クロスロード

つよけん

文字の大きさ
59 / 93
第一部ルート5「つばさ」

侵入9

しおりを挟む
全力で左右の手を交互に天井に振り抜く。
一発の衝撃で数十センチ程奥へとえぐり取っていき、大きな穴は瞬く間に広がり続ける。
小さい岩から大きな岩まで下にボロボロと音を立て崩れ落ちた。

「ふんっ!…ふんっ!…」

天井へジャンプしては殴り…ジャンプしては殴りを繰り返し、ひたすら同じ動作を繰り返す。
手応えが固いものから柔らかい感触に変わった瞬間を見逃さず、拳に力を溜めて最後の一押しとばかりに天井に特大の一発をぶちこむ。

ど派手に貫通させた穴から、上層へ火山が噴火するかの如く飛び出した。
すぐに周りの状況を理解し、マインドカラー本体がある部屋に飛び出た事を確認。
同時にアリルが囚われている事と、マインドカラーを操作しているとある人物と遭遇した。

「待たせたな!」

試験管の中のアリルに対して言葉をかけるが反応は無い。

「どうしてあなたがここへ来れたのですか…。」

俺に目の前の女の子がプルプルと震えながら問いかけてくる。

「久しぶりだなフィーレ。この養殖場に遊びに来て以来か。」

女の子の名前は『フィーレ』。
フィーレもアサトと同じ故人ではあるが、この養殖場の故人達とはまた別の場所・目的で育てられた存在である。
彼女は繁殖場と言う施設で生まれ育てられた。
我々機人のサポートそするべく最低限の知識を覚え、いわゆるペットとして可愛がられている分類である。
一言で何が違うかと説明をするならば、養殖場の故人は食用であり繁殖場の個人は愛玩用である。

兎にも角にも先に溺死しそうなアリルを救うべく、呆然とたたずんでいたフィーレの前を通りこして試験管へ向かい衝撃を加える。
ひび割れたガラスが中の水圧によって、水と共に崩壊を始めた。
それと同時に一緒に流れ落ちて来たアリルをキャッチする。

「けっほっ…けっほっ…本当に死ぬ所だったわよ!遅すぎる!バカっ!」

弱々しいアリルの手が俺の頬をペシペシと殴った。

「ど、どうして…天人と仲良くしているの…?」

フィーレはうつ向いたまま唇をギュッと噛み締めながら問いかけてくる。

「仲良くしているわけではない、今はただ目的が一緒だから共に行動しているだけだ。」
「…そう…なんだ…。」

ペットはどんな事があっても機人に対しては無害でならなくてはならない…と言う公約を律儀に守っているかのように彼女は反抗したい気持ちを抑えてそわそわと手をギュッと握り込んでいた。

「ハクシ!あれ!私の翼じゃない?」

周りをキョロキョロとしていたアリルが指をさした先に、装置に入った翼があった。
俺はそれを奪還するべく装置の方へ歩み寄っていくと、フィーレは焦りながら必死に腕にしがみつき動きを制止しようとした。

「あれだけはダメ!私がご主人様に殺されちゃう!」

必死な形相で訴えかけてきた。

「お前のご主人は、何かあったのか?」

俺はフィーレにそこまでさせる程に狂いだしたクイナの事を問いかけた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

別れし夫婦の御定書(おさだめがき)

佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★ 嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。 離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。 月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。 おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。 されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて—— ※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

処理中です...