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しおりを挟む「しまった!!リリー!!」
「どうして魔法が解けちゃったのかしら。残念残念・・・せーっかく面白いものが見れると思ってたのに・・・・・・」
「リリアナっ!!貴様一体何が目的だっ!!?」
「あら、決まってるじゃない。復讐よ、ロイズへのね」
そう言いながら騒ぎにも気づかずぼぅっと立つリリーの目の前に立ち、リリーの顎に手をかける。リリーに何をするのか、ギムリィたちは目が離せなかった。その中でもハレムは、心の臓がそれまでにないほど五月蠅く鼓動を打つ音を聞いていた。身体中嫌な汗が滲んでくるのに対し、口の中はカラカラに乾いている。リリアナは、一体リリーに何をしようとしているのか。彼女の続く言葉を、緊張に胸を張らせながら目を見張って凝視する。
「あ~~んやっぱりリリーちゃん可愛いわぁ。昔私がかけた魔法は不完全だったみたいだから、今度は完全に赤ん坊になっちゃう呪いをかけて一生私の愛し子ちゃんにしちゃおうかしらっ!んふふっ!」
「お前!!」
そう言うやいなや、リリアナは目を閉じその長い睫を見せつけながら、静かにブツブツと何かを唱え始めた。するとリリアナのいる所が淡く光り出し、そこから風が吹いてくる。それは範囲を広げていき、会場全体が彼女から発生した風に巻き込まれる。光も強くなり、眩しさに直視することができない。激しい風に、リリーに近づくことさえできなかった。
「っリリーー!!リリー!!!」
「リリー!!!」
「っ!」
厳しい光の中で兄たちと共に力一杯リリーに向かって叫ぶと、リリーが眠りから弾かれたように身体をビクッと震えさせ、その瞳は元の澄んだ色に戻っていた。今までかけられていた魔法が解けたようだ。
だが状況は変わらず、今もなお眩い光に包まれ、なんとその光がリリーの身体を覆い始めた。
「にぃしゃっ・・・・・・!!」
「「リリー!!!」」
自分たちに助けを求めるように、見開かれた目で必死にこちらに手を伸ばしたリリー。久しぶりに合わせた目には、ホワイトブルーシルバーの滴が潤みを作っていた。
ハレムも溜まらず、動かない身体で必死になって手を伸ばした。届け、届け!!と、届くはずもないことは自分でもわかりきっているのに、手を伸ばさざるを得ない。
だがそれは叶わず、リリーが光の塊に全身を飲み込まれ、会場内に一層激しい風が渦巻いた。思わず目を瞑ってしまうと、瞼の表面が一瞬カッとすごい光を発し、そして、消えた。
しゅぽんっ、と光の風が舞い上がり、舞台からリリーの姿が消える。ハレムたちがまるで現実でないものを見ている心地で、時が止まったかのようにピクリとも身体を動かさずリリーの消えた場所に顔を向けていると、リリアナは目を開いて俯き、そしてすぐににんまりと妖しく笑うとおもむろにしゃがみ込んだ。
何かを手にして立ち上がるのをただ固まった身体のまま見ていると、その手には一人の赤ん坊の姿。
「リッ・・・リリーッ!!?」
「う、うーー?」
その後ろ姿に既視感を覚えたギムリィの絶叫に、リリアナに抱きかかえられ彼女を方を向いていた赤ん坊がふらりとこちらを振り向く。すると見えた彼の顔は――正真正銘赤ん坊になってしまったリリーであった。
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