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素晴らしい贈り物
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周囲にも聞こえるように大きな声を出しているくせに、その目はなぜか真剣でまっすぐに私を見上げてくる。
不覚にも、少しドキドキしてしまった。
けれど、その気持ちを落ち着かせ、私はできるだけ淑女然とした微笑みを浮かべる。
せっかくルシャが我が国のマナーをしっかり守って申し込んでくれたんだ、それに相応しい返しをしたい。私はゆっくりと手を伸ばす。
周囲がざわ、とざわめいた。
「……ありがとう、とても嬉しいわ」
久しぶりすぎる、女性の言葉遣い。せめて、こんな男性の制服じゃ無ければ良かったのに。
「とても素敵な髪飾りね」
「手に取ってみて。今はブーケのように纏まって見えるだろうけど、このままコサージュにもできるし、バレッタのようにも、広げてティアラのようにも使えるんだ」
言われて手に取ってみると、確かにくるくると広げられるだけでなく、細かく連なったコームのようになっているからくねくね自由に曲げられて、なんとも使い勝手の良い髪飾りだった。さすがルシャだ。すぐにでも商品化できそう。
「本当に素晴らしい髪飾りだわ。これを私のためにつくってくれたなんて……私などでよければ、ぜひご一緒したいわ」
「喜んで貰えて良かった」
花がほころぶように笑うルシャ、めちゃくちゃ可愛らしい。まさにこの髪飾りのように柔らかい笑顔が心に沁みる。髪をくくっているヘアカフスを外すと、私の真っ赤な髪がさらりと風に流される。
周囲から、息を呑むような空気を感じる。私が申し込みを受ける気である事が、皆にも伝わったのだろう。
私とて、申し込みを受けるときのマナーくらいは知っている。殿下からの申し込みはついぞ受けることは無かったが。
妃教育で受けた教育が、ここで役に立つとは。
私は髪飾りをルシャに手渡し、ゆっくりと跪いてルシャに目を合わせた。
「どうか、あなたの手で私の髪を飾っていただけますか?」
「……もちろん!」
ルシャがぱあっと破顔した。
可愛い。
すっくと立ち上がって、わくわくした顔で私を見下ろす。そして、小さな声で呟いた。
「やっぱりレオニーって美形だね。やっぱりティアラっぽいほうがいいかなぁ」
コームの部分がそっと差し入れられたと思ったら、ルシャがなんとも嬉しそうに笑う。
「レオニーの真っ赤な髪に淡い色の髪飾りが映えて、すごく可愛い。お姫様みたいだ」
「ふふ、ありがとう……」
このときばかりは否定的な言葉を発してはならない。相手が選んでくれた贈り物を下げる事にもつながってしまうからだ。
不覚にも、少しドキドキしてしまった。
けれど、その気持ちを落ち着かせ、私はできるだけ淑女然とした微笑みを浮かべる。
せっかくルシャが我が国のマナーをしっかり守って申し込んでくれたんだ、それに相応しい返しをしたい。私はゆっくりと手を伸ばす。
周囲がざわ、とざわめいた。
「……ありがとう、とても嬉しいわ」
久しぶりすぎる、女性の言葉遣い。せめて、こんな男性の制服じゃ無ければ良かったのに。
「とても素敵な髪飾りね」
「手に取ってみて。今はブーケのように纏まって見えるだろうけど、このままコサージュにもできるし、バレッタのようにも、広げてティアラのようにも使えるんだ」
言われて手に取ってみると、確かにくるくると広げられるだけでなく、細かく連なったコームのようになっているからくねくね自由に曲げられて、なんとも使い勝手の良い髪飾りだった。さすがルシャだ。すぐにでも商品化できそう。
「本当に素晴らしい髪飾りだわ。これを私のためにつくってくれたなんて……私などでよければ、ぜひご一緒したいわ」
「喜んで貰えて良かった」
花がほころぶように笑うルシャ、めちゃくちゃ可愛らしい。まさにこの髪飾りのように柔らかい笑顔が心に沁みる。髪をくくっているヘアカフスを外すと、私の真っ赤な髪がさらりと風に流される。
周囲から、息を呑むような空気を感じる。私が申し込みを受ける気である事が、皆にも伝わったのだろう。
私とて、申し込みを受けるときのマナーくらいは知っている。殿下からの申し込みはついぞ受けることは無かったが。
妃教育で受けた教育が、ここで役に立つとは。
私は髪飾りをルシャに手渡し、ゆっくりと跪いてルシャに目を合わせた。
「どうか、あなたの手で私の髪を飾っていただけますか?」
「……もちろん!」
ルシャがぱあっと破顔した。
可愛い。
すっくと立ち上がって、わくわくした顔で私を見下ろす。そして、小さな声で呟いた。
「やっぱりレオニーって美形だね。やっぱりティアラっぽいほうがいいかなぁ」
コームの部分がそっと差し入れられたと思ったら、ルシャがなんとも嬉しそうに笑う。
「レオニーの真っ赤な髪に淡い色の髪飾りが映えて、すごく可愛い。お姫様みたいだ」
「ふふ、ありがとう……」
このときばかりは否定的な言葉を発してはならない。相手が選んでくれた贈り物を下げる事にもつながってしまうからだ。
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