仔狐さくら、九尾を目指す

真弓りの

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聡、道中の葛藤

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「おい聡、そろそろ気持ち持ち直してくれねえ?地味に鬱陶しい」

「いうに事欠いて鬱陶しいとかお前鬼か!」

「いや、かれこれ40分くらいは経ってると思うけど」

「可愛い飼い猫が400年ものの猫又だとか突然言われた俺の身になって考えろ!」

「いや、可愛いって……女王様気質だって言ったじゃん……」

「女王様でも可愛いの!しかも婆ちゃんも霊能力高いと言ってなかった?何それ、だよ」


家に帰るのがなんか怖いらしい聡は、一応案内はしてくれるものの、立ち止まってはため息をつき、立ち止まっては家があると思われる方向を見遣ってしばし佇むという不毛な行為を繰り返していた。


「ああ~、俺の平和すぎる日常の裏側で妖怪大バトルとかあってたのかなあ」

「マンガの読みすぎだ」

「言っとくがお前の今の状況も、普通にマンガの読みすぎって一蹴されるレベルだからな!」


違いない。


その時、目の端を黒いものが通り過ぎた。


「痛ってえええっっっ!」


頬を押さえて座り込む聡の前に、しなやかに綺麗な翡翠の目をした黒猫が舞い降りた。


「遅いんだよ!一体いつまで待たせるつもりだい⁉︎」


ねこ……しゃべった……。


「う、うーちゃん」


うーちゃん?


「いい歳してうーちゃん、はやめてくれないかねえ、こっちが恥ずかしいよ」


照れたように耳のあたりを前脚で撫でる姿は普通に可愛いかった。

一方聡はそう指摘されて、ハッとしたように今度は口を押さえる。ほっぺたに残る引っ掻き傷が痛々しい。ウメさん、結構本気でやったんだな……。ただ、傷のせいだけではないほっぺたの赤さを見るに家で言ってたの、つい出ちゃった感じなんだろうなあ、ここは武士の情けで不問と処す。


「う、ウメさん、マジで喋ってる……マジで、猫又なの?」

「ああ、今は百合香の仕事仲間っていうんだろうねえ、それなりに仲良くやってるよ」


しばらく目を見開いたまま、姿勢よくお座りしているウメさんを見つめていた聡は、若干震え始めた。もしかして、俺が思っていたよりもずっとショックを受けてるんだろうか。


「だ、大丈夫か、聡……」

「うおおおお!すげえ!すげえ!マジで妖怪大バトルきたああああ!」


今度はこっちの口があんぐりと空いてしまった。なんかこう、落ち込んでたんじゃなかったんかい!とツッコミのひとつも入れてやりたくなる。心配して損した。


「こういう子だからねえ、今までは言わずにいたのさ。まあいい、こんな外で話す事でもない、百合香も待ってるからねえ、さっさとついて来ておくれ」
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