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五十話
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馬を飛ばし、吉原の大門脇に繋いだ右京は、行き交う男逹を跳ね飛ばす勢いで鈴代屋に向かう。
「バッキャロー!危ねーじゃねぇか!」
「ちっ!がっついてんじゃねーよ!」
後から怒鳴り声やら罵声やらが聞こえて来るが、知った事ではなかった。
飛び込んで来た右京に何事かと驚く見世の衆。
目が血走り形相が変わっている彼の刀を、見世の男が慌てて取り上げた。
こんな顔をして入った来た男は、必ずと言っていい程、血の雨を降らせるからだ
籐兵衛は、番頭格の伊之助の知らせに、驚いて飛んで来た。
不幸があったと、宴の断りを入れた彼が何故?
「ま、松永様!?」
鬼気迫る表情の右京「鈴代屋殿、白雪太夫はどこだ?」
その気迫に押され、「た、太夫は……部屋に」思わず口走ってしまった。
「部屋だな?」聞くなり彼は階段をダダダッと駆け上がって行った。
止める間も無い素早さ。
ハッとする藤兵衛。「松永様!誰かお止めして!」
……いやらしい手が身体を撫でまわしている。
太夫は歯を食いしばり、敷布をぐっと握りしめた。
彼女の嫌悪も知らず外記は一人夢中になっている。「おう、この吸い付くような手触り……」
下で何か騒ぎが起こったようだった。
怒号や物音が近づいて来る。
外記は手を止め、顔をしかめた。「…五月蝿いのう。とんだ興醒めじゃ」
その時、突然襖が開き、明かりが部屋に差したと思ったら、彼女にのしかかっていた重さが消えた。
「!」
入って来た黒い影が、いきなり外記を蹴り飛ばしたのである。
無様にひっくり返った外記は、当然ながら突然の狼藉に激怒した。「な、何を……!貴様、許さぬ!鈴代屋!鈴代屋は何処にいる!」
冷え冷えとした声が上から降って来た。「……早、色惚けしたか?外記。俺の顔も分からんとは……」
その声、その顔……
「げぇっ!う、右京様!」
右京様!?
太夫は慌てて、側に外記に脱がされ落ちていた肌襦袢で身を隠した。
よりにもよって、あんな姿を右京様に見られてしまった……!
……もう、もう死んでしまいたい……!
「……太夫」
右京が己を呼ぶ声に、彼女は涙に濡れた顔を上げる。
しかし彼の太夫を見る目は静かだった。
変わらぬ優しい眼差し……。
「……松永様?」
右京は後ろを向き、早く着物を着るよう促したので慌てて白雪は肌襦袢を抱え衝立の後ろへ回った。
「……太夫。ウチの家老が迷惑かけたの。許せ」
白雪は見繕いしながら首を傾げた。意味が良く分からない。「……ウチの?」
そこへバタバタと藤兵衛らが部屋に駆けつけて来た。
「松永様、一体何が何だか……!」
見れば、あの傲慢な男が布団の上でへたり込んでいた。
見繕いを済ませた太夫も顔を出す。
「バッキャロー!危ねーじゃねぇか!」
「ちっ!がっついてんじゃねーよ!」
後から怒鳴り声やら罵声やらが聞こえて来るが、知った事ではなかった。
飛び込んで来た右京に何事かと驚く見世の衆。
目が血走り形相が変わっている彼の刀を、見世の男が慌てて取り上げた。
こんな顔をして入った来た男は、必ずと言っていい程、血の雨を降らせるからだ
籐兵衛は、番頭格の伊之助の知らせに、驚いて飛んで来た。
不幸があったと、宴の断りを入れた彼が何故?
「ま、松永様!?」
鬼気迫る表情の右京「鈴代屋殿、白雪太夫はどこだ?」
その気迫に押され、「た、太夫は……部屋に」思わず口走ってしまった。
「部屋だな?」聞くなり彼は階段をダダダッと駆け上がって行った。
止める間も無い素早さ。
ハッとする藤兵衛。「松永様!誰かお止めして!」
……いやらしい手が身体を撫でまわしている。
太夫は歯を食いしばり、敷布をぐっと握りしめた。
彼女の嫌悪も知らず外記は一人夢中になっている。「おう、この吸い付くような手触り……」
下で何か騒ぎが起こったようだった。
怒号や物音が近づいて来る。
外記は手を止め、顔をしかめた。「…五月蝿いのう。とんだ興醒めじゃ」
その時、突然襖が開き、明かりが部屋に差したと思ったら、彼女にのしかかっていた重さが消えた。
「!」
入って来た黒い影が、いきなり外記を蹴り飛ばしたのである。
無様にひっくり返った外記は、当然ながら突然の狼藉に激怒した。「な、何を……!貴様、許さぬ!鈴代屋!鈴代屋は何処にいる!」
冷え冷えとした声が上から降って来た。「……早、色惚けしたか?外記。俺の顔も分からんとは……」
その声、その顔……
「げぇっ!う、右京様!」
右京様!?
太夫は慌てて、側に外記に脱がされ落ちていた肌襦袢で身を隠した。
よりにもよって、あんな姿を右京様に見られてしまった……!
……もう、もう死んでしまいたい……!
「……太夫」
右京が己を呼ぶ声に、彼女は涙に濡れた顔を上げる。
しかし彼の太夫を見る目は静かだった。
変わらぬ優しい眼差し……。
「……松永様?」
右京は後ろを向き、早く着物を着るよう促したので慌てて白雪は肌襦袢を抱え衝立の後ろへ回った。
「……太夫。ウチの家老が迷惑かけたの。許せ」
白雪は見繕いしながら首を傾げた。意味が良く分からない。「……ウチの?」
そこへバタバタと藤兵衛らが部屋に駆けつけて来た。
「松永様、一体何が何だか……!」
見れば、あの傲慢な男が布団の上でへたり込んでいた。
見繕いを済ませた太夫も顔を出す。
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