血が吸えない最弱ヴァンパイアは見返すために世界最強となり世直しをしたいと思います。

24話 デイの発展と危機

　あれからしばらくし、ドラは家に到着する。

　家のドアを開けるとドアに付いているベルが鳴るのと同時にアリオンとライズが私を迎える。

 「どうだった？ 」

　帰ってくるタイミングをまるで予期していたかのような様子で私に近づいてくる。

　私は反射的に反応する。

 「フローズの国は凄すぎたよ！ 」

　私は見たものを話す前に印象的だったことを抽象的にアリオンに話したのだが我ながら、語彙力の無さを感じてしまう。

 「どんなふうにだ？ 」

　ほら。

　追加の質問がくるほどの説明不足。

 「建物は鉄筋、ガラスはもちろん。それに、技術的な面で見てもだし、街の整い方が凄かった！ 」

　これでだいぶ凄さが伝わるだろう。

 「それは凄い」

　アリオンは想像より発展していたことに驚いたのか鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。

　ライズも似たような顔をしている。

　だが、ライズは他に何か要求されたことやこれからのあの国への向き合い方などを聞かれた。

 「私はフローズの国と提携をしたんだ」

 「な、何を？ 」

 「自由と平和を国に定着させた方法と引き換えに技術の援助を」

 「いつから、援助が受けれるんだ？ 」

　ライズの問いかけに私は答えることが出来ない。

　なぜか？

　私は、いつから技術の援助を受けられるかを聞いていないし、決めていないからだ。

　私としても、これはやってしまったと絶賛、後悔中。

 「まだ、それは決まっていないんだ」

 「ほら」

　今日決めた交渉の記録とお互いのサインを書いた立派な紙を見せる。

 「本当だな」

 「困ったな」

　アリオンとライズは顔を見合わせて交互にものを言う。

　実際、一番困ってるのは私なんだよなー。

　だって、大事なことを決め忘れた上に勝手に提携をしちゃったし。

　とりあえず、考えても無駄。

　早く寝よう。

　私は今日の疲れのせいかスヤスヤと眠りに入った。


　朝の心地よい陽光が窓からさし、それに気付いたかのように私は目覚めた。

　家の中をぼっーとし、歩き回っているとアリオンとライズがいないことに気がついた。

 「どこに行ったのかな？ 」

　気分転換も兼ねて外で散歩することに。

　だが、ここで事件は起きた。

　私が歩いて街に向かう最中の事。

　かなり離れた森から私を狙い足に狙撃をされた。

　そして、今、右足を負傷中だ。

 「な、何が起きている⁉︎ 」

　この緊迫した状態で私は何も考えれなくなる。

　私の夢が....。

　ここで死ぬわけにはいかない。

　だけど、動けない。

　血はどんどん流れ、右足の感覚さえも消えつつある。

　神経までやられたか。

　困った。本当に困った。

　狙撃手は私を待ったりはせず私の頭部を目掛けて狙撃した。

　その後の事は何も分からない。

　ただ、私は狙撃された自分を見れている。

　その姿は原型を留めていないほどにぐちゃぐちゃしている。

　頭部は赤黒く染まった。

　死んだのか。

　クウとの約束は？

　私、なんで、誰に殺されたの。

　わからない。わからない、けど、何も出来ずにあっさり殺された自分に腹が立つ。

　私はさっきも言ったが死んでいる。


　私が死んでから2日後にはアリオンとライズも殺されていた。

　なぜわかるのか？

　それは、二人の死体が私の横に運ばれてきたからだ。

　こんなに悲しい事はない。

　きっと、あの時、二人が居なかったのは誰かと戦っていたからだろう。

　そんなことに頭がまわらなかった自分。呆気なく殺された自分。この街をすばらしいものにできなかった自分。

　情けない。情けなすぎる。

　街の人も皆殺しなのか？

　いや、たくさんいる。

　だから、奴隷にでもするだろう。

　誰が殺した？

　死後の私は考える。

　そして、一つの答えが出た。

　フローズ。

　奴だ。奴がやったに違いない。

　かなりの腕を持った狙撃手。

　それに、アリオンとライズを倒せる実力者。それらの観点からかなりの大国。

　だから、フローズだと仮定した。