仔狐さくら、九尾を目指す

真弓りの

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視えるということ

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それは不思議な光景だった。

瘴気を浄化すると黒い濁った粒子が薄くなっていき、エクトプラズムとでも言うのだろうか、霊体のようなものがふよふよと浮び出ては空気に溶けていく。

ちょうど湯気のようにゆらゆらと揺らめきながら上の方に昇っていき、その途中で湯気が消えるみたいに自然と消える。

そのほとんどは形がないもので、ただのエネルギーに見えた。察するに、さっきの女の人のように通りすがりから吸いとった生気とかなんだろう。

ごく稀に、動物や人の姿をした霊体があるのが気にかかった。依頼を受ける時に既に大小様々な事故が多発していて、遺体や物が必ず同じ場所に落ちると聞いていた。

つまり、あの悪霊の影響で事故が起こり、結果として命を落とした霊体をもあの悪霊は取り込んで力を増していたんだろう。

圧倒的に動物の姿が多いのは、それだけ多くの動物が犠牲になっている証拠だ。もしかしたら人が死ぬような大きな事故が起こり始める前からずっと、この場所では動物達が犠牲になってきていたのかもしれない。


複雑な気持ちで悪霊に目をやって……俺は二度見した。


なんだあれ。

なんなんだ、あれ。


べらぼうに気持ち悪くなってる!


随分と小さくはなっているものの、人やら動物やらがごちゃ混ぜになって融合している。蠢く姿が最高に気持ち悪い。さっきまでは真っ黒だったから解らなかったそのエグい姿にさすがに俺は恐怖した。


よくあんなのに勇敢に立ち向かっていけるな、さくら!

すげえ尊敬するんだけど!


「嫌だねえ、随分とおぞましい混ざり方したもんだ」

「だよな、キモいよな!? いやあ、さくら凄いわ。全然怯んでない」

「視えてないだけさ」

「へ?」

「目はアンタの方がいいんだよ。さくらにゃアンタほど鮮明には視えてないだけだろ」


ま、視えててあの戦いっぷりなら大したもんだけどねえ、わっちだって、ありゃあちょっと寄りたかないねえとウメさんは独りごちる。

ウメさんでも嫌だってのには、ちょっと笑ってしまった。

それにしても、人によって視え方が変わってしまうものなんだろうか。もしそうだとしたら、意思の疎通には意外と気をつけないといけないのかも知れない。


「なあウメさん、視え方って人によって結構変わるのか?」

「違うねえ」

「なんで変わるんだ?結構似たように視えてるように感じてたんだけど」

「おおまか似たように見える事も多いけどねえ、こっちの力の強さや質によっても違うし、相手にも寄るのさ」

「じゃあ、全く同じように見える事って少ないって事か」

「ないだろうねえ。さくらは雅人から霊力を補給して貰ってるから力の質は似るもんだ、だから同んなじ方向で視えちゃいるけど、雅人は目がいい、視覚で受け取る情報が多いはずさ。さくらは感覚で得てる情報の方が多い」


……ぶっちゃけよく解らなかった……。でも、俺に視えてるものがさくらにも全部視えてるわけじゃないってことだけは確定みたいだ。

でも、お互いに感じる物が違うなら、ある意味補い合えれば将来的により多くの情報を得ることだって可能なのかも知れない。

これからの実戦で、確かめていくしかないな、そう思った。
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