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本編その後。~ヴィレンツィア家に住む者たち~
しおりを挟む「ちょっと、ソレ僕のなんだけど?」
「気に入ったからこれはもうボクのモノ。なんか文句ある?」
「はぁ?新入りが生意気なんだけど。それ僕がレオン様に貰ったやつなの!」
廊下でぎゃぁぎゃぁと騒がしく繰り広げられている口論。それはヴィレンツィア家でレオンに愛されている男たち――ミアとチップのものであった。
ミアが風呂上がりにチップのガウンを着たのが発端である。そのガウンはチップが大好きなご主人様――レオンに貰った大切なものであった。濃い紫の髪にペリドットの大きな瞳、そばかすを散らした幼さを残すチップの顔はミアに負けず劣らず醜い。
レオンの元に来るまでは、自分は存在しなければよかったのにと毎日思い、そしてなるべく人の目を汚さないように片隅で小さく息をして過ごしてきた。だがレオンの元に来て、自分の容姿を誇りに思うようになった。
ヴィレンツィア家では、醜ければ醜いほど立場が上だ。まさに、世間とは美と醜との形勢が逆転しているのである。
「まぁまぁ二人とも、落ち着きなって」
二人のキャットファイトに口を挟んだのは、最もレオンと長く暮らす男ディアであった。ミルクティー色の癖っ毛な長髪を一つに縛った、優しげな青年だ。女っぽいが、容姿はやはりかなりの不細工である。
「お前には関係ないだろ。部外者は散れ」
「おいディアに向かってそんな口の利き方ないだろ?謝れよ」
「本当に煩いな、お前。なんなんだよ」
「それはこっちのセリフだよ」
子猫のような二人が威嚇し合っている様子を、レオンは少し離れた所から微笑ましく眺めていた。
ああ眼福だ。と目が物語っている。
レオンの存在に気づいたディアが駆け寄ると、その表情を読み取り思わず呆れて笑ってしまった。
「レオン様、止めなくていいの?」
どっちがレオン様に求められた回数が多いか、にまで口論が発展している。
「ああ、ああやって言い争ってる様子を見るのも、いいものだ」
その表情は普段クールなレオンにに似合わず、言うなれば愛猫を愛でているものだった。
ディアははぁ、と溜息を一つ零す。
「それはそうと、今日のお相手は決まっているんですか?」
淡い期待を込めて真横にいるレオンを横目で見る。自分ももう長年ここにいる。そろそろお暇を出されるのだろうかと、新顔が増える度に不安が立ち込めるのだ。
緊張しながら返事を待っていると、温かくて大きな手が肩に回された。
「ディア、何を不安に思っているのか知らんが俺はお前の一生を買ったんだ。だからもしお前が俺を嫌になったとしても、俺はお前を手放したりなんぞ絶対にせんからな」
「れおんさま・・・・・・」
不意打ちにくらりと目眩を起こすも、肩に置かれた手が腰に移動しがっしりと支えられる。
「で、さっきの答えだが、今夜の相手は“お前”だ。あいつらを見てそんな寂しい顔をするな。抱き潰したくなるだろう」
「存分に、どうぞ・・・・・・」
レオン様になら俺、ころされてもいいです・・・・・・。
なんて、本気で思ってしまう。
ディアは、今も尚キャットファイトに燃えている二人を背に、レオンに身体を支えられながら寝室へと向かっていくのだった。
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