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おともだちから
しおりを挟む私は中学校を卒業するとき、花田君に思い切って告白して、「ごめん」って言われた。
でも「友達ではいたい」とも言ってもらえた。
ただ断るのは悪いからと気を使ってくれたのか、キープぐらいに思われたのかは分からないけれど、私は素直に「ありがとう」と言った。
いちおう失恋したわけだけど、涙も出なかったし、やけ食いもしなかったし、髪も切らなかった。
別々の高校に行くことになっているから、翌日から気まずい思いをすることもないしね。
ちなみに花田君はカナエちゃんに2年のとき告白して、「男は嫌い!」と言われたらしい(クラスは違ったが、何となくうわさを聞いた)。
◇◇◇
花田君とは高校は違ったけれど、本当に友達になれた。
高校の合格発表をラジオで聞いて、私の合格を知ったので、花田君の方から「おめでとう」って電話をくれたのだ。
ひょっとして彼、もともと結構私のことが好きだったのでは…?
中学1年のとき、花田君が面白いと言った漫画を私が知らなかったとき、「真面目っ子は娯楽が少ないな」ってバカにしたみたいに笑われたことがあった。「おもしれー女」ならぬ「おもんない女」である。
こう言われて「あんにゃろ!」という悔しい気持ちより、「好きな子にひどいことを言われた」という悲しい気持ちが勝つのが女子中学生だ。
かといって、男兄弟もいない、お小遣いも限られている私が、少年誌に載っていたその漫画を読むのは難しかった。
代わりにサブカル好きの年上のいとこが、かなりマニアックな本をいろいろ勧めた上に、布教活動と称して何冊かくれた。
中には、私たちがかなり大人になったときドラマ化されて大ヒットしたグルメ漫画の原作者の古い作品もあって、その頃から本当に面白かった。
そのあたりを花田君に勧めたら、「お前、こんなの知っててすげえな」って、すっかりファンになってくれた。
応援ありがとうございます!
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