者よ。貴様は数ある人間の中から選ばれ、私を倒すためにここまでたどり着けたのは後ろの魔導士たちが居たからだ。もしもこの先に絶望する事があるなら、魔導士たちを頼れ。勇者、お前は1人ではない」
「魔王、お前…」
魔王だとは思えない慈愛に満ちた言葉。心に染み渡る言葉。…なら、何故魔王に…?
「くははは…不思議な物だ。妹がいた時の頃を思い出してしまってな。つい、助言をしてしまったわ」
光が天に昇っていく。消える前に、1つ聞かなければ。
「魔王、貴方は何故、魔王になったのですか…?そのような心を持ちながら、何故…?」
魔王は自嘲しながら言う。
「とある国への復讐、妹を殺した、な。虚しいものだろう?…だが、それだけが心残りだ。」
そう囁きながら消えていった。
―――
「というような事があったのです賢者様。何か心当たりはありますか?」
「ふーん、復讐ねぇ…」
魔王が最期に言った復讐という言葉。それがどうも気になって仕方がない。私が知っている限りでは国家の命令によって殺害を命じるような国なんてない。どの国も国民を大切にしている。そのような黒い噂なんて聞いたことがない。
「いいや、私もしらないな。だが、魔王が出現する直前に魔王の妹とやらは殺されたのだろうな。そもそも、魔王に妹がいたとはな…」
賢者様でも知らなかったことだ。私が知っている訳が無い。
「…まぁ調べておいてやるよ。私も気になることが出来た」
「ありがとうございます。賢者様」
賢者様に手伝って貰えるならば百人力だ。
「…ところで、だ。お前、魔王を倒して直ぐに此処へ来たな?」
「…は、はい。そうです」
「戯け!!お前はいつも考えていることを最優先にしているな!?こんな所に来ておる暇があったらさっさと休まんか!!」
「はいッ!!失礼しました!!」
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