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68.【迷える子羊なお客様】14~控えめに引き留めるって…可愛すぎる所業では?~
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ふ、ふぉおおおおおお・・・・・・
ゴツい見た目通り、屋敷の中も城さながら豪華・・・であるようだが、真っ暗すぎて何も見えない。嘘、ぼんやり見えるけど、一番最初に何かを足で蹴飛ばして『ガシャン』とか聞こえてから、冷や汗が止まらん(シュワロくんは気にしないでくださいと言ってくれたけど、全然気にする)。広いお化け屋敷みたいで単純にこわいのと、高い物に足をぶつけて壊しそうで、それもこわい。そして、時々ふさぁと足にすり寄ってくるナナにも一々叫び声を出してしまいそうになる。すぐ前を歩くシュワロさんの服を掴みたいが、そんなことを許されるのは可愛い子だけだ。俺がやったら悲鳴を上げられるだろう。
手すりを強く握りながら恐る恐る階段を上ると、廊下の奥にうすぼんやりとした明かりが見えた。
「ぼ、ぼくのへやですけど・・・、ど、どうぞ」
「おじゃまします・・・・・・」
入ると、広い部屋にベッド脇のスタンドから漏れる明かりが一つだけ。辛うじて物の配置などが把握できるくらいの暗さだ。部屋の隅に何があるのかとかはわからないけど・・・。
そして、ベッドはさすがお金持ち・・・と関心するほどの大きなもの。座るところが他にないからと進められ、躊躇しながらもそのベッドに腰を下ろさせてもらう。
ううむ・・・それにしても、怪しい雰囲気。薄明かりの中にベッドで二人・・・・・・って、俺はなんていかがわしいことを!と内心首を振る。
隣にシュワロさんも座り、膝の上に乗ったナナを愛おしそうに撫でる。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
そして、沈黙が流れた。・・・うん?何だろうこの空気。俺から何か喋った方がいいのか?なんとなく気まずい空気を払拭するため、何を話せば良いか思案する。
「このお屋敷りっp――
「ぁのっ、このたびはっ――
そうだ!この立派な屋敷のことについて話そう!と思い口を開いたら、思いっきし被った。
「「すいませんっ!」」
あ、また被ってしまった。そして再び沈黙が訪れてしまう。やっば、気まず・・・。
「あの、ほんとにナナを見つけてくださって、ありがとうございました」
「い、いえいえ!実は、店の同僚がナナくんにご飯をあげていたみたいで」
深々と頭を下げるシュワロさんに、少しはうちの責任もあることを話す。すると『よかったぁ。ナナ、ご飯もらえてたんだね』とナナに微笑みかけ、モモにもお礼を言っていただけますかと頼んできたのだ。なんて優しい人なのだろうか。
「この子は、ぼくの恩人なんです。ナナだけ・・・ナナだけがぼくの味方で。とても、大事な子なんです」
ひたすら膝の上のナナを見つめ、聞き取れる程度の声で話すシュワロさん。俺は黙って聞く。
「この子、すごく優しいんですよ。僕が落ち込んでるときなんか、隣でじっと話をきいてくれて、それで、身を寄せて慰めてくれるんです。それに、――」
それまで口数が少なかったのに対し、突然たくさん話し始めた。ナナに関する話題は、尽きないらしい。だが、ナナの可愛らしい様子や、それを嬉しそうに語るシュワロさんの姿を見ているだけで、俺も胸の中がほっこりと温かくなっていった。
しばらく話を聞いていたが、シュワロさんもそろそろ寝た方がよいのではないか?とふと思った。いつまでも居座られたら迷惑だろう。俺ってば図々しいのに加え、ほんと無神経、てへっとか思いつつ、申し訳なさが募ってくる。
「俺、そろそろ帰ります。長居してしまってすいません」
俺がそう言って立ち上がると、シュワロさんが『えっ・・・』と声を漏らして腰を浮かせた。その直後に小さな口をムの字にし、目を伏せる。
ん、コレって・・・勘違いしそうになるんだけど。もしかして俺に帰ってほしくないと思ってくれている・・・?いや、そんなの自惚れもいいところだよな。
「突然お邪魔して、すいませんでした。では――」
「っ!」
そんな、絶望したような悲しい顔をしないでくれ!!勘違いしてしまうやろ!と、未だに下を向いたまま唇に手を添えているシュワロさんを見て心の中でツッコむ。
「あ、あのぅ・・・、大変厚かましいお願いなんですけど・・・・・・。もしよかったら、また来ても良いですか?」
「え?」
あーあー言っちゃったよ勘違い発言。お前に帰って欲しくないとか見当違いも甚だしいっての!シュワロさんぽかんってなっちゃっってるじゃん。どーすんのこれ、責任とれんの!?などと己を問い詰め責め立てる俺。
「また来てくれるんですか?」
うっ、若干嬉しそうなのは、目の錯覚だよな?でも、これってOkってこと?
「え、ええ!ナナくんに会いたいですし・・・」
「あっ、ナナに会いにってことですよね!あはは・・・」
なんとなく寂しそうに笑うシュワロさん。
「いやっ!シュワロさんとまたお話がしたいと思っ、たから・・・です」
寂しそうに笑うシュワロさんに思わず大きな声が出てしまったが、途中で恥ずかしくなって、段々声が小さくなった。
「え、う、うれしい、です。僕も、ナナミさんとまたお話したい・・・から」
ぎゃんわい゛い゛!!!はい!絶対会いに来ます!!通います!!
はにかんだ笑顔に、キューピッドの矢が心臓に突き刺さって貫通していった。最後の「から」って、「・・・」からの「から」がいじらしくてなんともきゃわいい!!
・・・ふぅ、ってことで、今度は明後日の夜に会うことになった。次の俺の休日の前日だ。俺は楽しみのあまり鼻歌を歌いながら門を抜けたが、闇夜の真っ暗な世界に、やはり後半は半泣き状態で店に逃げ帰り着いたのだった。
ゴツい見た目通り、屋敷の中も城さながら豪華・・・であるようだが、真っ暗すぎて何も見えない。嘘、ぼんやり見えるけど、一番最初に何かを足で蹴飛ばして『ガシャン』とか聞こえてから、冷や汗が止まらん(シュワロくんは気にしないでくださいと言ってくれたけど、全然気にする)。広いお化け屋敷みたいで単純にこわいのと、高い物に足をぶつけて壊しそうで、それもこわい。そして、時々ふさぁと足にすり寄ってくるナナにも一々叫び声を出してしまいそうになる。すぐ前を歩くシュワロさんの服を掴みたいが、そんなことを許されるのは可愛い子だけだ。俺がやったら悲鳴を上げられるだろう。
手すりを強く握りながら恐る恐る階段を上ると、廊下の奥にうすぼんやりとした明かりが見えた。
「ぼ、ぼくのへやですけど・・・、ど、どうぞ」
「おじゃまします・・・・・・」
入ると、広い部屋にベッド脇のスタンドから漏れる明かりが一つだけ。辛うじて物の配置などが把握できるくらいの暗さだ。部屋の隅に何があるのかとかはわからないけど・・・。
そして、ベッドはさすがお金持ち・・・と関心するほどの大きなもの。座るところが他にないからと進められ、躊躇しながらもそのベッドに腰を下ろさせてもらう。
ううむ・・・それにしても、怪しい雰囲気。薄明かりの中にベッドで二人・・・・・・って、俺はなんていかがわしいことを!と内心首を振る。
隣にシュワロさんも座り、膝の上に乗ったナナを愛おしそうに撫でる。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
そして、沈黙が流れた。・・・うん?何だろうこの空気。俺から何か喋った方がいいのか?なんとなく気まずい空気を払拭するため、何を話せば良いか思案する。
「このお屋敷りっp――
「ぁのっ、このたびはっ――
そうだ!この立派な屋敷のことについて話そう!と思い口を開いたら、思いっきし被った。
「「すいませんっ!」」
あ、また被ってしまった。そして再び沈黙が訪れてしまう。やっば、気まず・・・。
「あの、ほんとにナナを見つけてくださって、ありがとうございました」
「い、いえいえ!実は、店の同僚がナナくんにご飯をあげていたみたいで」
深々と頭を下げるシュワロさんに、少しはうちの責任もあることを話す。すると『よかったぁ。ナナ、ご飯もらえてたんだね』とナナに微笑みかけ、モモにもお礼を言っていただけますかと頼んできたのだ。なんて優しい人なのだろうか。
「この子は、ぼくの恩人なんです。ナナだけ・・・ナナだけがぼくの味方で。とても、大事な子なんです」
ひたすら膝の上のナナを見つめ、聞き取れる程度の声で話すシュワロさん。俺は黙って聞く。
「この子、すごく優しいんですよ。僕が落ち込んでるときなんか、隣でじっと話をきいてくれて、それで、身を寄せて慰めてくれるんです。それに、――」
それまで口数が少なかったのに対し、突然たくさん話し始めた。ナナに関する話題は、尽きないらしい。だが、ナナの可愛らしい様子や、それを嬉しそうに語るシュワロさんの姿を見ているだけで、俺も胸の中がほっこりと温かくなっていった。
しばらく話を聞いていたが、シュワロさんもそろそろ寝た方がよいのではないか?とふと思った。いつまでも居座られたら迷惑だろう。俺ってば図々しいのに加え、ほんと無神経、てへっとか思いつつ、申し訳なさが募ってくる。
「俺、そろそろ帰ります。長居してしまってすいません」
俺がそう言って立ち上がると、シュワロさんが『えっ・・・』と声を漏らして腰を浮かせた。その直後に小さな口をムの字にし、目を伏せる。
ん、コレって・・・勘違いしそうになるんだけど。もしかして俺に帰ってほしくないと思ってくれている・・・?いや、そんなの自惚れもいいところだよな。
「突然お邪魔して、すいませんでした。では――」
「っ!」
そんな、絶望したような悲しい顔をしないでくれ!!勘違いしてしまうやろ!と、未だに下を向いたまま唇に手を添えているシュワロさんを見て心の中でツッコむ。
「あ、あのぅ・・・、大変厚かましいお願いなんですけど・・・・・・。もしよかったら、また来ても良いですか?」
「え?」
あーあー言っちゃったよ勘違い発言。お前に帰って欲しくないとか見当違いも甚だしいっての!シュワロさんぽかんってなっちゃっってるじゃん。どーすんのこれ、責任とれんの!?などと己を問い詰め責め立てる俺。
「また来てくれるんですか?」
うっ、若干嬉しそうなのは、目の錯覚だよな?でも、これってOkってこと?
「え、ええ!ナナくんに会いたいですし・・・」
「あっ、ナナに会いにってことですよね!あはは・・・」
なんとなく寂しそうに笑うシュワロさん。
「いやっ!シュワロさんとまたお話がしたいと思っ、たから・・・です」
寂しそうに笑うシュワロさんに思わず大きな声が出てしまったが、途中で恥ずかしくなって、段々声が小さくなった。
「え、う、うれしい、です。僕も、ナナミさんとまたお話したい・・・から」
ぎゃんわい゛い゛!!!はい!絶対会いに来ます!!通います!!
はにかんだ笑顔に、キューピッドの矢が心臓に突き刺さって貫通していった。最後の「から」って、「・・・」からの「から」がいじらしくてなんともきゃわいい!!
・・・ふぅ、ってことで、今度は明後日の夜に会うことになった。次の俺の休日の前日だ。俺は楽しみのあまり鼻歌を歌いながら門を抜けたが、闇夜の真っ暗な世界に、やはり後半は半泣き状態で店に逃げ帰り着いたのだった。
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