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8 閑話 アメリアの追憶
しおりを挟む泣いているのは誰かしら?
柔らかそうな金色の髪がふわふわとした女の子みたいなお兄さん。
夏のあつい日、花のかおり・・・。
百合の花畑を見ていたら、おかあさまにいただいた大切な帽子が飛ばされてしまって、夢中で追いかけたら泣いているひとをみつけたの。
どこかケガをしてしまったのかしら?
「どこか痛いの?」
わたしが声をかけると、お兄さんは顔をあげた。
何てきれいな緑の瞳なのかしら、まるで宝石みたいにきらきらしている。
「痛くないよ」とお兄さんは言った。
お兄さんはほんとうは痛いのに、がまんをしているように見えた。
ほんとうはおかあさまに差し上げようと思ったのだけど・・・
「これをあげるから元気をだして」
わたしはさっきとったばかりの一輪の百合の花を差し出した。
お兄さんは少し困った顔をしたあと、お日さまみたいにあたたかそうな笑顔でありがとうと言ってくれた。
わたしはとてもうれしい気持ちになった。
そのあと、お兄さんはわたしのなまえをたずねて、
「きみが呼んだらいつでもむかえに行くから・・・もしきみが忘れてしまっても、僕はずっと待っているからね」とわたしにやさしく言った。
お兄さんのなまえは・・・
忘れちゃいけない気がするのに・・・
咽るような満開の百合の香りだけしか思い出せない。
◇
夢を見ているであろうアメリアは、微笑むような穏やかな顔で眠っている。
明け方の薄明かりの中、セルヴィスはそんな彼女の顔をじっと見つめていた。
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