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告げられた婚約破棄
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ああ、本当に綺麗だなぁ。
目の前を睦まじい様子で歩く二人を見て、私は眩しいような気持ちで目を眇めた。
同年の男子よりは頭一つとびぬけたスラリとした長身に黒の短髪、精悍な顔立ちの男は我が国の王太子であるロベール様。ただ歩いて話しているだけなのに、堂々とした立居振る舞いと表情だからかいつだって自信満々に見える。
そしてそのロベール様を愛しげに見上げ、愛らしい笑顔を浮かべながら談笑する女性はフルール嬢。海を渡った遠い異国から友好の証にと遣わされた、特殊な能力を持つという森の民だという。ふわふわと風に揺れる淡い若草色の髪と薄い桃色の瞳、抜けるような白い肌がすごく神秘的だ。
多分森の中で自由な暮らしをしてきたんだろう。楽しげに笑って、思った事を口にして、喜怒哀楽を全部表情と仕草で表す彼女は、私から見てもとても魅力的だった。
彼女が話す異国の話や森の話、彼女が起こす奇跡の話はどれも本当に面白い。儚げで妖精みたいに可愛くてしかも優しいのに、話すと面白い上にすごく楽しそうに話してくれる……そんなの、誰だって惚れるだろう。
ロベール様や側近の皆が夢中になるのも当然だと思う。
ロベール様も彼女と居る今は、屈託なく笑っていて本当に楽しげで……ああ、こんな顔も出来たんだなぁなんて、少し感動するくらいだった。
そんな二人に付き従って、護衛よろしく身辺に気を配っているのがこの私、レオニー・ド・シュヴァルだ。
騎士服を思わせる純白の……男子用の制服に身を包んではいるけれど、歴とした女だ。騎士団長を務めることも多かった代々続く王国騎士の家系に相応しく、女ながら齢16にして172cmの体躯を授かっている。
もうすぐロベール様にも追いついてしまいそう。騎士としてはもっと伸びたいけれど、女としてはここら辺で手を打ちたい複雑な心境だったりする。でもその体格のおかげもあってか自分で言うのもなんだけど、剣術なら騎士課を目指している奴らにだってひけを取らないと思う。
私達の関係性を知らない人ならきっと信じられないだろうなぁ。
フルール様と睦まじく笑っているロベール様の婚約者が、まさかこの護衛っぽい私だなんて。
自嘲気味にそんな事を考えていたら、ロベール様の足がふと止まった。
「ああそうだ、レオニー。お前との婚約が正式に破棄される事が決定したぞ」
顔だけ僅かにこちらへ向けて、ロベール様が言い放った。
泣きそう。
なんでそんなに晴れやかな笑顔なんだ。
さすがに内心悲しくなる。ロベール様が私が婚約者であることに不満を抱いてるのは知ってたけど、そこまであからさまに喜ばなくたっていいじゃないか。
目の前を睦まじい様子で歩く二人を見て、私は眩しいような気持ちで目を眇めた。
同年の男子よりは頭一つとびぬけたスラリとした長身に黒の短髪、精悍な顔立ちの男は我が国の王太子であるロベール様。ただ歩いて話しているだけなのに、堂々とした立居振る舞いと表情だからかいつだって自信満々に見える。
そしてそのロベール様を愛しげに見上げ、愛らしい笑顔を浮かべながら談笑する女性はフルール嬢。海を渡った遠い異国から友好の証にと遣わされた、特殊な能力を持つという森の民だという。ふわふわと風に揺れる淡い若草色の髪と薄い桃色の瞳、抜けるような白い肌がすごく神秘的だ。
多分森の中で自由な暮らしをしてきたんだろう。楽しげに笑って、思った事を口にして、喜怒哀楽を全部表情と仕草で表す彼女は、私から見てもとても魅力的だった。
彼女が話す異国の話や森の話、彼女が起こす奇跡の話はどれも本当に面白い。儚げで妖精みたいに可愛くてしかも優しいのに、話すと面白い上にすごく楽しそうに話してくれる……そんなの、誰だって惚れるだろう。
ロベール様や側近の皆が夢中になるのも当然だと思う。
ロベール様も彼女と居る今は、屈託なく笑っていて本当に楽しげで……ああ、こんな顔も出来たんだなぁなんて、少し感動するくらいだった。
そんな二人に付き従って、護衛よろしく身辺に気を配っているのがこの私、レオニー・ド・シュヴァルだ。
騎士服を思わせる純白の……男子用の制服に身を包んではいるけれど、歴とした女だ。騎士団長を務めることも多かった代々続く王国騎士の家系に相応しく、女ながら齢16にして172cmの体躯を授かっている。
もうすぐロベール様にも追いついてしまいそう。騎士としてはもっと伸びたいけれど、女としてはここら辺で手を打ちたい複雑な心境だったりする。でもその体格のおかげもあってか自分で言うのもなんだけど、剣術なら騎士課を目指している奴らにだってひけを取らないと思う。
私達の関係性を知らない人ならきっと信じられないだろうなぁ。
フルール様と睦まじく笑っているロベール様の婚約者が、まさかこの護衛っぽい私だなんて。
自嘲気味にそんな事を考えていたら、ロベール様の足がふと止まった。
「ああそうだ、レオニー。お前との婚約が正式に破棄される事が決定したぞ」
顔だけ僅かにこちらへ向けて、ロベール様が言い放った。
泣きそう。
なんでそんなに晴れやかな笑顔なんだ。
さすがに内心悲しくなる。ロベール様が私が婚約者であることに不満を抱いてるのは知ってたけど、そこまであからさまに喜ばなくたっていいじゃないか。
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