クロスロード

つよけん

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第一部ルート4「動き出す歯車」

始まり6

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アサトの匂いはとても心地よい…。
ずっと包まれていたかった。
しかし幸せの時間は、直ぐに終わりを告げる。

敵の攻撃を警戒しつつ機人が窓から顔を出して確認をしていた。

「増援を呼ばれたみたいだ。準警戒態勢でロボット達が散らばっていっている。…ここにずっと居るのはまずいからすぐに移動しよう。周囲を囲まれていて逃げ場はないだろう…時間稼ぎが出来そうな屋上に移動しよう。」

機人の指示に従うのは癪だが、アサトの顔に免じて素直に移動を始める。

「あ、あの~…」

完全にアウェー状態だったポルテが話しかけてきた。
シエルが驚いた様子で、

「あんた居たの!?」
「最初からずっと居たよ!?」

ちょっとしたイザコザがあり私も完全に存在を忘れていた。
思い出したアサトは、軽くシエルの今置かれている状況を説明する。

「あまり良い話じゃないけど、機人がシエルを指名手配してるらしく、獣人の街に訪れたらしいんだ。」

シエルと機人はほぼ同時のタイミングで「え?」っと疑問が飛び出した。

「どういう事なの?」

R2-894型に注目が集まる。

「それはおそらく、俺とは別の機人であるR2-917型が指示を出しての行動だろう。」

ポルテが見た事を話し出した。

「確かにR2-894型さんとはまた別の人が手配書を持って来てたよ。」
「グルで罠にかけてるって可能性もあるわよ。」

私は反論した。
また話が脱線しそうだったので、これ以上はアサトの顔に泥を塗るので我慢…。

「じつは…俺は昨日アサトと別れた後に、R2-917型に殺されかけて、命辛々逃げ延びたんだ。信じられないと言う気持ちもあるかもしれないが、今はとにかく半信半疑でもいいから信じてくれ。」

私はプイっと目をそらしながらグッと言いたい事を我慢して渋々首を縦に振った。
シエルがとても申し訳なさそうに、R2-894型に意見を述べる。

「提案があるんだけど、R2-894型やらR2-917型やら言いにくいんで別な呼び方してもいい?もちろん不服なら変えません。」
「呼び名はあだ名でもいいとアサトに言ってあるから大丈夫だ。」

機人の了承を聞いたアサトは、

「そういえば昨日からあだ名考えてたんだけど、全然思いつかなくて…。」

アサトがションボリとしている。

「アリルなんか意見ない?」

アサトが私に助けを求めて来ている。嬉しい反面、機人のあだ名を考えるなど嫌で嫌で仕方がなかった。
差し使いがない程度に適当に答えよう。

「もう数字の語呂合わせとかでいいんじゃない?894だからハクシ。917だからクイナ。」

数秒の静寂が私を焦らせる。
適当過ぎたかなと思ってあたふたしているとシエルが絶賛し褒めた。

「それ使えるわね。ハクシって名前でいいかな?」
「ハクシで大丈夫だ。気兼ねなくそう呼んでくれ。」

適当な回答が採用されると、よくわからない気分になる。
嫌いな機人にまさか自分があだ名をつけるなんて、世界一周を逆立ちで成し遂げるぐらいありえない話だっただろう。

「いい加減喋ってるだけじゃなく移動した方がいいんじゃないの?」

アサトの一言で屋上へと向かった。

私は階段を上がる途中、機人が言葉をかけてきた。

「あだ名の件、感謝する。」
「別にあなたの為につけたわけじゃないわよ。」

何故だか少し照れ臭い…
やはり今後ともハクシとは上手くやっていけそうにないと強く思った。
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