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お山の匂い
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「近いからそのまま行けるでしょ」
スオーさんのそんな言葉を信じて、あたし達のこのこついてきちゃったんだけど。大丈夫かなぁ、けっこうな山奥よ? 雅人おにーさんも聡もゼーハーゼーハー息があらいの。
もうね、おしゃべりする余裕もないみたい。
あたしやスオーさんはもちろん平気だけど、体がある分雅人おにーさんたちは苦しそうだよね。
「まだ……?」
「んー、あと半分くらいかな」
「マジか……」
息も絶え絶えだった聡が、スオーさんの容赦ないお言葉でさらにぐったりなってしまった。
「人間って足遅いなぁ。そんなにチンタラしてたら、日があるうちに帰って来れなくなるぞー」
「それはヤバい」
「真っ暗な森の中なんて歩きたくねぇよぉ」
まだお日様は高いところにあるのに、そんなに遠いのかな。ちなみにスオーさんは「蘇芳、案内してやるが良い」っていうコタカ様のお言葉により、あたしたちを目的地まで連れて行ってくれるらしい。
さっきまでいた白龍稲荷神社の奥から森に入ったんだけど、ここってあたしがまだ生きてた頃にいたお山よりもずっとずっと大きくって色が濃いの。薄暗い感じで、ちょっと怖い。でも、雅人おにーさんや聡が歩くたびに草や土の匂いが感じられるところはけっこう嬉しい。
だって、ママと一緒にいたころのお山の匂いってこんな感じだった。
草の匂いと土の匂いがして、鳥の声や虫の声がやかましいの。この森よりも木の色は明るかったし、もっといっぱいお日様の光が差し込んで、背の高い草があっちにもこっちにも生えてたなぁ。
あたしは巣穴にいる時間が多かったけど、ママがいつも傍にいてくれたから、ママのふかふかの毛皮に包まれてあたしとっても幸せだったよ。なんだか懐かしくって、ふとママに会いたくなってしまった。
ママ、元気かなぁ。
雅人おにーさんにお願いしたら、あたしのお山に連れて行ってくれるかなぁ。
遠くからでもいい、ママにもう一度会いたい。
雅人おにーさんと住んでる町の匂いとは違うお山の空気をたくさん吸い込んで、そんなことを思ってしまった。
「……あ」
あたしの鼻が、スン、と動いた。
「水の匂い……」
そう、こんなに木ばっかりしか生えてないのに、お水の匂いがする。
「気づいたね。鼻は悪くないじゃないか」
スオーさんが褒めてくれて、あたしはちょっと嬉しくなる。昨日はあんなに怖いと思ったスオーさんだけど、はっきりと敵じゃないって分かったら、不思議ね、ぜんぜん怖くないの。
スオーさんはひらりひらりと木を避けてあたしたちよりもずいぶん先に進んでから、おっきな声で呼ぶ。
「ほら、空気に水の匂いが混ざってきた。目的地が近づいてきたよ、頑張って!」
「やっと………」
「死ぬかと思った」
ふたりとも、テンション低っ……。
スオーさんのそんな言葉を信じて、あたし達のこのこついてきちゃったんだけど。大丈夫かなぁ、けっこうな山奥よ? 雅人おにーさんも聡もゼーハーゼーハー息があらいの。
もうね、おしゃべりする余裕もないみたい。
あたしやスオーさんはもちろん平気だけど、体がある分雅人おにーさんたちは苦しそうだよね。
「まだ……?」
「んー、あと半分くらいかな」
「マジか……」
息も絶え絶えだった聡が、スオーさんの容赦ないお言葉でさらにぐったりなってしまった。
「人間って足遅いなぁ。そんなにチンタラしてたら、日があるうちに帰って来れなくなるぞー」
「それはヤバい」
「真っ暗な森の中なんて歩きたくねぇよぉ」
まだお日様は高いところにあるのに、そんなに遠いのかな。ちなみにスオーさんは「蘇芳、案内してやるが良い」っていうコタカ様のお言葉により、あたしたちを目的地まで連れて行ってくれるらしい。
さっきまでいた白龍稲荷神社の奥から森に入ったんだけど、ここってあたしがまだ生きてた頃にいたお山よりもずっとずっと大きくって色が濃いの。薄暗い感じで、ちょっと怖い。でも、雅人おにーさんや聡が歩くたびに草や土の匂いが感じられるところはけっこう嬉しい。
だって、ママと一緒にいたころのお山の匂いってこんな感じだった。
草の匂いと土の匂いがして、鳥の声や虫の声がやかましいの。この森よりも木の色は明るかったし、もっといっぱいお日様の光が差し込んで、背の高い草があっちにもこっちにも生えてたなぁ。
あたしは巣穴にいる時間が多かったけど、ママがいつも傍にいてくれたから、ママのふかふかの毛皮に包まれてあたしとっても幸せだったよ。なんだか懐かしくって、ふとママに会いたくなってしまった。
ママ、元気かなぁ。
雅人おにーさんにお願いしたら、あたしのお山に連れて行ってくれるかなぁ。
遠くからでもいい、ママにもう一度会いたい。
雅人おにーさんと住んでる町の匂いとは違うお山の空気をたくさん吸い込んで、そんなことを思ってしまった。
「……あ」
あたしの鼻が、スン、と動いた。
「水の匂い……」
そう、こんなに木ばっかりしか生えてないのに、お水の匂いがする。
「気づいたね。鼻は悪くないじゃないか」
スオーさんが褒めてくれて、あたしはちょっと嬉しくなる。昨日はあんなに怖いと思ったスオーさんだけど、はっきりと敵じゃないって分かったら、不思議ね、ぜんぜん怖くないの。
スオーさんはひらりひらりと木を避けてあたしたちよりもずいぶん先に進んでから、おっきな声で呼ぶ。
「ほら、空気に水の匂いが混ざってきた。目的地が近づいてきたよ、頑張って!」
「やっと………」
「死ぬかと思った」
ふたりとも、テンション低っ……。
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