仔狐さくら、九尾を目指す

真弓りの

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旅行って、素敵ねえ

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旅行って、素敵ねえ。


たっぷりとはられたお湯に、ちゃぷんと浸かってみる。

露天風呂っていうんですって。お外の景色を眺めながらお風呂に入れるだなんて、ここってとっても不思議な場所なのね。お月さまがとっても綺麗で、あたしはお湯にゆったりと浸かりながら、おとなしく満月を見上げていた。

あっちでもこっちでもお風呂だお湯だって話ばっかりが出るから不思議だなぁって思っていたら、このあたりは温泉っていうお湯に特徴がある土地柄なんですって。

あたしは自分が生まれた野山と、雅人おにーさんが住んでいるあの町しか知らなかったけれど、なんだかね、土地によってこんな風に特徴があるんですって。

旅行って、そういう変わったことを体験するのも醍醐味なんだって聡が教えてくれたんだ。


「だからさー、せっかく旅行に来たんだったらその土地の特色を楽しまなきゃソンなんだって!」


ってすっごく力強く雅人おにーさんに言ってたけど、本当にその通りね。とり天だってすっごく美味しかったし、色とりどりの温泉だってすっごく楽しかったもの!

美味しいご飯、変わった景色、不思議な匂い。今日偶然立ち寄った神社だって、とっても優しい気を分けてくれた。

だから、今の雅人おにーさんの霊力はびっくりするくらい安定してる。

旅行って、本当に楽しくって素敵なモノなのね。


「おっ、さくら。先にお湯に入ってたのかー」

「お待たせ」


あたしがお湯にまっしぐらに来たのとは違って、ちゃんと体を洗ってきた聡と雅人おにーさんがやってきた。雅人おにーさんはお行儀良く腰にタオルをまいてるけど、聡なんかタオルを肩に担いじゃってる。

まったく、レディがここにいるのに、聡ったら失礼しちゃう。


「おー、極楽、極楽」

「うわ、濁り湯って意外と肌あたりがいいんだな。気持ちいい……」


ああ、本当。雅人おにーさんがお湯に入ると、その肌の感覚を伝ってお湯の感じ方がより鮮明になってくる。

すごいなぁ。おうちのお風呂とはお湯の感じ方が全然違うの。

なんだかなめらかで、お湯が体に的割りついてくる感じなのよ。ちょっとぬるっとするのに、不思議とそれが気持ちいいの。

ああ、温泉って、あたし好きだなぁ……。


「ふはっ、さくらちゃんメッチャ温泉気に入ったみたいだなぁ」

「うん、目がとろんとしてる。温泉のもと、買って帰ろうかな」

「ぷかっと浮いてるの、かわいいよな」


なんか色々言われてるけど、もうなんだっていいや。

しかもねえ、お風呂をあがってもぐりこんだお布団もふっかふかで超気持ちいいの。

だから、思ってもいなかった。

真夜中にあんなことがあるなんて。
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