クロスロード

つよけん

文字の大きさ
42 / 93
第一部ルート4「動き出す歯車」

始まり14

しおりを挟む
アリルがへし折ったシステムは、大量の白い煙を出して建物や森の広範囲を白く塗りつぶした。
敵も味方も一切なにも見えない状況である。
俺とハクシが支えていた機械のアームを、一瞬の隙をついて横に仰け反らせた。
大きい着地音と共にこちらの認識が出来ないのか「カクニンフカ…」とそこら中から聞こえてくる。

機転を利かせてすぐにハクシが指示を出してくれた。

「ロボット達は目視認識しか出来ないからこちらを完全に見失っている。今のうちに逃げよう。」
「でもみんな何処にいるかわからないからバラバラになっちゃうよ。」

シエルが心配して聞いている。

「俺は熱感知機能を搭載しているから見える。まずみんなの手を順番に持たせるから、その手の誘導で動いてくれればいい。アリルは動けないだろうから俺が抱えていく。」
「わかった。」

白い煙の中での行動が始まった。
ハクシが全員の手を繋いでいることを確認した時に歩き始める。

「ぐっ…っはぁはぁ…。」

アリルの酸素をかき入れる呼吸音が聞こえてきた。

「や、やっと息が出来た…。」
「この白い煙は何なんだ?」

僕も気になっていた事を、ハクシがかわりに質問してくれた。

「ちょっと!まだ息を整えてるんだから待ちなさいよ!」

アリルは怒りながらも、すぐに説明に入ってくれる。

「この霧はミラージュホログラムシステムに格納されてた映し出す鏡の部分よ。本来ならその煙をすこし出して、そこに自分自身を投影させる為の煙なのよ。要はスクリーンの役割ね。でも起動コードを言えなくて危機的状態だったから、止む終えずシステム自体を破壊して中身をぶちまけたのよ…」
「ふむ、いい判断だ。」
「別にあんたの為にやった訳じゃないわよ!ってかなんで私を担いでるのよ!もう走れるから下ろしなさい!」

アリルはジタバタと音を立てて抱えられながら暴れているらしい。

「結構走って来たけど、ちゃんと逃げられてるの?」

シエルの声が聞こえてくる。

「俺の目の前にまだ数体だけ警備ロボットが残っている。それを抜けてしばらくすれば安全圏だ。」
「はぁ…やっと帰れる…。」

ポルテの間抜けな声は、ハクシがバッサリ切り裂いた。

「なにを言ってるんだ?帰ったとしても、たぶん共犯でクイナに捕まるだけだぞ。」
「うぅ…」
「おっと、そろそろ安全圏だ。」

ハクシが安全圏だと言ってた場所に到着すると、煙もすっと晴れてくる。

「もう下ろしなさい!」

アリルがポコポコとハクシの背中を叩いている。
アリルを地に下ろす最中に僕はみんなに問いかける。

「これからどうするの?」
「色々とややこしい事になってしまったな…一度話を整理しようか。」

僕達は周りの安全を確認しつつ、座れそうな場所にそれぞれ腰をかけた。

「まずはこの場を借りて謝罪したい…」

ハクシが深々と頭を下げた。

「俺の後輩にあたる機人のハクシが、色々と問題をおこしてしまって…。」

問題とは獣人であるシエルの養殖場侵入によって指名手配になった事と、アリルの翼を奪い取り仲間まで洗脳してしまった2つの事象に対しての事であろう。

「別にあなただけの責任ではなく、私も興味本位で養殖場に侵入した事が悪いのだし…。」

シエルは自分にも責任があると感じており、ハクシに丁寧に謝罪している。
一方アリルは、下を向いて黙り込んでいた。
もし自分がその立場に置かれている状態だと耐え切れないであろう…。

「アリルよ。一つ提案があるのだが。」

ハクシは落ち込むアリルに問いかける。

「操られている他の仲間達を開放して翼を元に戻せる方法があるとしたらお前はどうしたい?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

別れし夫婦の御定書(おさだめがき)

佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★ 嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。 離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。 月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。 おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。 されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて—— ※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...