烏帽子岩と龍

海辺野海月

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続 祖父ちゃんの事

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 小さい頃、近所のおじさんに良くお菓子貰ってて、ある時そのおじさんが窓から手招きしてるからまたお菓子貰えるって喜んで駆けてって、たっぷりお菓子を堪能して帰ってきたら、母親から「今からお葬式行くよ」って言われて行ったらそのおじさんの葬式だった。

 とか

 地下鉄降りたら、ホームに倒れてる人がいっぱい居る!って思ったら、女性の腰にしがみついた幽霊がいっぱい居すぎて30メートル位引き摺ってるのを見間違えた。

 とか。

 姉ちゃんと一緒になって、「怖っ。でも気になる!」って、ちょっとした怪談聞く感じでいたけど、自分じゃ見えないし「世の中不思議なこともまぁあるかな?」位に思ってたわけ。

 貴方の知らない世界、的な?

 聞く分には面白いよね。

 だから、姉ちゃんがこの写真を祖父ちゃんに見て欲しいってのも分からなくない。

 祖父ちゃんが見たら何て言うかな?


  ***


「そう言えば昔、お父さんが『この家は龍神さんに守られてる』って言ってた事があったの思い出したわ。」

 夕飯の時、母さんが突然そんなことを言い出した。

 例の写真見て思い出したんだろうけど。

「って事は、やっぱりあのモヤモヤ、龍神様って事?古い松に龍が宿るみたいな漫画読んだこと有るけど、同じなのかな?」

「じゃあ、あそこの松は伐らない方が良いのかね?確かに樹は下手に伐ると祟るとか言うね。」

 姉ちゃんは興味津々、父さんはちょっと恐々って感じ。
 祟られるのは怖いよね。

 有り得ないって思うけど、「何事も、有り得ないは有り得ないんだよ。」って祖父ちゃんも言ってたし、可能性はまだ排除出来ないってとこかな。

 まぁ、考えた所で分かりようも無いんだけどさ。

 分からないならとりあえず危険の少なそうな選択をするか、って所で落ち着いた。

 幸い、その松は伐らなくても垣根の修理に影響無さそうだし。
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