召喚弱者は静かに暮らしたい!!

ハク・レイホウ

文字の大きさ
8 / 10

洗礼式前日4~いざ森へ!!~

しおりを挟む
あれから、勇んで森へと踏み込んだものの今はとても気が滅入っている。
だってあれだよ!森っていったらモンスターがわっさー出て来て、突然秘められし力が覚醒したりとか、精霊様に出会ってとてつもない加護をもらったり、確たる上は美少女巨乳エルフ、(この際は巨乳じゃなくてもいいけど)をモンスターの襲撃から助けて未来の嫁候補になったりとか色々、フラグが豊富なはずじゃないの!?

父さんにそれらの話を聞くとモンスターは精々、強くてゴブリンが限界で他は動物が魔素に侵され凶暴になった魔動物くらいしか出ないって言われるし、それもほとんど出会わないらしい。
妖精に関しても魔素の濃い森に住み着くからこんなに薄い森にはまずいないってさ。
エルフにしても人里近くの森に集落を構える奇特な奴はいないし基本は人とあまり馴れ合わないから見ることがほとんどないとの事だ。

なぁんてこった!
見事に幻想の全てを打ち砕かれ、今鬱蒼と生い茂る暗い森の中を親子二人で歩いてるのである。

「なんだか想像してたのと違うなぁ~」
「まぁアサヒくらいの年頃だと冒険とかに憧れるだろうがあれは危険なものだ、父さんとしては安全に穏やかに過ごしていってもらいたいけどね」
こんな風に子供の事を心から思ってくれているという事に対しては好感がもてるが日頃の行いを思い出すとプラスマイナスゼロになってしまうな。

「ねぇ、どんな物を採りに行くの?」
「うぅーん、基本は魔力の籠ったものなら何でもいいがここらで簡単に採れるものといったら〝ザイアの実〟だろうね」
「〝ザイアの実〟?」
「あぁ、ザイアの木が魔素を吸ってそれが固まって実になるんだよ。ポーションなんかの材料になる」
「へぇ~それってどこら辺で採れるの?」
「ある程度、魔素があるところじゃないと木自体が生えてないからもう少し歩くぞ。大丈夫か?」
そんな他愛もない会話を続けながらしばらく獣道を歩いていくと徐々にだが周囲の空気に違和感を覚えるようになる。

「そろそろ着くぞ。父さんから離れないようにしなさい」
「う、うん」
父さんから放たれる雰囲気が急に緊迫したものに代わり、急に不安が押し寄せてくる。

べ、別にビビってるわけじゃなくて、まぁこれでも空気読める方だし、父さんが頼れるようなオーラ出してるからそれに任せようと思って年相応のか弱い感じを出してるだけだから!!

「ほら、あったよあれがそうだ」
父さんの指差す方には大きくもなく小さくもない木が一本佇んでおり、その木には青色の小振りな実がたくさん生っている。
「あれが〝ザイアの実〟?」
「あぁそうだ。あれを首飾りにするんだよ」
実際に近づきその実を採取してみると青色の実の上には糸を通すのに都合がいいように湾曲し半円の形になった果硬が存在している。
わぁーお、なんてご都合主義

「マルタちゃんの分も採っておいてやってくれ。頼まれてるんだ」
採取袋一杯に〝ザイアの実〟を詰め込み元来た道を戻ろうと反転するとそこには緑色の醜悪な生き物が立ちはだかっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』

宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?

悪役令嬢の父は売られた喧嘩は徹底的に買うことにした

まるまる⭐️
ファンタジー
【第5回ファンタジーカップにおきまして痛快大逆転賞を頂戴いたしました。応援頂き、本当にありがとうございました】「アルテミス! 其方の様な性根の腐った女はこの私に相応しくない!! よって其方との婚約は、今、この場を持って破棄する!!」 王立学園の卒業生達を祝うための祝賀パーティー。娘の晴れ姿を1目見ようと久しぶりに王都に赴いたワシは、公衆の面前で王太子に婚約破棄される愛する娘の姿を見て愕然とした。 大事な娘を守ろうと飛び出したワシは、王太子と対峙するうちに、この婚約破棄の裏に隠れた黒幕の存在に気が付く。 おのれ。ワシの可愛いアルテミスちゃんの今までの血の滲む様な努力を台無しにしおって……。 ワシの怒りに火がついた。 ところが反撃しようとその黒幕を探るうち、その奥には陰謀と更なる黒幕の存在が……。 乗り掛かった船。ここでやめては男が廃る。売られた喧嘩は徹底的に買おうではないか!! ※※ ファンタジーカップ、折角のお祭りです。遅ればせながら参加してみます。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...