アース ダンジョン核を持つ少女

生けもの

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2章 アースの学園生活

032 闘技大会 魔術具部門予選2

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 ー≪心理の泉学園 大講堂≫ー
 
 次に登場したのはヴォルス子息の取り巻き1号くん。

「えー、俺が研究、発表するのはこの魔術具『鏡面マスク』です。これは簡単にいうと”顔を変える”魔術具になります。まだ色々問題が山済みでこれからその問題を解決していく段階ですが、すでにいくつかの商会からオファーを貰っています。ですのでこの魔術具は完成したも同然です」

 取り巻き1号くんの発表に、ラウレッタが「ウチの商会もかなりいい条件でオファーしているんですよ」とにっこりと笑った。

「諜報活動や、犯罪に使われる危険性についてはどうなんだ?」
「顔を変えるって、思い通りの顔にできるのか?」
「実は私、女の子になりたかったの…、これで夢がかなうわ」

 一部危ない発言もあったが、用途が多岐にわたる魔術具のため、周りの人の関心も高い。

「まぁまぁ、結論から言うと『思い通りの顔にできるのか?』は出来ます!そしてもちろん男の人が女の人の顔にもなれますし、その逆も可能です」

「「「おおおおおおおお!!!」」」

 取り巻き1号くんの回答に大講堂が揺れた。

「あの国に潜伏させている人間を大臣の顔に変えれば…」
「これで俺もモテモテの二枚目に!!」
「二度と近づかないでって言われたあの子にまた近づけるぞ」

 色々問題のある言葉が並ぶ。

「そして、先ほどの『犯罪に使われる危険性』についてですが、…論より証拠、実際にお見せしましょう」
 そう言って取り巻き1号くんが近くにいた人間に何やら渡した。

 ピクっ! アースの耳が動いた。

「それをこの顔に近づけて下さい。皆さんに見えるように」
 取り巻き1号くんが渡したものは小さなクッキーだった。
 それが顔にくっ付いたと思ったら途端に分解されてに吸収されてしまった。

「なっ!なんだそれは…」
 全員が驚く中、取り巻き1号くんが

 顔の下から顔が出てきた。
 正しくは、顔と思っていたのはマスクで、下からぼこぼこに腫れた顔の取り巻き1号くんが現れた。

 一部の人間が(そういえば誰かに顔をぼこぼこにされていたなぁ)とウルリカの方を見た。

「この通り、このマスクの元は単水生物アクアスライムでそれを顔に吹き付けて成型する魔術具です。単水生物アクアスライムを魔術具で半活性化させて顔の老廃物を取り込み形態を維持します」
「さっきの引っぺがしたのはなんだ」
「あれは、特別に調合した単水生物アクアスライムの餌です。あれを近づけると一時的に単水生物アクアスライムが活性化するため、簡単に引っぺがす事が出来ます」

 餌を近づけた瞬間に見れば、マスクかどうかが分かると取り巻き1号くんは語った。

「素晴らしい、その餌を持たない人間には基本的に見破る手段はないという事か」
「あ、いえ些細なことで特に気にすることではないのですが…その……」
「なんだ、些細な事なら言っても問題ないのではないか?」

 取り巻き1号くんの歯切れが悪い事で、さらに質問者に詰められる結果となった。

「はい、えーこちらの取り巻き2号くんにもマスクを付けてもらっています。ご覧ください」

 取り巻き1号くんの紹介で登場したのは、ブロンドの髪をなびかせた美少女だった。 …顔だけの

「うう~~~ん、あり?ありなのか?いや」
「俺は、受け入れられる!」
「きゃーー、男装させたお姉さまと見ればいいかも」
 
 美少女の顔をした取り巻き2号くんの登場に大講堂がざわめいた。そして違和感に気づく者もいた。

「ん?なんかおかしくないか?」
「何がだ? まぁ元々男が女のマスクだからおかしいんだけど」
「いや、そういうのじゃ… 分かった!顔だ、顔がんだ!!」

 言われてみると、普通の人間よりも一回り顔が大きい。顔だけを見るとその違和感に気づかないが全身を見ると顔の大きさが際立っていた。

「元の顔の上に単水生物アクアスライムを乗せるためにどうしても顔が大きくなってしまいます。小顔の女性なら男性の顔にしてもあまり違和感はありませんが、逆となるとどうしても違和感がぬぐえません」

 取り巻き1号くんが説明していると、突然取り巻き2号くんのマスクが剥がれた。そしてそのまま単水生物アクアスライムが大講堂から逃げ出してしまった。

 突然の出来事に全員が何が起ったのか分からなかった。しかし、ラウレッタ達だけは見逃さなかった。アースが取り巻き1号くんの手のクッキーににじり寄っていた。
 そして突然の単水生物アクアスライムの脱走はアースに脅威を感じたせいだと理解した。

「う~~ん、大魔力持ちが近くにいると脱走するマスクだと、売れないですねぇ。ウチは今のうちに手を引きますか…」

 ◇ 結 果 ◇

 夢のような素晴らしい魔術具だが、致命的な欠点があるため現状では優秀賞どまり。


 次に登場したのはお気に入りの眼鏡をくいっと上げたアースだった。
 天才少女の登場とあって場内は期待の渦となっていた。

「どんな魔術具を出してくるんでしょう?」
「きっと見たこともない革新的な魔術具ですよ」
「楽しみですなぁ、あのラウレッタ商会で売っている魔術具のいくつかも彼女の作成したものと聞いてますよ」
 大講堂内が今か今かと待ち焦がれる中アースの発表が始まった。
 
「えーーワタシのは『携帯コンロ』の魔術具です。これさえあれば何処でも美味しいものが食べられる素晴らしいものです以上」

「「「え?それだけ?」」」

 ◇ 結 果 ◇

 すでに似たようなものがあり、目新しさが全くない魔術具、残念賞。

「何処でも美味しくご飯が食べられる幸せがなんでわからないんだろう…」
「仕方ありません、貴族は旅先でもお抱えシェフを連れて行きますし、平民も即席で石の竈くらいなら作りますからね」
 ラウレッタがなだめるがアースは納得していない様子だった。

「むぅ、本当に師匠の『携帯コンロは』凄いのに。焼く、蒸す、炒める、さらに外はこんがり、中はジューシーとか、お肉を究極に柔らかくする(遠赤外線)とか、凍っててもすぐ食べられたり(高速解凍)ってすごいのになぁ…」

 性能は凄くても、それを十分伝える事が出来なかったアースだった。



「「「………」」」
「ねぇ、これどうにかしてよ」
「こうなったラウレッタさんはしばらく元には戻りませんねぇ」

「えへ、えへ。 あれも売れそう…これも売れそう…」

 ラウレッタが沢山売れそうな魔術具を見つけられたようですごく楽しそうだった。
 そしてそれを冷ややかな目で見つめるカーリーたちがいた。
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