枝豆

杉将

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枝豆

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 枝豆について長々と語る映画を見終わった。枝豆は塩茹でに限る、というセリフしか僕の頭には残っていなかった。席に座ったまま、館内から出ていく客の顔を見てみると、彼らもまた、大した感想を持っていないようだった。みんな、ビールを飲みたそうな顔をしていた。この映画のエンディングは、僕たちがビールのジョッキを傾けたときに、訪れるような気がした。僕は、何かに流されるように外へ出た。
 外は暗く、夜が始まっていた。マナーモードにしていたスマートフォンの画面を確認すると、一件の着信があった。少し前に知り合った女性からだった。折り返しの電話をすると、僕も彼女も、食事をしたいという意見で合致した。僕は無論、塩茹での枝豆を食べたかったので、居酒屋に行こうと言った。彼女はそれを承諾した。実に業務的に話が進み、実に業務的に待ち合わせ場所に向かった。
 僕と彼女は、ほとんど同時に店の前に着いた。二人で店の中に入り、カウンターに座った。僕は今日、枝豆を食べる、と席に着くなり宣言した。奇遇ね、私もよ、と彼女は言い、ビールも忘れずに、と続けて言った。ビールを待っている間、枝豆の映画を観たことを話すと、彼女は目を大きくして、私もよ、と言った。息がピッタリだ、と僕が言い、ちょうどやって来た枝豆とビールを歓迎した。
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