《連載版》異世界ネイルサロン

海辺野海月

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異世界フェルミニアとは

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 ホワイトタイガーさんは重厚感のある机の向こうに座っておられます。あれです、いかにも重役的などっしりとした文机です。
 上半身しか見えませんが、胸当てとか着けてるので武官さんなのでしょうか?大きな虎さんの時点で絶体強いですよね。

「カーライル、そちらのお嬢さんは?……黒い瞳?まさか迷い人なのか?」

 もふもふを観察させて頂いていたらあちらも私をしっかり観察なさったようです。
 しかし、本当に黒瞳だけで迷い人となるのですね。

「木漏れ日亭のデージアが見付けた迷い人だ。」
「初めまして。倉田紗菜と申します。」

 カーライルさんに促されてご挨拶しました。マナーは良くわからないので、日本式お辞儀で許して戴けると良いのですが。

「初めまして、迷い人殿。私はアルベルト・フォミ・アーデルトラウ・エルベータ。ここ、エルベータ辺境伯領の領主だ。クラタ嬢とお呼びしても良いだろうか?」
「はい。でもサナ、と呼び捨てて頂いて大丈夫ですよ。」

 領主様って偉い方なんですよね?凄く紳士な方のようです。わざわざ此方に立って手を差し出して握手を求めて、その流れでソファーに案内されましたよ。虎さんの大きな肉球!

「ではサナ、と呼ばせて頂こう。迷い人については何処まで話を聞いているのかな?」
「えぇと、違う世界からたまに来る黒瞳の人で、見付けたら直ぐにその地の領主様に連絡しないといけない、お伽噺として誰でも知ってる存在、でしょうか?」
「なるほど、ごく端的にだけ聞いているのですね。」

 私の認識をお伝えしたところ、何故領主様に連絡しないといけないのかを話して下さいました。

 なんでも最初の迷い人とやらがこの国の初代王妃様だったそうで、その人の知識で文字の統一化や教育制度、食文化の向上等々、革命級の進化があった為、迷い人が現れたら各地で奪い合いになった事があるらしく、国が保護する為に速やかに領主様に連絡する必要があるそうなのです。

 初代王妃様、どこのラノベの主人公ですか!?

 私にはそんな大層な知識なんてありません。
 両親共働きのごく一般的な家庭でしたし、二流私大の文学部卒で、技術革新やらの知識は皆無ですし、ネイルサロンの勤務経験しかないのです。爪のお手入れは出来ますが、それ以外の知識は全くもって自信がありません。

「あの、大変申し訳無いのですが、私はあまり学があるわけではありません。初代王妃様みたいにお役に立てるとは思えません。」
「心配ありませんよ、今は戸籍の登録と後ろ楯を作る為にしていることで、迷い人の知識を欲してと言うわけではないのです。それというのも、初代王妃様がそれをさせないために法律で明文化なさっているのです。生活の基盤を整えるお手伝いをした後は好きに生活して頂いて構いません。ただ、出来れば何処でどう暮らすのかは教えていただけると有り難い。」

 なんと此処での戸籍は領主様の養女として登録されて、一年間は毎月平民の平均給金の金貨2枚を下さるそうです。そのお金で住む場所等の生活基盤を整えて、生活に慣れたら働けば良いとのこと。
 領主様の養女とは言っても、働き出したら税金など平民と変わらず納めるので難民の市民権登録と変わらない様です。もし、迷い人という理由で拐われたりした時に貴族の誘拐と同じ様に直ぐに軍を動かす為だそうです。

「ただし、貴女の知識が有害であると判断をした場合は国として拘束せざるを得ません。その辺りは十分注意をして頂きたい。」

 変な知識は持ってないと思いますが、何が有害か判りません。何かを始める時はご相談してからの方が良さそうです。

 
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