「刀には竜、花は咲かず」~孤独なおっさん武術家と毒舌アイドルの異世界タッグ~

アサバハヤト

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第一章 竜の巻 ようこそ、異世界へ。

1-02 再開

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「変だな……」瑚依が頬に指を当て、眉を寄せて首をかしげた。汚れた頬に汗が流れ、口元が開いて白い歯が覗いた。「もしかして、違う言葉があるのかな?」彼女が唇を尖らせ、指先でブラウスの袖を摘まんだ。

「おい、バカな真似やめろ。」俺が首を振って眉を寄せた。「ここはラノベじゃねえんだ。」腕を組み、足元の瓦礫をカツンと蹴った。

「知ってるって!そんなことくらい!」瑚依が頬を膨らませ、顔を赤くして叫んだ。彼女が拳を握り、俺に一歩近づいた。「私は試してみる努力をしてるだろ!おっさんはずっと人をからかってばっかで、もっとマシな方法があるなら言い出しなよ!」彼女が胸を張り、ブラウスの襟がズレて鎖骨のくぼみが炎の光に映えた。

 俺が首を振って息を吐いた。「まずは周りの状況を把握する。手がかりがあるかもしれねえ。無駄な騒ぎを避けるためにも、静かに行動しろ。」眉を寄せ、腕を組んだ。

「……何だよ、それ。」瑚依が唇を尖らせ、肩を落とした。汚れた手がスカートの裾を握り、首を振った。「地味だし、ダサい。」彼女が足を軽く踏み鳴らし、スカートの裾が揺れた。

「勝手に言え。」俺が肩をすくめ、首を振った。生存の法則は、格好良さのために存在してねえ。

 その瞬間、破損した機内で軋む音が響いた。月の光が差し込む割れた窓の下、倒れた座席の背もたれの隙間から、何かが動く気配がした。金属片がカタンと跳ね、影がゆらりと揺れた。

「何!?」瑚依が目を丸くして叫び、俺の袖をギュッと掴んだ。汚れた指が俺の腕に食い込み、髪が肩を滑り落ちた。

「シィーッ!」俺が指を唇に当て、瑚依に静かにするよう合図した。膝を軽く曲げ、いつでも動ける構えを取った。視線を鋭くして周りを伺い、瓦礫の隙間を見つめた。

 残骸がギシッと軋む音と共に、座席の隙間から低い男の声が漏れ聞こえた。「……この声、まさか浅羽の小僧と、あのお嬢ちゃんか?」声が掠れ、聞き覚えのある響きが耳に届いた。

 俺と瑚依が同時に振り返った。瑚依の指が俺の袖をギュッと握り、口元が開いて白い歯が覗いた。10年間聞き飽きたその声は、間違いなく松尾真一郎警部だ。

「刑事のおっさんだ!」瑚依が目を丸くして叫び、汚れた頬が緩んだ。「ほら!私たち以外にも生きてる人がいるんだよ!」彼女が拳を握り、足を軽く踏み鳴らした。彼女の動きに合わせてスカートの裾が揺れた。

「よく生きてるな。」俺が首を振って口元を緩めた。「悪人栄えて善人滅びるってやつか?」腕を組み、瓦礫の隙間を見つめた。

 瑚依が眉を寄せ、足を上げて俺の尻を軽く蹴った。彼女のスカートが揺れ、首筋が炎の光に映えた。「……ふん。」松尾の声が低く響き、掠れた。「そのセリフ、そのまま返すぞ。お前らも、大した怪我はねえようだな?」声が瓦礫の間で反響した。

「ああ、そうだ。」俺が瑚依の足をかわし、首を振った。「自分で出てこれるか?それとも助けがいるか?」眉を寄せ、膝を軽く曲げた。

「……ああ、大丈夫だ。ただ……」松尾の声が小さく掠れ、瓦礫がカタンと動いた。「視界が何だか変だ。低いし、左右の視野が広い……体の感覚も……まるで……」声が途切れ、座席の背もたれがギシッと軋んだ。

 倒れた座席の背もたれがゆっくり押し開かれ、隙間から月の淡い光が差し込んだ。その光に照らされ、座席の影から小さな黒い影が現れた。影がゆらりと揺れ、まるで夜の闇に紛れてるみてえだ。いや、「一匹」と言うべきか?

 黒い影が4つ足で地面を這うように動き、緩慢だが確実に近づいてきた。煤けたカーペットがカサカサと擦れ、小さな爪が床をカツカツと叩いた。

 近くまで来ると、それが毛皮に覆われた小さな動物だと分かった。丸い顔にクリクリした黒い目、短い足がもぞもぞと動き、ふさふさした毛が月の光に照らされた。

「おい……松尾……お前……」俺が目を細め、首をかしげた。瑚依が俺の袖をギュッと握り、口元が開いて白い歯が覗いた。

「ん?何だ、その顔。幽霊でも見たか?……ってか、なんでお前らの体がでかくなったんだ?俺が変なのか、お前らが変なのか?」松尾の声が低く響き、聞き慣れた口調が耳に届いた。

 その声は間違いなく松尾真一郎警部だ。だが、その声を発してる「本体」はまるで別物だった。

 松尾の口調で話すその「本体」は、ふさふさした毛皮に覆われた小さな動物だった。丸々とした体に短い足、丸い顔にクリクリした黒い目が月の光に映え、どこか人懐っこい雰囲気を漂わせてた。

 事故前、乗客たちにハイジャック犯を倒した大英雄と讃えられ、ペット専用キャビンから脱走した小動物——カピバラの「ナルト」くんだった。

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