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第一章 竜の巻 ようこそ、異世界へ。
1-07 集団
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遠方から響く唸り音が、少しずつ、だが確実に大きくなってきた。重厚な低音が暗闇を震わせ、まるで地底から湧き出るみてえな響きが、周囲に散らばるスクラップの残骸を微かに揺らした。音の波が荒廃した景色全体に広がり、足元の瓦礫がカタカタと震えた。
その音が、次第に異様なリズムを刻み始めた。巨大な心臓が悠然と鼓動するみてえな、力強い振動が地面を伝い、足元を揺らし続けた。ゴゴゴッという低音が空気を震わせ、耳鳴りが響く。
地平線の向こうから砂煙が上がり、何かが近づいてくる音が響いた。俺の心臓がドクドクと高鳴り、視界が一瞬ぼやけた。遠くから暴走族の絶叫みてえな雄叫びが聞こえ、その振動の主が視界に飛び込んできた。
遠く、煙を上げながら突進してくる集団を俺がじっと見つめた。盗賊みてえな連中が雄叫びを上げ、馬とも獣ともつかねえ怪物に鞭を打ち、砂塵を舞い上げながらこっちへ向かってくる姿が確認できた。
……いや、そいつらを『馬』って呼ぶのは、適切じゃねえな。
視界に飛び込んできたのは、二足歩行の怪物たちだった。ざっと見渡すと、30匹はいる。頭部はエリマキトカゲみてえな形状で、身体はヴェロキラプトルに似た、地球上じゃ見たことねえ奇怪な姿だ。鋭く尖った牙がギラリと光り、強靭な足腰の筋肉がうねる。そいつらの生命力と野生の脅威が、遠目でもビリビリと伝わってきた。怪物たちの身体には奇妙な装飾品や金属製の鎧が取り付けられ、槍や剣、鎌が体側に揺れてた。長大な刃がチラチラと光り、存在感を主張した。
そいつらの背に乗ってたのは、見た目からして盗賊そのものの連中だ。野性的な雰囲気を漂わせ、十字弩、斧、剣、棍棒といった武器を手に握ってた。全身を覆う防具は粗雑で、まるで略奪した装備を適当に身に纏ったみてえだ。色とりどりの布や剥ぎ取った皮が混在し、細かな刺繍が施されたものもあれば、ボロボロの革を巻いただけのやつもいた。炎の光が近づくにつれて、連中の顔が浮かび上がった——顔が歪み、口元が引きつってギラギラと目を光らせた。一目で分かる、平和的な話し合いなんて通じねえ荒々しい連中だ。
後列では、2匹の獣に引かれた何かがゴロゴロと進んでた。古代の戦争で使われた「チャリオット」みてえな二輪の戦闘用馬車に似てたが、この状況で「馬車」って呼ぶのは適切じゃねえ。2匹の獣は、俺たちが知ってる「馬」とはまるで違う存在だ。
そいつらは草食獣とは思えねえ。肉食獣の目がギラリと光り、鋭い視線で睨みつけて牙を剥いて唸った。
「何?一体何が起こってんの……?」
瑚依が俺の手をギュッと握った。彼女の手が冷たく震え、押し殺した力がビリビリと伝わってきた。彼女の呼吸が荒くなり、緊張がビリビリと伝わってきた。
「シッ!静かに……」
俺が声を絞り、彼女の握りにゆっくり手を握り返した。「焦んな。あいつら、ただの通りすがりかもしれねえ。おとなしくしてりゃ、こっちの存在に気づかねえかもしれねえ。」
俺が目を細め、敵の位置を目測した。連中は真っ直ぐこっちへ向かってきてる。目的地は間違いなくこの墜落現場だ。移動速度から考えて、あと5分もねえうちに俺たちの前に到着する。
心臓がドクドク高鳴るのを抑え、深呼吸を繰り返した。落ち着け、落ち着け。冷静な判断が求められる瞬間だ。
「大丈夫だ、何とかなるさ。」
俺が呟き、横目でカピバラの松尾を見た。松尾が目を細めて頷いた。まあ、カピバラっつーか、元々そういう表情なのかもしれねえ。
俺の視線が、背後のベルトに差し込んだP229へと移った。
墜落してから、まだ一度も点検していない。だが、これが正常に動くなら、使い道は撃つことだけじゃねえ。銃声そのものが、威嚇にもなり、注意を逸らす餌にもなる。
それすら許されねえ状況なら、白兵戦だ。
手元にあるのは、非常用斧一本と、日本刀一本。それに、さっき自分でかき集めた諸々のガラクタ。
現状で、何ができて、何ができねえか。
それを冷静に切り分ける。それしか、生き残る道はねえ。
瑚依の手をそっと振り解き、黙れと合図する。言葉はいらなかった。
拳銃を抜いた。
銃身に異物はないか。弾は正しく装填されているか。弾倉は確実に固定されているか。
確認は十秒で終わらせた。
SIG SAUER P229――発射可能。
再びベルトに差し込み、今度は腰の横へ移す。撃つためだ。必要になった瞬間、最短で引き抜ける位置。
このP229は、ハイジャック事件の後、松尾から弾を補填されたものだ。
装填されているのは9×19mm、十五発プラス一。弾を無駄にしなけりゃ、一人につき胴に二発、頭に一発――最低でも五人は殺せる計算になる。
近距離で胴に二発叩き込めば、3A級防弾チョッキを着ていても肋骨が三、四本は折れる。
……もっとも。
そいつらが、俺たちの思う「肋骨」って構造を持っていれば、の話だが。
視線を、遠くで唸る馬獣じみた連中へ向ける。
どう見ても地球の生物じゃねえ。構造も、生理も、殺し方も不明だ。
だから今は相手にしない。一時的に、脳内の優先順位から外す。
喉が、ひくりと鳴った。
少年の頃、祖父に叩き込まれた感覚が、今も体に染み付いている。
俺は刀の柄に手を置き、鞘の感触を確かめた。
戦場じゃ、抜刀の音は合図になる。
――ここにいるぞ、ってな。
だが、この鞘なら問題ない。
音もなく抜ける。間合いに入ってから、一息で終わらせられる。
俺は柄を握り直し、目を細めた。
その音が、次第に異様なリズムを刻み始めた。巨大な心臓が悠然と鼓動するみてえな、力強い振動が地面を伝い、足元を揺らし続けた。ゴゴゴッという低音が空気を震わせ、耳鳴りが響く。
地平線の向こうから砂煙が上がり、何かが近づいてくる音が響いた。俺の心臓がドクドクと高鳴り、視界が一瞬ぼやけた。遠くから暴走族の絶叫みてえな雄叫びが聞こえ、その振動の主が視界に飛び込んできた。
遠く、煙を上げながら突進してくる集団を俺がじっと見つめた。盗賊みてえな連中が雄叫びを上げ、馬とも獣ともつかねえ怪物に鞭を打ち、砂塵を舞い上げながらこっちへ向かってくる姿が確認できた。
……いや、そいつらを『馬』って呼ぶのは、適切じゃねえな。
視界に飛び込んできたのは、二足歩行の怪物たちだった。ざっと見渡すと、30匹はいる。頭部はエリマキトカゲみてえな形状で、身体はヴェロキラプトルに似た、地球上じゃ見たことねえ奇怪な姿だ。鋭く尖った牙がギラリと光り、強靭な足腰の筋肉がうねる。そいつらの生命力と野生の脅威が、遠目でもビリビリと伝わってきた。怪物たちの身体には奇妙な装飾品や金属製の鎧が取り付けられ、槍や剣、鎌が体側に揺れてた。長大な刃がチラチラと光り、存在感を主張した。
そいつらの背に乗ってたのは、見た目からして盗賊そのものの連中だ。野性的な雰囲気を漂わせ、十字弩、斧、剣、棍棒といった武器を手に握ってた。全身を覆う防具は粗雑で、まるで略奪した装備を適当に身に纏ったみてえだ。色とりどりの布や剥ぎ取った皮が混在し、細かな刺繍が施されたものもあれば、ボロボロの革を巻いただけのやつもいた。炎の光が近づくにつれて、連中の顔が浮かび上がった——顔が歪み、口元が引きつってギラギラと目を光らせた。一目で分かる、平和的な話し合いなんて通じねえ荒々しい連中だ。
後列では、2匹の獣に引かれた何かがゴロゴロと進んでた。古代の戦争で使われた「チャリオット」みてえな二輪の戦闘用馬車に似てたが、この状況で「馬車」って呼ぶのは適切じゃねえ。2匹の獣は、俺たちが知ってる「馬」とはまるで違う存在だ。
そいつらは草食獣とは思えねえ。肉食獣の目がギラリと光り、鋭い視線で睨みつけて牙を剥いて唸った。
「何?一体何が起こってんの……?」
瑚依が俺の手をギュッと握った。彼女の手が冷たく震え、押し殺した力がビリビリと伝わってきた。彼女の呼吸が荒くなり、緊張がビリビリと伝わってきた。
「シッ!静かに……」
俺が声を絞り、彼女の握りにゆっくり手を握り返した。「焦んな。あいつら、ただの通りすがりかもしれねえ。おとなしくしてりゃ、こっちの存在に気づかねえかもしれねえ。」
俺が目を細め、敵の位置を目測した。連中は真っ直ぐこっちへ向かってきてる。目的地は間違いなくこの墜落現場だ。移動速度から考えて、あと5分もねえうちに俺たちの前に到着する。
心臓がドクドク高鳴るのを抑え、深呼吸を繰り返した。落ち着け、落ち着け。冷静な判断が求められる瞬間だ。
「大丈夫だ、何とかなるさ。」
俺が呟き、横目でカピバラの松尾を見た。松尾が目を細めて頷いた。まあ、カピバラっつーか、元々そういう表情なのかもしれねえ。
俺の視線が、背後のベルトに差し込んだP229へと移った。
墜落してから、まだ一度も点検していない。だが、これが正常に動くなら、使い道は撃つことだけじゃねえ。銃声そのものが、威嚇にもなり、注意を逸らす餌にもなる。
それすら許されねえ状況なら、白兵戦だ。
手元にあるのは、非常用斧一本と、日本刀一本。それに、さっき自分でかき集めた諸々のガラクタ。
現状で、何ができて、何ができねえか。
それを冷静に切り分ける。それしか、生き残る道はねえ。
瑚依の手をそっと振り解き、黙れと合図する。言葉はいらなかった。
拳銃を抜いた。
銃身に異物はないか。弾は正しく装填されているか。弾倉は確実に固定されているか。
確認は十秒で終わらせた。
SIG SAUER P229――発射可能。
再びベルトに差し込み、今度は腰の横へ移す。撃つためだ。必要になった瞬間、最短で引き抜ける位置。
このP229は、ハイジャック事件の後、松尾から弾を補填されたものだ。
装填されているのは9×19mm、十五発プラス一。弾を無駄にしなけりゃ、一人につき胴に二発、頭に一発――最低でも五人は殺せる計算になる。
近距離で胴に二発叩き込めば、3A級防弾チョッキを着ていても肋骨が三、四本は折れる。
……もっとも。
そいつらが、俺たちの思う「肋骨」って構造を持っていれば、の話だが。
視線を、遠くで唸る馬獣じみた連中へ向ける。
どう見ても地球の生物じゃねえ。構造も、生理も、殺し方も不明だ。
だから今は相手にしない。一時的に、脳内の優先順位から外す。
喉が、ひくりと鳴った。
少年の頃、祖父に叩き込まれた感覚が、今も体に染み付いている。
俺は刀の柄に手を置き、鞘の感触を確かめた。
戦場じゃ、抜刀の音は合図になる。
――ここにいるぞ、ってな。
だが、この鞘なら問題ない。
音もなく抜ける。間合いに入ってから、一息で終わらせられる。
俺は柄を握り直し、目を細めた。
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