仔狐さくら、九尾を目指す

真弓りの

文字の大きさ
22 / 96

いつの間にそんな怖いことになってんの?

しおりを挟む
任せて!とでも言わんばかりに、千切れそうな勢いでふわふわしっぽを振りまくるさくらを見て、思わず吹き出してしまった。ホント可愛いなこいつ。相変わらず言葉が通じるわけじゃないから、感情表現は専らしっぽや耳の動きと鳴き声だ。

しかしぶっちゃけ狐の鳴き声には詳しくない。

俺の部屋の悪霊もいなくなった事だしと神主さんがせっかくさくらの声が聞き取りやすいようにしてくれたんだけど、よくある「コーン」的鳴き声なんか全然発さないし。まあ発されても分からないけど……とにかく、なんか犬が風邪ひいたみたいな感じ?お狐さまの鳴き声は、どシロウトの俺には感情まで読み取れるような都合のいいもんじゃなかったわけだ。

ただし、かわりにと言っちゃなんだが、さくらは表情も豊かで、耳としっぽもよく動く。さくらをしっかり見てさえいれば、なんとなく嬉しい、悲しい的感情の動きだけは見当がつくってのはありがたかった。

今はちょっぴり御立腹だ。
ほっぺたがぷうっと膨らんで、しっぽがぶわっと広がってる。
せっかく『守る』って意思表示したのに、俺が吹き出したのがお気に召さなかったんだろう。


「ごめんごめん、さくらが守ってくれるんだよな」


ヨシヨシとなでれば、拗ねたみたいにそっぽを向くのに、しっぽが全力で揺れていた。可愛い。


「ゆうべも守ってくれたもんな、ありがとな」

「ちぇー、いいなあ雅人。こんなケモ耳のかあいい子に守ってもらうなんて、この幸せ者め!」

「お前はネコマタ予備軍のウメさんに守って貰え」

「ええ~、ウメさん超引っ掻くし。女王様気質だから守ってくれる気全然しねえよ。むしろ盾にされる気しかしねえ」

「……それはなんて言うか、御愁傷様?」


どうやら聡は本気で言っているらしい。相当なめられてんだろうなあ、まあ聡が生まれる前からいたんだったらそれも仕方ないのか。弟分とか……子分程度にしか思われてなかったりしてな。

ぶすくれる聡に笑いかけながら、慰めに肩を軽く叩く。
安心しろ聡、悪霊も何だかんだで退治できたんだ、もはやさくらにもウメさんにも体をはってもらう必要なんかないって。


「ま、気にすんな!守ってもらうなんて事もそうそうないって!」

「おや、そんな事はないですよ」


なんと、間髪入れずに神主さんに否定されてしまった。


「え?どういう事ですか。今まで別に今回みたいな怖い目にあった事なんかないですよ」

「今まではね、でもこれからは違います。あなたはもうさくらちゃんという使狐をもち、悪霊を倒した事で霊力もあがっています。白龍様との縁もできた。それなりに力のある者は力のカラーを読んで神に繋がりがあることを感じ取るでしょうが、その辺の雑鬼からみたら単に美味しそうな霊力をダダ漏れさせてる人ですからね」


なにそれ怖い。


「い、いつの間にそんな怖い事になっちゃったんですか」

「この神社に来てからですよ。で、今朝からは特に。二尾にレベルアップしたさくらちゃんが睨みをきかせてるから、本当に低級なのは近寄れないかも知れませんけどね」

「うっわ、すげー。ゲームみたいだなー雅人!スライム程度じゃ近寄れませんってか」


聡の言葉にがっくり来た。
たぶんそんなのんきな感じの話じゃないから!
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...