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19話
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「団長、一杯食わされたとはどういう事ですか?」
駆け付けたコリンズはヒューバートから、聖女が実は館の屋根の上で騎士達の動きを全て見ていたらしい事、己の生存率を上げる為、魔法陣を使わせないように、館に結界を張って逃げた事を説明され、口をあんぐりと開けた。
「大胆で頭が切れる上、それだけ用心深い子が既に明るくなった森でむざむざ川に転落すると思うか?」
「思いません。すると……」
「ああ、そうだよ。わざと偽の手がかりを残して行ったんだ。川に転落したと思った俺達は必死でこの辺りを集中的に捜していた。その間に逃げる時間を稼いだって訳だ」
「では聖女は御無事だと?」
「そうとも。前提が間違ってたんだ。少女、短いスカート、に拘って、初めから着替えを所持していた可能性を失念していた。それに結界のスキルを持っていた以上、他にもスキルを持っている事も充分考えられる。鑑定とかな」
鑑定持ちなら薬草の判別など造作もないだろう?と言った上官は苦い笑いを浮かべた。
「……と言う事は、ウォレス達からバック代を巻き上げたという薬草取りの少年が?」
「多分な。時間的にもピッタリ合うし、それも異国風の顔だったと言うじゃないか。追われているのに、わざわざ近づいて俺達をミスリードした挙げ句、ちゃっかり当座の金まで手に入れたんだ。コリンズ、ウォレス達を呼んでその少年の似顔絵を描かせろ」
急遽呼ばれた3人は話を聞き、驚き呆れながら、絵が得意な者と協力して似顔絵を数枚作った。
そっくりだと太鼓判を押されたその絵を見てヒューバートは頷く。
「ー-ああ、確かにこんな顔だった。初め見た時は痩せて胸もないし男みたいだと思って……その後直ぐ一撃食らってすっかり抜けてたが、思い出した」
「これからどうしますか?」
コリンズの質問にヒューバートは命令を下した。
「引き上げて、とりあえず休ませろ。嬢ちゃんは、とっくに王都にいる筈だ。そして交代用員の方は守備隊と協力して城門から出る奴と中程度の宿を総当りで調べるんだ。今度は少年もだ。まあ、まだ王都からは出てないと思うがな」
それを聞いて、ああと納得したコリンズ。
「中程度の宿代だと金を取って行ったからですね?実際いくら少年の振りをしていても中身は少女だ。安くても治安が良くない安宿は敬遠するだろうし、高ランクでは金が続かない」
「その通り。それから、特に風呂付きの部屋を取っている者は要注意だ。聖女は共通して風呂好きだからな。クリーンの魔法を使えてもだ。俺は念のためこの推測が合っているか裏を取っておく」
「了解しました」
似顔絵を持ち、コリンズに後を任せたヒューバートは馬を飛ばして、城門を管轄する守備隊の責任者ガルダに話をしに行った。
隊員を交代で呼び出し、似顔絵を見せて4日前にこんな少年が通ったか訊くと、2人の男が反応を示した。
「……こいつアオじゃないか?」
「そうだ、アオだ」
本当に見たのか?と確認する隊長に、2人は沈痛な顔になった。
「……隊長、ホラ、ディーを拾ってネリーとザックの事を教えてよこした……」
「ああ!その子だったのか」
意味不明な騎士団団長にミランとアルノーと名乗った男達が代わる代わる話した。
2人の友人夫婦ー-蜂に刺された馬に逃げられ、その時に怪我した夫に薬草をやり、逃げた馬を拾って治療までしてやって正直に届け出た少年……。
「ほほう?」
何かと規格外で色々やられた側としては、やっと聖女らしい話を聞いて何となくホッとする。
だが、何故この男達はこんなに暗い顔をしているのだろう?
訳を聞いてヒューバートも渋い顔になった。
昼間せっかく助けに行った友人夫婦が夜、夫婦喧嘩から殺し合いに発展したのだから無理もない。
「ネリーも色々と溜まってみたいで……調書にはザックに対する怒りと恨みが山程……それを普段全く態度に見せなかったんだから、ホント女は怖いよな」ミランがしみじみ言えば隊長がバッサリ切り捨てた。
「バー力、何時も言ってるだろうが。その時その時の女の不満をちゃんと聞かずに適当に流しているから、爆発するくらい溜まるんだ」
「ガルダ隊長、それが夫婦円満のコツですか?」
「そうだ。女の怒りは長びかせないこった。その時やり過ごしたとしても安心するなよ。相手はしっかり覚えてるぞ。何かあれば過去の件も上乗せして、結果何倍にもなって返って来るから要注意だ」
なかなか耳の痛い話だが、あらぬ方に逸れて来たので、ヒューバートは咳払いをし、話を戻す。
「ウォッオン!あー……じゃあ、この子が又門を通ったら分かるか?」
「分かりますよ。特にあんな事があったんじゃ忘れようったって忘れっこない……この子、何かやったんですか?ちゃんと審査はパスしたんですがね」
「いや、犯罪者じゃないから、その点は安心していい。見かけたらその場に何とか留めておいて欲しいんだ。くれぐれも丁重に、絶対手荒な事はしないでくれ」
王都には、他国の諜報員も潜んでいるので、“アオ”が聖女だとぶっちゃけて言えないのがツライところだ。
「騎士団の方からも人を回す。それと“アオ”の人相風体は極秘で頼む。詳しい事は言えんが、訳アリで狙われているんだ。攫った奴からやっと逃げたらしいが、なるべく早く保護したいと上からの命令でね」
「……あの子、そんなに重要人物だったんですか?」
騎士団長より上からとは限られている。驚いてミランが聞いた。
「ああ、そうだ。対応には充分注意して欲しい」
ーー嘘は言っていない。嘘は。
1つ手を打ったヒューバートは国王とランフェルドに人払いの上、面談を求めた。
今までの経緯を説明すると、想像の斜め上を行く聖女の行動に2人は驚きを隠せない。
次いで“アオ”の似顔絵を見せられたランフェルドは、確かに似ていると肯定した。
聖女の物と思われるスポーツバックと、川辺で見つかった本類は既に城に届けられていたので、国王は侍従に持って来させる。
「このバックに果して何が入っていたのか……だな」
「そうです。着替えになるような物を最初から持っていた、と考えるのが自然ですが、異世界ではあんな男のような着替えを普段から持って歩くのですか?」
国王は、似顔絵を改めて見直した。
「--母上からずっと前に聞いた話だが、この服、ジュウド?カラ?……何だったか
……とにかく、格闘技をする格好のように見える。もしも習っていたならば最初から入れてあっても不思議ではない。あちらでは女でも男と同じように技を習い、髪の短い者は沢山いるし、男のようなこの格好も当たり前に受け入れられて、偏見もないそうだ」
「戦う技、ですか?」キラッと目を光らせるヒューバート。
「異世界でも様々な戦いの方法があるそうだ。同じ技を習った者達が強さを競う大きな世界大会もあるらしい。もっとも厳しい決まりに則って行われるから、殺し合いとは違うという話だが」
「ならば納得です。あの聖女は見た事も無い、おかしな技を使いました」
腕を取られたと思ったら、あっという間もなく捻られて態勢を崩された一連の動きと、トドメの一撃を思い起こす。
「ーー頭も良いし、大胆でありながら、その-方で慎重で用心深い。そして技持ち。なかなか厄介な聖女サマですな」
捕まえるのは、とヒューバートは本当に嫌そうに言った。
駆け付けたコリンズはヒューバートから、聖女が実は館の屋根の上で騎士達の動きを全て見ていたらしい事、己の生存率を上げる為、魔法陣を使わせないように、館に結界を張って逃げた事を説明され、口をあんぐりと開けた。
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鑑定持ちなら薬草の判別など造作もないだろう?と言った上官は苦い笑いを浮かべた。
「……と言う事は、ウォレス達からバック代を巻き上げたという薬草取りの少年が?」
「多分な。時間的にもピッタリ合うし、それも異国風の顔だったと言うじゃないか。追われているのに、わざわざ近づいて俺達をミスリードした挙げ句、ちゃっかり当座の金まで手に入れたんだ。コリンズ、ウォレス達を呼んでその少年の似顔絵を描かせろ」
急遽呼ばれた3人は話を聞き、驚き呆れながら、絵が得意な者と協力して似顔絵を数枚作った。
そっくりだと太鼓判を押されたその絵を見てヒューバートは頷く。
「ー-ああ、確かにこんな顔だった。初め見た時は痩せて胸もないし男みたいだと思って……その後直ぐ一撃食らってすっかり抜けてたが、思い出した」
「これからどうしますか?」
コリンズの質問にヒューバートは命令を下した。
「引き上げて、とりあえず休ませろ。嬢ちゃんは、とっくに王都にいる筈だ。そして交代用員の方は守備隊と協力して城門から出る奴と中程度の宿を総当りで調べるんだ。今度は少年もだ。まあ、まだ王都からは出てないと思うがな」
それを聞いて、ああと納得したコリンズ。
「中程度の宿代だと金を取って行ったからですね?実際いくら少年の振りをしていても中身は少女だ。安くても治安が良くない安宿は敬遠するだろうし、高ランクでは金が続かない」
「その通り。それから、特に風呂付きの部屋を取っている者は要注意だ。聖女は共通して風呂好きだからな。クリーンの魔法を使えてもだ。俺は念のためこの推測が合っているか裏を取っておく」
「了解しました」
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隊員を交代で呼び出し、似顔絵を見せて4日前にこんな少年が通ったか訊くと、2人の男が反応を示した。
「……こいつアオじゃないか?」
「そうだ、アオだ」
本当に見たのか?と確認する隊長に、2人は沈痛な顔になった。
「……隊長、ホラ、ディーを拾ってネリーとザックの事を教えてよこした……」
「ああ!その子だったのか」
意味不明な騎士団団長にミランとアルノーと名乗った男達が代わる代わる話した。
2人の友人夫婦ー-蜂に刺された馬に逃げられ、その時に怪我した夫に薬草をやり、逃げた馬を拾って治療までしてやって正直に届け出た少年……。
「ほほう?」
何かと規格外で色々やられた側としては、やっと聖女らしい話を聞いて何となくホッとする。
だが、何故この男達はこんなに暗い顔をしているのだろう?
訳を聞いてヒューバートも渋い顔になった。
昼間せっかく助けに行った友人夫婦が夜、夫婦喧嘩から殺し合いに発展したのだから無理もない。
「ネリーも色々と溜まってみたいで……調書にはザックに対する怒りと恨みが山程……それを普段全く態度に見せなかったんだから、ホント女は怖いよな」ミランがしみじみ言えば隊長がバッサリ切り捨てた。
「バー力、何時も言ってるだろうが。その時その時の女の不満をちゃんと聞かずに適当に流しているから、爆発するくらい溜まるんだ」
「ガルダ隊長、それが夫婦円満のコツですか?」
「そうだ。女の怒りは長びかせないこった。その時やり過ごしたとしても安心するなよ。相手はしっかり覚えてるぞ。何かあれば過去の件も上乗せして、結果何倍にもなって返って来るから要注意だ」
なかなか耳の痛い話だが、あらぬ方に逸れて来たので、ヒューバートは咳払いをし、話を戻す。
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「分かりますよ。特にあんな事があったんじゃ忘れようったって忘れっこない……この子、何かやったんですか?ちゃんと審査はパスしたんですがね」
「いや、犯罪者じゃないから、その点は安心していい。見かけたらその場に何とか留めておいて欲しいんだ。くれぐれも丁重に、絶対手荒な事はしないでくれ」
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騎士団長より上からとは限られている。驚いてミランが聞いた。
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今までの経緯を説明すると、想像の斜め上を行く聖女の行動に2人は驚きを隠せない。
次いで“アオ”の似顔絵を見せられたランフェルドは、確かに似ていると肯定した。
聖女の物と思われるスポーツバックと、川辺で見つかった本類は既に城に届けられていたので、国王は侍従に持って来させる。
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国王は、似顔絵を改めて見直した。
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