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9話
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ヒューバートに後を任せて離宮に向かう為、ランフェルドは-足先に召還の館を出て行った。
それから暫くすると第二陣の騎士達と1台の馬車がやって来て、森の入口からここまでは少女を発見出来なかった事、念のため3人は残している事を報告して来た。
「ご苦労。今、コリンズ達が半径5km内を聖女捜索に散っているところだ。後、魔力切れの“塔”の魔道師達を運ぶ手がいる。直ちにかかれ」
「はっ!」
騎士達はきびきびと建物内に入って行き、意識のない魔道師をそれぞれ担いだり、背負ったりして運び出した。
最後にヨロヨロと疲労困憊したシドが出て来たので、慌ててヒューバートが駆け寄り支えてやる。
「ど、導師、大丈夫ですか?」
「ーー魔力回路の修復がちと厄介じゃった。殿下は?」
「離宮へリサ様に会いに行かれました。とりあえず導師は、聖女用の馬車で一旦お戻りになってお休み下さい。捜索は我らで続けます」
「ーすまんがそうさせて貰おうかの」
シドがヨタヨタと馬車に乗り込み出発すると、騎士達は他の魔道師をお互いに手を貸し合って馬に乗せ、後に続く。
残ったのはヒューバートを含め、12. 3人と言ったところだ。
彼らも捜索の輪に加わり、ヒューバートと後2人が残る。
葵は屋根の上でこの様子を全て見ていた。
しらじらと明け行く空。
屋根の上にいる間の時間潰しに葵は、さっきは見るのを放り出したステータスオープンで自分が持つスキルを改めて確認した。
気配探知に追跡。
他に身体強化レベル10があったのは正直嬉しい。
合気道は基本相手からの攻撃をいなす技で、自ら仕掛ける事はあまりしない。
できるかどうかは相手の力量にもよるし、葵は中学生の女の子だ。力は当然男に劣る。
2mを撃退できたのは不意を突けたから、と言う事を葵は良く分かっていた。
“生兵法は大怪我のもと”
※少しばかりの知識や技術を知っていると、それに頼って大怪我をすることがあるという戒め。
浅い知識やうろ覚えの技術は、かえって危険なものである。
「生兵法」とは、ちょっと聞きかじった兵法や武術のこと。
この事は祖父に合気道を習い始めた時に、徹底的に叩き込まれた。
しかし身体強化はそれをチャラにできるのだ。
戦闘訓練を受けた騎士達から逃亡する以上、身体能力が高いに越したことはないのである。
葵は辛抱強く時を待つ。
検事を目指すからには、捜査状況も把握する事が必要で判例からの捜査資料を読んだり、クライムサスペンスドラマを参考にしている。だから葵にはこの先、騎士達がどのような動きをするかある程度予測が付いていた。
もっと明るくなった所で騎士達は一度は戻って来て、見つからないと報告をするだろう。
そうなれば、人数を更に人数を増やして捜索範囲を広げるのがセオリーだ。
つまり、もっと遠くへ森の奥へと騎士達は向う筈。
葵はその隙に小道を辿り、森から出る計画を立てていた。
2mと部下との会話では森の入口に少人数残しているらしいが、彼らが注意して捜しているのは髪が短く、短いスカートの少女。
葵は自分が無限収納持ちなのも知った。
やっぱりお約束のチートで、時間停止機能にはもう乾いた笑いしか出ないが、とりあえず制服のスカートとブラウス、リックサック、スポーツバックを中に入れる。
思い付いた事もあり、スポーツバックには再び教科書とノートを入れて、屋根から降りたら手元に出すつもりだ。
そしてブラウスの代わりに出したTシャツと道着姿ならば、葵は男の子に見えなくもない。
人を捜す大前提は性別に服装である。それを撹乱するのだ。
あの2mだって最初男じゃないかって言ってたしね!
葵の予想通り、戻って来た騎士達が集い、新しい指示を受け再び散って行った。
今度は2mも一諸に。
すぐ見つかると思っていた聖女が見つからず、かなり焦っているようだ。
その姿にアカンべをした葵は誰もいなくなってから木を伝って地面に降りた。
「……さてと、これだけはやっておかなくちゃね」
葵がスキルの結界を確認した時、御親切にも詳細な説明がウインドウ上に表示された。
“結界……張った本人か張った者が許しを与えた者のみ入る事が出来る。
人、扉、部屋、建物などに使用する。
レベルにより強度に差があるが、基本害意を持つ人物、獣の侵入を防ぐ。又は弾き出す。
物理、魔法の攻撃を防ぐ。又はそのまま跳ね返す。
毒、煙などの異物を遮断し、内部を正常な状態に保つ。
熱、冷気を遮断し、適温に保つ。
音を遮断し、内部の声が漏れないようにする。
結界には張った本人独自の印があり、離れた場所に張った結界が破壊されれば直ちに感知する。
レベル10になれば、本人独自の印が強固な鍵となり、張った結界は誰も破る事が出来ない。”
葵は結界スキルがレベル10。
欲しくもなかったチート能力だが、まさにこの為に授かったのだと思った。
葵は建物全体に結界を張る。
自分以外誰も入れない、破れない結界を。
いっそ魔法陣をブチ壊そうかとも思ったが、万に1つの可能性がある事を考え、今は使用不可を取った。
召還の魔法陣を押さえてさえいれば、最悪殺されるのは防げるだろう。次の聖女が召還出来ないのだから。
それに葵はまだ諦めてはいない。
元の世界に還る事。家族の元に、自分の属する世界に還る事を。
もし、どうしてもダメな時は--。
建物ごとフッ飛ばしてやる。
ーー二度と聖女を召還なんかさせないから。
それから暫くすると第二陣の騎士達と1台の馬車がやって来て、森の入口からここまでは少女を発見出来なかった事、念のため3人は残している事を報告して来た。
「ご苦労。今、コリンズ達が半径5km内を聖女捜索に散っているところだ。後、魔力切れの“塔”の魔道師達を運ぶ手がいる。直ちにかかれ」
「はっ!」
騎士達はきびきびと建物内に入って行き、意識のない魔道師をそれぞれ担いだり、背負ったりして運び出した。
最後にヨロヨロと疲労困憊したシドが出て来たので、慌ててヒューバートが駆け寄り支えてやる。
「ど、導師、大丈夫ですか?」
「ーー魔力回路の修復がちと厄介じゃった。殿下は?」
「離宮へリサ様に会いに行かれました。とりあえず導師は、聖女用の馬車で一旦お戻りになってお休み下さい。捜索は我らで続けます」
「ーすまんがそうさせて貰おうかの」
シドがヨタヨタと馬車に乗り込み出発すると、騎士達は他の魔道師をお互いに手を貸し合って馬に乗せ、後に続く。
残ったのはヒューバートを含め、12. 3人と言ったところだ。
彼らも捜索の輪に加わり、ヒューバートと後2人が残る。
葵は屋根の上でこの様子を全て見ていた。
しらじらと明け行く空。
屋根の上にいる間の時間潰しに葵は、さっきは見るのを放り出したステータスオープンで自分が持つスキルを改めて確認した。
気配探知に追跡。
他に身体強化レベル10があったのは正直嬉しい。
合気道は基本相手からの攻撃をいなす技で、自ら仕掛ける事はあまりしない。
できるかどうかは相手の力量にもよるし、葵は中学生の女の子だ。力は当然男に劣る。
2mを撃退できたのは不意を突けたから、と言う事を葵は良く分かっていた。
“生兵法は大怪我のもと”
※少しばかりの知識や技術を知っていると、それに頼って大怪我をすることがあるという戒め。
浅い知識やうろ覚えの技術は、かえって危険なものである。
「生兵法」とは、ちょっと聞きかじった兵法や武術のこと。
この事は祖父に合気道を習い始めた時に、徹底的に叩き込まれた。
しかし身体強化はそれをチャラにできるのだ。
戦闘訓練を受けた騎士達から逃亡する以上、身体能力が高いに越したことはないのである。
葵は辛抱強く時を待つ。
検事を目指すからには、捜査状況も把握する事が必要で判例からの捜査資料を読んだり、クライムサスペンスドラマを参考にしている。だから葵にはこの先、騎士達がどのような動きをするかある程度予測が付いていた。
もっと明るくなった所で騎士達は一度は戻って来て、見つからないと報告をするだろう。
そうなれば、人数を更に人数を増やして捜索範囲を広げるのがセオリーだ。
つまり、もっと遠くへ森の奥へと騎士達は向う筈。
葵はその隙に小道を辿り、森から出る計画を立てていた。
2mと部下との会話では森の入口に少人数残しているらしいが、彼らが注意して捜しているのは髪が短く、短いスカートの少女。
葵は自分が無限収納持ちなのも知った。
やっぱりお約束のチートで、時間停止機能にはもう乾いた笑いしか出ないが、とりあえず制服のスカートとブラウス、リックサック、スポーツバックを中に入れる。
思い付いた事もあり、スポーツバックには再び教科書とノートを入れて、屋根から降りたら手元に出すつもりだ。
そしてブラウスの代わりに出したTシャツと道着姿ならば、葵は男の子に見えなくもない。
人を捜す大前提は性別に服装である。それを撹乱するのだ。
あの2mだって最初男じゃないかって言ってたしね!
葵の予想通り、戻って来た騎士達が集い、新しい指示を受け再び散って行った。
今度は2mも一諸に。
すぐ見つかると思っていた聖女が見つからず、かなり焦っているようだ。
その姿にアカンべをした葵は誰もいなくなってから木を伝って地面に降りた。
「……さてと、これだけはやっておかなくちゃね」
葵がスキルの結界を確認した時、御親切にも詳細な説明がウインドウ上に表示された。
“結界……張った本人か張った者が許しを与えた者のみ入る事が出来る。
人、扉、部屋、建物などに使用する。
レベルにより強度に差があるが、基本害意を持つ人物、獣の侵入を防ぐ。又は弾き出す。
物理、魔法の攻撃を防ぐ。又はそのまま跳ね返す。
毒、煙などの異物を遮断し、内部を正常な状態に保つ。
熱、冷気を遮断し、適温に保つ。
音を遮断し、内部の声が漏れないようにする。
結界には張った本人独自の印があり、離れた場所に張った結界が破壊されれば直ちに感知する。
レベル10になれば、本人独自の印が強固な鍵となり、張った結界は誰も破る事が出来ない。”
葵は結界スキルがレベル10。
欲しくもなかったチート能力だが、まさにこの為に授かったのだと思った。
葵は建物全体に結界を張る。
自分以外誰も入れない、破れない結界を。
いっそ魔法陣をブチ壊そうかとも思ったが、万に1つの可能性がある事を考え、今は使用不可を取った。
召還の魔法陣を押さえてさえいれば、最悪殺されるのは防げるだろう。次の聖女が召還出来ないのだから。
それに葵はまだ諦めてはいない。
元の世界に還る事。家族の元に、自分の属する世界に還る事を。
もし、どうしてもダメな時は--。
建物ごとフッ飛ばしてやる。
ーー二度と聖女を召還なんかさせないから。
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