38 / 96
線路沿いの悪霊
しおりを挟む
なんて気持ち悪い腕。
蠢めく腕をヒラリヒラリと軽やかに避けながら、あたしは攻撃するチャンスをジッと狙っていた。
雅人おにーさんはすっごく一生懸命に修行してたけど、本当はそんな修行なんてさせたくなかった。だってあたしが強ければなんの問題もないんだもの。
だから、この魔物だってあたしだけで倒せるのが理想だ。
それでダメなら雅人おにーさんから霊力を分けてもらう、できれば何とかそこまでで決着をつけたい。雅人おにーさん自らが戦闘に参加するという事態だけは避けたかった。
でも、修行した今なら分かる。
この悪霊は、そう簡単に倒せる相手じゃないってこと。
雅人おにーさんの部屋にいたあの黒いのが1くらいの強さだとしたら、この悪霊は3くらいはきっとあるんじゃないかなあ。
ウメさんはもう何件か事故が起こってるって言ってた。きっとそのせいだと思うの、この悪霊からは一つじゃない複雑な霊気が漂ってきていた。
それってつまり、この悪霊が既に幾つかの命を奪って、取り込んで、勢いを増してるって事でしょう?
怖い。
でも、恐れてる場合じゃない。
あたしが、雅人おにーさんを守るんだから!
そう思ったら、いきなり力が湧いてきた。うん、あたし頑張る!
きっと普通に噛み付いたってダメなんだ。前に黒いのを倒した時みたいに霊気を牙から流したらいいのかな。
考えながら戦ってたから、ちょっと注意が散漫になってたのかも知れない。あたしを捕らえようと蠢めく手の平が、少しだけあたしの体を掠った。
途端、強烈な違和感があたしを襲った。
なあに? 体から何かが吸い取られたみたい。 もしかしてあの手の平で生命力を抜き取ってるの?
ちょっと触られただけなのに。
びっくりして、大きく距離をとる。あいつから近づいてこないことがありがたかった。
でも、こっちから噛んだ時には力を抜き取られる感覚なんてなかった。あの手の平に触れられなければ大丈夫なんだろうか。
何本もある手に触れられる事なく噛み付く……しかも、牙から霊気を流し込むって考えると、そう何度もチャンスがあるとも思えない。一回で出来るだけ大きなダメージを与えたい。
考えろ、考えろ、あたし。
ええと、ウメさんはなんて言ってたっけ。
悪霊には、真逆の陽の気が大事だって、言ってた気がする。
雅人おにーさんは元々陽の方に気が傾いてるっても、言ってたと思う。ってことは、そっか、雅人おにーさんからいっつも霊気分けて貰ってるからあたしの中の霊気を集めて攻撃すれば、自然に陽の気で攻撃した感じになるんだよね。
かんたん、かんたん。
ちょっと落ち着いたあたしは、自分の中の霊気を集めて牙のあたりに集中させた。
蠢めく腕をヒラリヒラリと軽やかに避けながら、あたしは攻撃するチャンスをジッと狙っていた。
雅人おにーさんはすっごく一生懸命に修行してたけど、本当はそんな修行なんてさせたくなかった。だってあたしが強ければなんの問題もないんだもの。
だから、この魔物だってあたしだけで倒せるのが理想だ。
それでダメなら雅人おにーさんから霊力を分けてもらう、できれば何とかそこまでで決着をつけたい。雅人おにーさん自らが戦闘に参加するという事態だけは避けたかった。
でも、修行した今なら分かる。
この悪霊は、そう簡単に倒せる相手じゃないってこと。
雅人おにーさんの部屋にいたあの黒いのが1くらいの強さだとしたら、この悪霊は3くらいはきっとあるんじゃないかなあ。
ウメさんはもう何件か事故が起こってるって言ってた。きっとそのせいだと思うの、この悪霊からは一つじゃない複雑な霊気が漂ってきていた。
それってつまり、この悪霊が既に幾つかの命を奪って、取り込んで、勢いを増してるって事でしょう?
怖い。
でも、恐れてる場合じゃない。
あたしが、雅人おにーさんを守るんだから!
そう思ったら、いきなり力が湧いてきた。うん、あたし頑張る!
きっと普通に噛み付いたってダメなんだ。前に黒いのを倒した時みたいに霊気を牙から流したらいいのかな。
考えながら戦ってたから、ちょっと注意が散漫になってたのかも知れない。あたしを捕らえようと蠢めく手の平が、少しだけあたしの体を掠った。
途端、強烈な違和感があたしを襲った。
なあに? 体から何かが吸い取られたみたい。 もしかしてあの手の平で生命力を抜き取ってるの?
ちょっと触られただけなのに。
びっくりして、大きく距離をとる。あいつから近づいてこないことがありがたかった。
でも、こっちから噛んだ時には力を抜き取られる感覚なんてなかった。あの手の平に触れられなければ大丈夫なんだろうか。
何本もある手に触れられる事なく噛み付く……しかも、牙から霊気を流し込むって考えると、そう何度もチャンスがあるとも思えない。一回で出来るだけ大きなダメージを与えたい。
考えろ、考えろ、あたし。
ええと、ウメさんはなんて言ってたっけ。
悪霊には、真逆の陽の気が大事だって、言ってた気がする。
雅人おにーさんは元々陽の方に気が傾いてるっても、言ってたと思う。ってことは、そっか、雅人おにーさんからいっつも霊気分けて貰ってるからあたしの中の霊気を集めて攻撃すれば、自然に陽の気で攻撃した感じになるんだよね。
かんたん、かんたん。
ちょっと落ち着いたあたしは、自分の中の霊気を集めて牙のあたりに集中させた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる