クロスロード

つよけん

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第一部ルート6「終焉」~それぞれの道~

終焉

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「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」

俺は高温状態のクイナ目掛けて突っ込んでいた。
離れていても焼かれるような熱さなのに、近づけば当然のように自分の体は焼かれていく。

「ハクシ!一緒に逃げよう!」

遠くでアサトが叫んでいる。
音も遠く感じるようになってきた。
焼け付く体の痛みを押し殺して、クイナをがっちりとホールドする。

「ん?先輩?どうするつもりですかぁ?無駄な抵抗じゃないですかぁ?」
「どうもこうもない!お前の爆発を阻止する!」

俺には考えがあった…。
無謀な考えではあるが、やってみる価値はある。
自分の体が燃える中、ボロボロになったクイナの体内に手を突っ込む。

「ぐふっ…僕を先に殺せば…爆発が止まるとでも?」

殺すつもりは毛頭ない。
クイナの体内に埋め込まれているを必死に探して、俺は手をぐちゃぐちゃと音を立てながら動かす。
焼けたデロデロの体内はとてももろく、ケーキを素手で握り潰すような感触だった。

「ぐっぐはっ…き、起爆装置を探しても…もう止まりませんよぉ?」

狙いは起爆装置でもない…。
俺が探しているものは…。

「あった!」

感触だけだが、このパーツで間違い無いと確信する。

「…こいつを引き抜く!」

ブチブチと肉を引き裂くような音を立て、長方形型の手のひらサイズのチップを引き抜いた。

「がはぁっ!!!な、何をした!!!」
「…想像以上に苦しいか?ウイルスよ…。」

俺が引き抜いた物は、クイナの記憶装置HDDである。
アサトからウイルスが原因だと言われた時に、脳への直接感染は出来るはずがないと解っていた。
なので消去法でネットワーク経由の時に使う一時保存用の記憶装置HDDの感染しか考えられない。
記憶装置HDDをウイルスが乗っ取っているのならば、そこから指令を出して脳をおかしていると踏んだのだ。
それを取り除く事でクイナ自身の自我を一時的に取り戻すことが出来るかもしれないと踏んだのだ。
一つ心残りがあるとするならば、もう少し早く気づいていれば爆発の起動を未然に防げていたであろう…。
俺があの時にパソコンの電源が付いている事を不審に思い、その場でデータ解析をしていれば、ウイルスの事を事前に察知してクイナは助かったのかもしれない…。
どうこう考えても、今の現状は覆らない。
俺は現実を受け止めて、記憶装置HDDを握り潰した。

「や、やめっ…やめろぉぉぉぉぉ!!!!びぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ。」

悲鳴と共に突然クイナの体に力がなくなり、ぐったりと俺にもたれかかった。
クイナの顔は、もう見るに堪えないただれた姿となっている。
俺の顔も同じように、もう原型は無さそうだな…。
クイナは弱々しくパクパクと口を開閉させた。

「s、先輩…。」

力無き声。
それでも今まで喋ってきたウイルスの言葉とは明らかに違って聞こえる。

「ご、ごめn…なさぁ…。」
「謝らなくてもいい!お前は悪くない!」
「g、m………。」

もう言葉を聞き取る事が出来ない程、口元が動いていなかった…。
俺は正気に戻ったクイナに起爆の根源を確かめて爆発を最小限に抑える方法を考えていた訳だったが、こんな状態では到底何もする事が出来ない…。
まだ残っている歯をギシギシと鳴らし、悔しさを表に出した。
すると突然クイナが俺の体を叩き始める。

『トントントントントン…』

俺はこの合図を良く知っている。
以前にクイナと一緒に研究・解読をしていた古代文明のモールス信号である。

『まだ、爆発、不完全、状態。』

片言だが理解は出来る。
俺は続けて解読を続けた。

『エネルギー、僕、抑えた、まだ、爆発、規模、最小限。』

爆発の威力が抑えられているのであれば、根源さえ断ってしまえばクイナは助かるはずだ。

「俺に起爆の根源を教えてくれ!」

必死に焼け付く唇を無理に動かす。

『無理、不可能、最後、想い、嬉しい、ありがとう。』

その信号を解読し終わった時だった。
俺はクイナの最後の気力により、体が何かに吸い寄せられるかのように吹っ飛ばされていた。
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