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首席騎士様は、真摯に語る

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「だが、リカルド君。君なら想像出来たんじゃないかねぇ?」


責めているわけでもないゆるやかな口調だけれど、リカルド様は痛そうに顔を顰めた。


「すみません、ついムキになって判断を誤りました。ユーリンの魔力が信じられないほど強力だというのは分かっていましたが、まさかあの規模で連発できるとは想定外でした」

「うむ、詳しく聞かせてくれるかね」

「はい。ユーリンはほんの数刻前、演習中に強力な魔法を放ったために、魔力が枯渇して倒れたのです」

「ほう」

「彼女の魔力の回復が異常なほど早いのは気がついていましたが、枯渇状態からわずか数刻で、またあれほどの魔力を放てるほどだとは思っていませんでした」

「なるほどねぇ、それは興味深い。して、ムキになって……というのは?」

「それは……」


言い淀んで、リカルド様は一瞬だけ学年主任の先生を見たけれど、唇を引き結んだままそっと俯いた。


「おや、ここまでの事態を引き起こしたのだから真実を述べねばならないよ? 絶対に再発させてはならない案件だからねぇ」


学長が優しくリカルド様に諭している後ろでは、さっきあたしの魔力によってめちゃめちゃに破壊された闘技場の回復作業が急ピッチで進められている。

ボコボコになってしまった地面は土魔法で綺麗にならされて、どんどん平らになっていくし、瓦礫は結界の中で粉砕されて土に還っていく。すべての修復を魔法でできるわけじゃないんだろうけど、魔法って極めると本当に便利なのね。

学長様に説得されてもしばらく迷っている様子だったリカルド様は、そんな荒れてしまった闘技場を見回してからゆっくりと顔を上げて、学長に目を合わせ口を開いた。ついに、話をする決心がついたのかも知れない。


「……ザブレット教授へ討伐演習の成果報告をする際に、この一年、魔力をほぼ放出できなかったユーリンの能力が開花したことも報告しました。その才能は素晴らしく、今回俺が討伐したAランクの飛龍の二倍はあるドラゴンを消し飛ばしてしまうレベルの魔法を放ったほどだと」

「それは、本当かね……!」


学長の声がうわずる。そして、闘技場の回復作業に従事していた先生方からも、息を呑むような感じやら小さな悲鳴やらが漏れ聞こえてくる。

こんなにスゴイ先生達ですら驚くようなことなんだと改めて分かって、あたしは今更緊張してきてしまった。

あたし、なんかよく分かんないけど、すごいことになっちゃってるんじゃ……。

足のしびれはだいぶ収まってきたけれど、心臓のバクバクが尋常じゃない。リカルド様はあたしと違って今や落ち着いた、真摯な態度で学長に事情を説明している。
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