親友は砂漠の果ての魔人

瑞樹

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ムー大陸編

06大陸の住民との遭遇1

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「あの飛行船の中にはヘリウムが詰まってるそうだ。推進力は分からないけど」
「それは自分で確かめろということ?」
「そういうことだね」
 アルハザードの肩の上で邪神が眠そうに体を丸めた。

 空を見上げると先ほどと同じような飛行船がまた見えた。但し、今度の飛行船は赤い色をしている。
「何か色の違いに意味はあるのかな」
「さあね、こいつが寝た振りしているから分からないな」
「本当に眠ってるんじゃないの」
「こいつらを人間の基準で考えちゃだめだよ、こいつらに睡眠なんか必要ないからね」
 邪神とはいえ神様なのだから、当然といえば当然か。

 一時間ほど歩いただろうか、道路の脇は黒い砂地が広がり、所々につつじのような植物が生えているばかりで、人影はおろか民家さえなく、遠くに樹木が密生した森が見えるばかりだ。もしかすると、この島の住民は神谷の思い描く家ではなく、地中などに住んでいるのだろうか。

「いや、普通に木やモルタルみたいなもので作られた家に住んでいるらしいよ」
「それもその猫からの情報?」
「うん、気まぐれにそれだけ教えてくれた」
「それじゃあ、ここはよっぽどの田舎ってことなのかな」
「まぁ、そういうことだろうね」

 またしばらく歩いていると、はるか前方から何かがこちらに近づいてくるのが見えた。それが近づいてくるにつれて、それが車のような物であることが分かった。

 銀色の鈍く輝くプラスチックのような素材でできているが、底にタイヤはついておらず三十cmほど地面から浮きあがりながら走っていた。

 二人の横でその乗り物が止まり、地面に静かに着地した。前面がガラス張りでできているようだが、マジックミラーなのか、中の様子は分からない。横側のドアが上に向かって開き、中から人間が降りてきた。

 百六十センチほどの身長だろう。ナイロンの様に光沢のある素材でできた、頭にフードのついた白のジャージのような服を身にまとい、色白の顔は彫が深く、現代に例えるならば、北欧人が一番近いかもしれない。

「あの人は女性のようだよ」
 邪神が気まぐれで教えてくれたようだ。

 女性が大きく目を見開いて、驚いたようにアルハザードと神谷を見っめた。無理もない、中東の民族衣装を着た人間など見るのは生まれて初めてのことに決まっているのだから。

 年齢は神谷と同じくらいに見える。
「うん、大体同じみたいだね」

「あなた方、どこから来たの」
 見た目ににあわない低い声で女性が二人に話しかけてきた。同時通訳はもちろん邪神のサービスだ。

「海を越えて来たんだよ」
 アルハザードが答えた。時を超えてと言わないところは説明するのが面倒だからだろう。

「海のむこうに人が住んでいるの、少し驚きね。服も変わってるし」
「このあたりに人は住んでいないのかい」

 アルハザードの言葉遣いが少し横柄になったように聞こえるがが、邪神がどう訳すのかは分からない。
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