Cランクモブの転生

白猫

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2、高校入学

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 一軒家から、鍵を掛けて外に出る。

 徒歩圏内に高校があった。

 ハンター育成の最高峰と言われる学園だ。数多の有能な能力者を排出している名門校"グランドナイツ"。

 あれから両親に頭を下げて、一人暮らしをしながら今日からこの学園に通うことになった。

 両親は、何かを言いたそうにしていたが、結局言葉にすることはなかった。

 黙って送り出してくれたことに感謝している。今はまだ能力も口にできるほど、気持ちの整理がついていない。

 いつか両親に能力のことも言わなくてはいけないが、この先どうなるのか分からないこともあって、口を重くさせる。

 それに、例の俺を追い詰めるアイツもこの学園にいるはずだ。アイツを避けようと思えば避けられたが、この学園が一番ハンターに成るのに適しているは間違いない。

 カリキュラムの内容も、教師陣の厚さもここが一番良い。ハンターを続けるにはここ以上に最高の場所はない。何せ二年生になれば、学園の上位五名は自由にダンジョンに入る資格を得る。

 態々あの面倒な手続きをしなくて良いのは、時間的な意味でも無駄がなくて良い。

 契約書の諸々の手続きを思い出すとゲンナリする。

 1ー2が俺の教室だ。

 教室の扉を開けると一度静まり返り、慌てたように騒がしくなる。

 俺への一瞬の警戒を無視して、自分の席に座った。

 ダンジョンであったことは生徒達の噂に上っていないようだが、ここでも兄貴の名前が効いてくる。俺の素行の悪さは、相手が警戒するのにちょっとした効果の上乗せに過ぎない。

 兄貴に目をつけられたら、ハンターの資格を取得できない可能性があると考えているのだろう。

 ここも兄貴の名前が効いているのにうんざりする。

 それに、素行が悪いという噂も、それに見合うような行動を俺は全くしていない。ダンジョンで無理をしすぎて、学校を休んだくらいだ。

 むしろ、何故か勝手に集まってくる人間の素行が悪いので、その噂に尾びれ背鰭が付いて、自由に動き回っているせいだ。

 そんなもはや真実は何か分からないものを、独り歩きする噂を訂正すること無く自由にさせている。態々訂正して回るのも面倒クセェ。

「よぉ、セイジ」

 聞きなれた声に眉を潜める。

 机に頬杖をつきながら見ると、中学が同じで、いつも俺に絡んでくる奴が立っている。

 俺はチラリと見るだけで特に反応はしない。

 中学の時も積極的に関わってこなかった。いつも近寄ってくるのを放っておいただけ。

 どちらかというと、好き好んで近付けたくはない。

 こいつらが、未来の俺のグループの一人だった。自暴自棄になった俺はこいつらのグループに少しずつ染められるように、素行が悪くなっていった。

「・・・」

「相変わらずツレねぇな」

 図々しく北城キタシロが前の席の奴を退かすと、俺の方を向いてくる。それに合わせて、勝手に周りに人が集まる。

 会話に参加しないのに、周囲に集まってくるのは正直鬱陶しい。

 勝手に北城の席で駄弁れば良いものを態々こちらに来るな。

 周りが喋っているのを右から左に流しながら、体内の魔素の巡りを周りに悟られないように活性化させる。これも遠距離系魔法を使う者の訓練の一つだ。このスピードが魔法の出力の速さに比例する。

 退屈な時間を訓練に充てて、入学式を待つ。

 瞑想の領域に達していたころ、教室の外から妙な気配が漂ってきた。魔素の異様な動きを感じとる。

 なるほど粗削りだが、魔素の変換率が高い。"アイツ"が来たのだ。

 魔素の変換率は、大気中に漂う魔素を肉体に取り込む早さのことだ。肉体に取り込むことで、肉体・体内魔素の保有量の強化に割り振られる。

 ハンターの上位者はこの魔素の変換率が高いのが条件の一つだ。

 通常の場所では魔素が無く、それ故魔物も生まれない。魔素があるのはダンジョンだけだ。

 この学園は、異例中の異例でダンジョンの入り口の真ん前に立っている。

 中から漏れ出てきた魔素が学園中を覆っているのだ。

 普通であれば、いつ魔物が出てくるか分からない、そんな土地過ごすのはごめん被る。

 だが、危険度の高い土地に学園を建てることで、ここで過ごすだけで魔素が身体に蓄積していく。

 究極の冒険者を育てる施設ということだ。

 そんな危険地帯に建っているせいで、入学時に身の危険に関する合意書も交わすことになる。

 結界魔法がお得意のいけすかないジジイが学園長でもなければ、この学園の設立許可は降りなかっただろう。

 "アイツ"が教室に入ってきた。羽佐間ハザマ 優真ユウマだ。

 黒髪に、キッチリとボタンを上まで留めた学ランを着ている。身長は男子の平均身長はあるが、色も白くヒョロヒョロとしている。真面目そうな普通の雰囲気を持った男だ。

 ダンジョンで見た時は、もう少し身体に厚みがあった筈だが、今は攻撃を受けたら一発で骨が折れそうだ。

 その容姿とは反対に、俺の脳内で警戒のアラームが喧しくなる。確実に脅威になる前に潰せと言っている。

 まだ、ハンターにも成れていないコイツに全神経が持っていかれるのは不快だ。

 心の中で舌打ちを収める。

 ただ、圧倒的な生まれ持った才能を察知して、羽佐間へ自然と視線を向けさせる。

 勘の良い者は、羽佐間のことを警戒しているようだ。

 教室の空気を変えたのが羽佐間だと悟ったのだろう。北城が苛立ったように羽佐間を睨み付けている。

 まるで、縄張りを荒らされた猫のようだな。

 才能の差と未来を見ている俺にとっては、小さな身で化け物に毛を逆立てているようにしか見えない。

 ・・・健気で哀れだ。北城にわずかながら同情する。ハンターは才能と努力、その二つが揃わないとダンジョンで死ぬ。

 てんでこの状況を理解していないのは、当人と鈍いやつだけだ。

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