51 / 73
【ルシャ視点】僕は待たない
しおりを挟む
「今は気持ちが落ち着いてないだろうから、急かさずに、もう少し気持ちの余裕が出てきた頃にって……そう思ってたんだ」
そこで言葉を切ったダグラスは、恨めしそうな目で俺を見る。
「なのに、何なんだよお前、急に出てきて勝手なことばっかり言って……もう少し、待ってやれないのかよ」
「僕はレオニーが落ち着くのを待ったりしない」
僕はキッパリとそう口にした。
「なんでだよ……! 可哀想だろ、あんまりじゃねぇか」
「今が大切な時期なんだよ。僕は、このタイミングを逃すようなバカな真似はしない」
「どういう意味だ」
「レオニーはさ、今まではあの王子様の嫁として、護衛として生きるんだって思ってたんだろ? あんな楽しくもなさそうな顔してさ」
「楽しくもなさそうな……ってのは置いといて、妃として護衛として生きるんだと思ってたのは間違いないだろうな」
「で、そんな生き方から思いがけず解放されて、戸惑ってる」
「そうだ。だから、そっとしておいてやりたいんだ」
「僕はそうは思わない」
「なんで……っ」
「何にも決まってない今だから、レオニーには無数の選択肢があるんだよ。それなら、楽しいこと、面白いこと、レオニーが興味を持てること、レオニーが想像もしてないこと、色んなことに触れてさ、たっくさんある選択肢の中からレオニーが選びたい道を掴めばいいんだ」
「……!」
ダグラスが驚いたような顔で僕を見る。
ダグラスだってレオニーの事、一生懸命に考えてたんだと思うけどさ。僕だってちゃんと考えてる。
「レオニーの手持ちの札の中で将来を考える方がよっぽどもったいなくて可哀想だ。レオニーの考えが固まっちゃってからじゃ遅いよ。今ならレオニーに、僕と一緒に笑ってる未来を選んでもらえるかも知れないんだもん。僕は、今しかないと思ってる」
なんならレオニーの周囲……家族や友人や、レオニーの事を狙ってるヤツらも含めて、まだ明確に考えが固まってない段階だからこそ有効な手、ってのはあるもんだ。
「あの王子様と一緒にいるよりは、ダグラスといた方がレオニーは楽しくいられるだろうけど、僕だって負けちゃいないと思うんだよね。レオニー、僕の顔も才能も気に入ってると思うしさ」
「くっ……ヌケヌケと……!」
「ダグラスだってそれなりに自信あるんでしょ? レオニーが落ち着くのを待つなんて言葉、むしろ余裕すら感じるし」
「付き合いも長いしな……対等に見てもらえているという自負はある」
「ダグラスはダグラスが考えるようにやりなよ。結局のところ何がいいのかなんてレオニーにしか分かんないし、選ぶのはレオニーなんだから」
そこで言葉を切ったダグラスは、恨めしそうな目で俺を見る。
「なのに、何なんだよお前、急に出てきて勝手なことばっかり言って……もう少し、待ってやれないのかよ」
「僕はレオニーが落ち着くのを待ったりしない」
僕はキッパリとそう口にした。
「なんでだよ……! 可哀想だろ、あんまりじゃねぇか」
「今が大切な時期なんだよ。僕は、このタイミングを逃すようなバカな真似はしない」
「どういう意味だ」
「レオニーはさ、今まではあの王子様の嫁として、護衛として生きるんだって思ってたんだろ? あんな楽しくもなさそうな顔してさ」
「楽しくもなさそうな……ってのは置いといて、妃として護衛として生きるんだと思ってたのは間違いないだろうな」
「で、そんな生き方から思いがけず解放されて、戸惑ってる」
「そうだ。だから、そっとしておいてやりたいんだ」
「僕はそうは思わない」
「なんで……っ」
「何にも決まってない今だから、レオニーには無数の選択肢があるんだよ。それなら、楽しいこと、面白いこと、レオニーが興味を持てること、レオニーが想像もしてないこと、色んなことに触れてさ、たっくさんある選択肢の中からレオニーが選びたい道を掴めばいいんだ」
「……!」
ダグラスが驚いたような顔で僕を見る。
ダグラスだってレオニーの事、一生懸命に考えてたんだと思うけどさ。僕だってちゃんと考えてる。
「レオニーの手持ちの札の中で将来を考える方がよっぽどもったいなくて可哀想だ。レオニーの考えが固まっちゃってからじゃ遅いよ。今ならレオニーに、僕と一緒に笑ってる未来を選んでもらえるかも知れないんだもん。僕は、今しかないと思ってる」
なんならレオニーの周囲……家族や友人や、レオニーの事を狙ってるヤツらも含めて、まだ明確に考えが固まってない段階だからこそ有効な手、ってのはあるもんだ。
「あの王子様と一緒にいるよりは、ダグラスといた方がレオニーは楽しくいられるだろうけど、僕だって負けちゃいないと思うんだよね。レオニー、僕の顔も才能も気に入ってると思うしさ」
「くっ……ヌケヌケと……!」
「ダグラスだってそれなりに自信あるんでしょ? レオニーが落ち着くのを待つなんて言葉、むしろ余裕すら感じるし」
「付き合いも長いしな……対等に見てもらえているという自負はある」
「ダグラスはダグラスが考えるようにやりなよ。結局のところ何がいいのかなんてレオニーにしか分かんないし、選ぶのはレオニーなんだから」
4
あなたにおすすめの小説
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った
五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」
8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。
恩知らずの婚約破棄とその顛末
みっちぇる。
恋愛
シェリスは婚約者であったジェスに婚約解消を告げられる。
それも、婚約披露宴の前日に。
さらに婚約披露宴はパートナーを変えてそのまま開催予定だという!
家族の支えもあり、婚約披露宴に招待客として参加するシェリスだが……
好奇にさらされる彼女を助けた人は。
前後編+おまけ、執筆済みです。
【続編開始しました】
執筆しながらの更新ですので、のんびりお待ちいただけると嬉しいです。
矛盾が出たら修正するので、その時はお知らせいたします。
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
冷遇する婚約者に、冷たさをそのままお返しします。
ねむたん
恋愛
貴族の娘、ミーシャは婚約者ヴィクターの冷酷な仕打ちによって自信と感情を失い、無感情な仮面を被ることで自分を守るようになった。エステラ家の屋敷と庭園の中で静かに過ごす彼女の心には、怒りも悲しみも埋もれたまま、何も感じない日々が続いていた。
事なかれ主義の両親の影響で、エステラ家の警備はガバガバですw
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる