38 / 55
本編
鬱々な昇格
しおりを挟む
まだ朝にも関わらず騒がしい廊下を抜け、俺は先の階段を上る。
今日から俺はAクラスへと昇格する。その為、以前のBクラスがあった階よりも一つ上まで登らなければならない。
Aクラスになっての唯一のデメリットを発見した俺であるが、全身から鬱々の空気が駄々洩れているのが自分でもわかる。
無能力者でAクラスなんていやでも目立つ。
さてこのむずがゆい視線をどうかわすか……。
そんな思考実験の末、何も成果が得られなかったため、もはや呆れて教室の自席へと座った。
……俺が教室に入った瞬間に視線が俺に向いたのはきっと気のせいだ。
「随分と、鬱々な雰囲気を漂わせてるわね。こっちも鬱になりそうだわ」
そんな異端児に話しかけてくる奴は限られている。
「だったらこの鬱陶しい視線という視線をどうにかしてくれないか? どうにも落ち着かない」
俺の今の願いを率直に目の前の女子。舞原千歳へと投げかける。
「そうね、違和感なく過ごせばいいんじゃないかしら。例えば能力者になる、とか」
「馬鹿にしてんのか?」
俺にとっては一生かなえることができない例をあげてくる小悪魔に本音が漏れる。
「ま、私にはどうしようもないわ。そもそも、貴方だって転校生には嫌でも注目するものでしょう? それと同じよ」
「つまり、収まるまで我慢しろと?」
「そういうことね。そんなにいやだったら暴力でねじ伏せてみれば?」
「無茶言え。試験とはわけが違う」
冗談でもそんなこと言うなよ。ほら、さっきよりも視線が鋭くなった気がするぞ。
すると、一人の生徒が教室に入ってくる。がたいのいい男は荷物を置くとこちらへやってくる。
「ようこそ、というのもおかしいか、椿零。どうだ、Aクラスの空気というものは」
「最悪だよ」
端的に男、西園寺に俺はそう言う。
「というか、お前ら離れてくれないか? お前らと話してると余計に注目されている気がするが、気のせいじゃないよな」
Aクラス筆頭の二人に囲まれて仲良く?会話する転校生か……。
違和感極まりないな。
「それは悪かった。またしかるべき時に話すとしよう」
と言って西園寺はおとなしく自席に戻る。
「で、お前は戻らないのか?」
いまだ戻る気もない舞原に問う。
「ええ、だってこんなに弱ってる貴方を見るのは面白いもの」
「ああ、お前ってそういう形なのね」
多分よく見たら、矢印の尻尾とか角とか生えてるタイプだこれ。
そんなある意味地獄も長くは続かない。
救いの鐘、もといホームルーム開始のチャイムが鳴り、舞原も大人しく、いや悔しがるように席に戻る。
ようやく平和が訪れた自分の机に突っ伏すと、これからの毎日にこれが繰り返されるのかと、苦しい未来に頭を抱えた。
数秒にて気だるげに教室に入ってきた担任は教卓までくるとあたりを見渡す。
「あ~、全員いるな。とりま、新顔もいるが、ま、今更紹介もくそもないだろ。適当にやっておいてくれ」
何だかとてもマイペースなしゃべりだが言葉の端々からはちょっとしたすごみも感じる。
だが、そんなことを考えるわけでもなく、俺も担任と同じくチラリと周りに目を走らす。
奴は、学園町は言った。Sクラスに値する生徒は10人いると。
試験を通して全クラスの生徒と1度手合わせをしたことになるのだが、それでも考えられるのは、俺含め、舞原、西園寺しかいない。前にも言った通り、舞原や西園寺とほかのAクラスの生徒とでは実力差がありすぎる。一体、残りの7人はどこの誰なのか。
まさか、Aクラスの生徒ではない?
だとすれば、俺のように実力をセーブしている生徒を見抜いているということになる。
だったら、俺が上に行くポテンシャルを見抜いていたはず。
昨日のはブラフか? だがそれに何の意味が……。
そこまで考えて思考を止めた。多分だが、今の情報量では見当は付きやしないだろう。
そこまで結論づけて担任の話に耳を傾ける。
「あ~、最後になるんだがひさしぶりに出た、らしい。詳しい内容は掲示に張り出しておく。暇だったらやっておけ。以上」
とだけ言って教室を後にする。
必要以上に俺たちに干渉しないスタンスをとっているらしい。まあ、必要最低限のことをやってくれればサルでもかまわないが。
それにしても出た、か。おそらくは能力者が関わる事件が起きたということだろう。
忘れがちだが、この学校はいまだ増加傾向にある能力者による犯罪に対応する組織、「警察」の人員を育成する国の直接支援を受けた学校だ。
そんな学校のトップのクラスには警察組織の人間のように犯罪の対応を迫られる事が多々ある。
あまりにも危険性が少なければFクラスといった低クラスが対応することもあるが、基本的に請け負うのはAクラスだ。
俺は汗衫が解決させたことになっている事件を思い出す。
思えば最近はそういうことは少なかったな。
ちなみに、それらを逮捕したり、それに協力すると特別手当てが貰える。つまり、犯罪一つ一つに懸賞金がかかっている事と同義だ。
全くもって興味はないが、気が抜いたらやることにしよう。
「で、今の状況はどういうことだ?」
俺は隣を歩く舞原にそう問い質す。
「どう、って見てわからない?」
「わからないから聞いてんだ。俺は行かないと言ったはずだが?」
今俺たちがいるのは町中の繫華街。平日の昼近くだからなのか人はちらほらと見かける程度だ。
だが 、そんなことには塵ほど興味もない。
「確かに俺言ったよな。俺は行かないって。行くなら勝手に行けって」
「ええ、だから私は拒否権ないからって返したはずだけど?」
「なんで?」
え、俺って舞原に対して拒否権ないの?
俺なんか弱みでも握られていた?
「試験中に無理矢理リタイアさせたこと、まだ許してないから」
「理由も合わせて説明しなかったか? しかも、それを今引っ張ってくるか?」
「説明されたけど許すなんて言ってないし」
「というか、俺は必要か? 舞原の実力なら十分足りるだろ」
「人手が多いことに越したことはないわ。それに今回は人探しにも近い形だから。一人だと少し厳しいのよ」
対峙する分には一人でも十分だが、そこに行きつくまでの過程が難しいと舞原は言う。
それで俺を誘ったということか。
「それだとしても俺である必要あったか? 西園寺とか他にも選択肢あっただろ」
「わざわざ私がライバルに手を貸して貰うような女に見える? それに他の生徒に協力を申し立てるなら一人でやった方がましよ。低いレベルには付き合ってられないわ」
まあ、なんだかんだ理由をつけているが要約すると。
「黙って付きしたがえってことか」
「よくわかったわね。流石私のペットね」
「誰がペットだ……」
俺にそんな趣味はない。
実際、この時間も俺にとっては無駄であるし、面倒なのは違いない。だが、ここで引き返してもやることがあるわけではない。
まあ、一回ぐらいは付き合ってやってもいいかもしれない。
もちろん、ペットではなく協力者としてだ。
今日から俺はAクラスへと昇格する。その為、以前のBクラスがあった階よりも一つ上まで登らなければならない。
Aクラスになっての唯一のデメリットを発見した俺であるが、全身から鬱々の空気が駄々洩れているのが自分でもわかる。
無能力者でAクラスなんていやでも目立つ。
さてこのむずがゆい視線をどうかわすか……。
そんな思考実験の末、何も成果が得られなかったため、もはや呆れて教室の自席へと座った。
……俺が教室に入った瞬間に視線が俺に向いたのはきっと気のせいだ。
「随分と、鬱々な雰囲気を漂わせてるわね。こっちも鬱になりそうだわ」
そんな異端児に話しかけてくる奴は限られている。
「だったらこの鬱陶しい視線という視線をどうにかしてくれないか? どうにも落ち着かない」
俺の今の願いを率直に目の前の女子。舞原千歳へと投げかける。
「そうね、違和感なく過ごせばいいんじゃないかしら。例えば能力者になる、とか」
「馬鹿にしてんのか?」
俺にとっては一生かなえることができない例をあげてくる小悪魔に本音が漏れる。
「ま、私にはどうしようもないわ。そもそも、貴方だって転校生には嫌でも注目するものでしょう? それと同じよ」
「つまり、収まるまで我慢しろと?」
「そういうことね。そんなにいやだったら暴力でねじ伏せてみれば?」
「無茶言え。試験とはわけが違う」
冗談でもそんなこと言うなよ。ほら、さっきよりも視線が鋭くなった気がするぞ。
すると、一人の生徒が教室に入ってくる。がたいのいい男は荷物を置くとこちらへやってくる。
「ようこそ、というのもおかしいか、椿零。どうだ、Aクラスの空気というものは」
「最悪だよ」
端的に男、西園寺に俺はそう言う。
「というか、お前ら離れてくれないか? お前らと話してると余計に注目されている気がするが、気のせいじゃないよな」
Aクラス筆頭の二人に囲まれて仲良く?会話する転校生か……。
違和感極まりないな。
「それは悪かった。またしかるべき時に話すとしよう」
と言って西園寺はおとなしく自席に戻る。
「で、お前は戻らないのか?」
いまだ戻る気もない舞原に問う。
「ええ、だってこんなに弱ってる貴方を見るのは面白いもの」
「ああ、お前ってそういう形なのね」
多分よく見たら、矢印の尻尾とか角とか生えてるタイプだこれ。
そんなある意味地獄も長くは続かない。
救いの鐘、もといホームルーム開始のチャイムが鳴り、舞原も大人しく、いや悔しがるように席に戻る。
ようやく平和が訪れた自分の机に突っ伏すと、これからの毎日にこれが繰り返されるのかと、苦しい未来に頭を抱えた。
数秒にて気だるげに教室に入ってきた担任は教卓までくるとあたりを見渡す。
「あ~、全員いるな。とりま、新顔もいるが、ま、今更紹介もくそもないだろ。適当にやっておいてくれ」
何だかとてもマイペースなしゃべりだが言葉の端々からはちょっとしたすごみも感じる。
だが、そんなことを考えるわけでもなく、俺も担任と同じくチラリと周りに目を走らす。
奴は、学園町は言った。Sクラスに値する生徒は10人いると。
試験を通して全クラスの生徒と1度手合わせをしたことになるのだが、それでも考えられるのは、俺含め、舞原、西園寺しかいない。前にも言った通り、舞原や西園寺とほかのAクラスの生徒とでは実力差がありすぎる。一体、残りの7人はどこの誰なのか。
まさか、Aクラスの生徒ではない?
だとすれば、俺のように実力をセーブしている生徒を見抜いているということになる。
だったら、俺が上に行くポテンシャルを見抜いていたはず。
昨日のはブラフか? だがそれに何の意味が……。
そこまで考えて思考を止めた。多分だが、今の情報量では見当は付きやしないだろう。
そこまで結論づけて担任の話に耳を傾ける。
「あ~、最後になるんだがひさしぶりに出た、らしい。詳しい内容は掲示に張り出しておく。暇だったらやっておけ。以上」
とだけ言って教室を後にする。
必要以上に俺たちに干渉しないスタンスをとっているらしい。まあ、必要最低限のことをやってくれればサルでもかまわないが。
それにしても出た、か。おそらくは能力者が関わる事件が起きたということだろう。
忘れがちだが、この学校はいまだ増加傾向にある能力者による犯罪に対応する組織、「警察」の人員を育成する国の直接支援を受けた学校だ。
そんな学校のトップのクラスには警察組織の人間のように犯罪の対応を迫られる事が多々ある。
あまりにも危険性が少なければFクラスといった低クラスが対応することもあるが、基本的に請け負うのはAクラスだ。
俺は汗衫が解決させたことになっている事件を思い出す。
思えば最近はそういうことは少なかったな。
ちなみに、それらを逮捕したり、それに協力すると特別手当てが貰える。つまり、犯罪一つ一つに懸賞金がかかっている事と同義だ。
全くもって興味はないが、気が抜いたらやることにしよう。
「で、今の状況はどういうことだ?」
俺は隣を歩く舞原にそう問い質す。
「どう、って見てわからない?」
「わからないから聞いてんだ。俺は行かないと言ったはずだが?」
今俺たちがいるのは町中の繫華街。平日の昼近くだからなのか人はちらほらと見かける程度だ。
だが 、そんなことには塵ほど興味もない。
「確かに俺言ったよな。俺は行かないって。行くなら勝手に行けって」
「ええ、だから私は拒否権ないからって返したはずだけど?」
「なんで?」
え、俺って舞原に対して拒否権ないの?
俺なんか弱みでも握られていた?
「試験中に無理矢理リタイアさせたこと、まだ許してないから」
「理由も合わせて説明しなかったか? しかも、それを今引っ張ってくるか?」
「説明されたけど許すなんて言ってないし」
「というか、俺は必要か? 舞原の実力なら十分足りるだろ」
「人手が多いことに越したことはないわ。それに今回は人探しにも近い形だから。一人だと少し厳しいのよ」
対峙する分には一人でも十分だが、そこに行きつくまでの過程が難しいと舞原は言う。
それで俺を誘ったということか。
「それだとしても俺である必要あったか? 西園寺とか他にも選択肢あっただろ」
「わざわざ私がライバルに手を貸して貰うような女に見える? それに他の生徒に協力を申し立てるなら一人でやった方がましよ。低いレベルには付き合ってられないわ」
まあ、なんだかんだ理由をつけているが要約すると。
「黙って付きしたがえってことか」
「よくわかったわね。流石私のペットね」
「誰がペットだ……」
俺にそんな趣味はない。
実際、この時間も俺にとっては無駄であるし、面倒なのは違いない。だが、ここで引き返してもやることがあるわけではない。
まあ、一回ぐらいは付き合ってやってもいいかもしれない。
もちろん、ペットではなく協力者としてだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる