〔時〕〔空〕冒険記

irohani

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水の国【ファウンテン】

アクア大聖堂。

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「やっと、着いたね」

「ウチ、もう、無理、食べ歩きし過ぎた…まだ苦しい…」

何故か満身創痍のコーロ…ただの食べ過ぎだと思うけど。放っておいてもきっと、大丈夫。と思いつつ私も結構ヤバい。

夕方頃になってやっと辿り着いたアクア大聖堂。その大きさは小さな国のお城より大きく、立派なステンドグラスで豪華に装飾されている。大聖堂所々から水が流れ落ちていて、とても幻想的だ。

大聖堂の目の前には大きな噴水があり、憩いの場となっている。噴水の水の勢いはあまり良くなく、シンボルとしては少しだけ物足りなく感じた。

そういえば、所々に水路があったけど水量が少なかったような…?

「つかまえた!!」

「ぼくがおにー!!いーち、にーい…」

私たちは噴水のそばのベンチに座って少しだけ休憩していた。そこで子供達が遊んでいるのを眺めていた。

身につけているものは結構ボロボロだけど、そんなことを気にすることなく楽しそうに遊んでいる。

「まてー!!」

「うわわわわわ」

「きたああ!!」

鬼ごっこをしているのかな?…ずっと走りまわってて元気だなぁ…?…ボールが転がってきた。転がってきた方向を見ると、女の子がこちらに向かって走ってきていた。

「おねーさん!!そのボールとってー!!」

「お、ウチに任せな」

休憩して、多少回復したコーロが調子に乗って魔法を使ってボールを拾い上げる。魔力の無駄遣い。

「なにそれー!!どうやったの!?」

「すごいすごい!!」

…子供受けはバッチリみたいだ。

「ん?これのことか?」

そう言ってコーロは魔法を使ってボールを浮かばせる。コーロが言うには応用らしい。

「おー!!」

「ういてるー!!」

「もっとみたい!!」

大絶賛みたいだ。輝いた目でコーロを見ている。

「あー、ねーちゃんさ、そこに用事…まぁ用事があるんだ。だから…」

アクア大聖堂を指をさしたコーロに子供達が反応する。

「あー!!もしかしてじいちゃんに用事があるの!?」

「じいちゃん…?いや、そういう…」

「そうなの!?じゃあ私がつれてくー!!」

「ちょ、まって」

コーロが連れていかれた。女の子が楽しそうにひっぱっている。…仕方ないから着いていこう。

「じいちゃんー!!お客さーん!!」

大聖堂の入口で叫びながら入っていく。それに続いて私も大聖堂に入った。

「お邪魔します」

「おっ、また見慣れない顔だ。…もしかして、さっきの奴の連れかい?」

入ってすぐに声をかけられる。赤茶色のセミロングで白いリボンがついたカチューシャをしている。継ぎ接ぎでくたくたのエプロン姿で、私を迎えてくれた。

「どうも、私はクロノ。さっき連れてかれたのはコーロ」

「私はアリア…ってごめんね、うちの子が」

「さっきの子に気に入られたみたいで…」

子供達相手だと、結構大人しい事がわかったのはいい収穫だ。

「あぁ、またリムが連れてきたのか…まぁ、とりあえず座ってよ。お茶ぐらいは出させてもらうよ」

そう言ったので、座って待つ事にした。遠くからコーロの困っている声が聞こえてくる。

あだーー!!とかまてまてまて!!とか。

「そうだ、折角だからご飯食べてってよ。うちの子達が振り回しちゃってるからさ」

「…それでいいなら?」

「何故疑問形…?まぁ1人2人増えても問題ない量は作ってあるから気にせず食べてってよ」

それならありがたく頂こう。献立はなんだろうか。

「晩飯の時間だぞー!!帰ってこーい!!」

「ごはん!?」

「おなかすいたー!!」

「ぼくがいちばん!!」

アリアが招集をかけるとすぐに子供達が集まってきた。よっぽどお腹が空いていたのだろう。

みんなが集まったと思ったらアリアが点呼を始めて、ちゃんと居るのか確認をしていた。

「リムがいなーい」

「どこにいるのー?」

コーロを連れていった子がまだ来ていないみたいだ。よっぽどコーロの事が気に入ったらしい。

「はいはーい!!いまーす!!」

「ちょ、あんま、り引っ張らないで服が伸びる」

へとへとになったコーロ。肩で呼吸をしているから、よっぽど疲れたのだろう。多分食べ歩きした分のカロリーは消費されたかな?

「…慕われてるね」

「おま、助けに来いよ…」

床に座り込んでぐてーっとだらけながら私を睨んでくる。魔法使わなければよかったのに。

「それはともかく、晩御飯ご馳走してくれるみたいだよ?折角だから食べていこうよ」

「げっ、まだ食うのかよ…って言いつつウチもお腹へってるわ」

私たち二人はどうも燃費が悪いのだ。お腹がはち切れるぐらい食べてもおやつが必要になるぐらいには。

「んじゃあお言葉に甘えて食べていこうか」

「あー!!おねーさんもたべるって!!」

「リム、もう晩御飯だからおちつけって。食べ終わったら遊んでやるから」

「やったー!!」

リムと呼ばれた女の子は何して遊ぼうか考えているみたいだった。

「ごめんなさい、リムが勝手に振り回して」

「別にいいさ。意外とウチさ、ちっちゃい子と遊ぶの好きなんだ」

まぁ時々ぶっ飛んだことを言われて対応に困るんだけどな、と苦笑いしながらリムの方を見ていた。

「…おや、お客様がいらっしゃっていたのですか。私はヒュドール。ここの神父をやっています」

扉を開けて入ってきたお爺さん、と言うよりはおじさん。神父と言われて納得出来る優しいオーラを放っているような気がする。

白を下地とした祭服に青い装飾でメガネをかけている。

「じいちゃん!!ごはんだよ!!」

「はやくたべよー!!」

「おなかすいた!!」

「わかりましたから、早く座ってください。ちゃんとアクア様に感謝をして頂きましょう」

随分懐かれているようだ。

「お客人も良ければ参加して頂けますかな?」

もちろんだ。豪に入れば郷に従えと言うから、喜んで。


水の国ファウンテンの事で聞きたいことができたから、それは食事中に聞くとしよう。まずは晩御飯からだ。

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