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第一話:【カシアの誕生日】~この世界の食について~
突然この世界に来てしばらく経った頃、俺はある問題に悩まされていた。それは、“食”についての悩みである。
なんてったってここは異世界。料理が口に合わないことも当然あるだろう。だがそんなことは意外にもなかった。一点を除いては。この世界の料理は、味が薄いのだ。
今まで味の濃い物ばかり食べていたからか、味の薄いものを食しても正直美味しいと感じない。それどころかどこか食べた満足感というものを味わうことができなかった。食べられるだけありがたいと本気で思うが、人間の欲はつきないものだということを痛感したのだった。
あの、食べ慣れたものが食べたい。ファストフードでなく、今まで碌に良さをわかってなかった日本食が、無性に食べたくなったのだ。
恋しい。醤油、みりん、料理酒の三種の神器の味が(主に俺が料理するとき多用してただけ)。口に広がる醤油のうまみ、深み。少し鼻に抜ける酒と甘みを出すみりん。マジであれと砂糖とかあれば最強だわ。
両親はどちらも仕事で忙しく、家で一人で過ごす時間が多かった俺は、必然的に料理も作るようになった。なんとなく暇だったし、もらった小遣いで毎回飯を食べるのもなんだか勿体ないと感じたからだ。
だが作るものといったら限られた。そもそも俺は料理に対する向上心は持ち合わせていなかったため、その時食べたいと思ったものの作り方をちょちょっと調べては適当に作って食べていたのだ。
そして大体作ってたのがカレー、肉じゃが、ビーフシチュー、ホワイトシチュー・・・っって、味付けやルーが違うだけでほとんど具は同じだな・・・・・・。
っまぁ、その他は適当に野菜炒めとかだったけど、とにかく醤油、料理酒、みりんを入れれば美味くなる、というのが俺の中の常識に仲間入りしたのだった。
自炊するのが面倒な時とか、そうじゃなくても食べたくてハンバーガーだのポテトだの食べてたけど、こういう状況になったら口は和食を求めることがわかった・・・。いや、嘘。ハンバーガーも食べたい。けど、やっぱり和食が恋しいのだ。
この世界には米というものが存在しないのか、主食は決まってパンだった。美味しいと言えば美味しいのだが、最初は固すぎて歯がもってかれるかと思った。固いと感じるのは俺だけではないようで、みんな四苦八苦しながらも静かに食べている。
今まで食べ物に対して無頓着だったため、パンがどのようにして作られているのかはよく知らないが、無味なところなども考えるとバターなどは入っていないだろう。甘さも感じられないので、簡素な材料で作られているのかもしれない。
そんなことを思いながら固いパンを囓り、ほぼ水のようなスープを啜っていた。目の前や隣の席ではカシアやモモ、そしてシノが普段通り食事をしている。開店までまだまだ時間に余裕があることから、食べ終わったらしいカシアがモモの零したパンくずを集めていた。モモはひたすらパンを千切ってはスープにつけて口に運んでおり、シノも同じように、だがモモよりは綺麗に食べている。彼らの食事する様子を眺めながら、ナナミはふと疑問に思ったことを口にした。
「なぁ、みんなの誕生日っていつ?」
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