1 / 1
自信を無くした少年と一緒にいたい仲間
しおりを挟む
頭がぼんやりする。何も考えられない。
俺は一体、どうなったんだ。
俺はつい数時間前、モンスターの攻撃を受けた。それで、その後パーティのメンバーが護ってくれて……そこからの記憶がない。
『お前なんか誰からも必要とされていない』
声が聞こえてくる。聞き覚えがある声だ。でも誰かまでは分からない。
『今日だってモンスターの攻撃をくらってみんなの足を引っ張っていた。内心みんな呆れていたぞ』
確かに……そうかもしれない。でも俺達の絆は――
『絆?そんなことを思っているのはお前だけだ。みんな本当はお前のことが大嫌いだ』
そ、そんなことはない……
『いや、嫌いだ。リリナが言っていたぞ。お前は何の役にもたっていないと』
嘘だ……!そんなはずはない。リリナは幼なじみで近所に住んでるよく遊んでくれるお姉ちゃんみたいな存在で――
『今は違うだろ?彼女は勇者に選ばれ聖剣を引き抜いた。お前とは住む世界が違う』
……そうかもしれない。ってなんだ!?この思考が上書きされていくような感覚は……
違う!リリナもグレースも俺たちのパーティはみんな家族みたいな関係で――
『同じく勇者に選ばれたグレース、聖女に選ばれたライラ、かつての英雄の末裔であるジェーン、そして……何物でもないただのお前。釣り合ってないんだよお前は。このパーティーはこの私、じゃなかった。王子であるイール様にこそふさわしい』
この人の言葉が重く頭の中に響いてくる。思考が書き換えられていく……
……確かに。その通りだ。釣り合ってない。俺はパーティに……必要……ない……俺は無価値だ……なんの意味もない……一緒にいちゃ行けないんだ……イールこそがふさわしい……俺はいちゃいけないんだ……
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
「ようやく起きたか、ゴミ」
拠点のベッドで目を覚ますとそこにはイールがいた。
イールは俺たち幼なじみで構成された魔王討伐隊に急に入ってきた人物で……少なくとも俺よりはみんなの役にたっている。
「……イール、みんなのことを任せた。俺はこのパーティを抜けるよ」
とにかく早く出ていかなきゃ行けないような気がした。俺は足でまといだから早くみんなから離れなきゃ。
「くっ!ははははは!!どうやら洗脳は成功してい――なんでもない。そうだな善は急げだ。そろそろみんな帰ってくる頃だ。みんなに報告してこい」
「……わかった」
俺が部屋を出た瞬間に玄関の扉が開いた。
「……ッ!!フエル!傷はもう大丈夫なの?痛いところは?」
リリスが俺の……俺なんかの方に駆け寄って心配そうに身体のあちこちを見てくる。
きっと普段の俺なら、
(心配すんなって!)と答えていたのだろう。でも今考えたらおかしな話だ。
だって俺とリリス……勇者様達は住む世界が違うのだから。
「大丈夫……です……勇者様」
俺は一体、どうなったんだ。
俺はつい数時間前、モンスターの攻撃を受けた。それで、その後パーティのメンバーが護ってくれて……そこからの記憶がない。
『お前なんか誰からも必要とされていない』
声が聞こえてくる。聞き覚えがある声だ。でも誰かまでは分からない。
『今日だってモンスターの攻撃をくらってみんなの足を引っ張っていた。内心みんな呆れていたぞ』
確かに……そうかもしれない。でも俺達の絆は――
『絆?そんなことを思っているのはお前だけだ。みんな本当はお前のことが大嫌いだ』
そ、そんなことはない……
『いや、嫌いだ。リリナが言っていたぞ。お前は何の役にもたっていないと』
嘘だ……!そんなはずはない。リリナは幼なじみで近所に住んでるよく遊んでくれるお姉ちゃんみたいな存在で――
『今は違うだろ?彼女は勇者に選ばれ聖剣を引き抜いた。お前とは住む世界が違う』
……そうかもしれない。ってなんだ!?この思考が上書きされていくような感覚は……
違う!リリナもグレースも俺たちのパーティはみんな家族みたいな関係で――
『同じく勇者に選ばれたグレース、聖女に選ばれたライラ、かつての英雄の末裔であるジェーン、そして……何物でもないただのお前。釣り合ってないんだよお前は。このパーティーはこの私、じゃなかった。王子であるイール様にこそふさわしい』
この人の言葉が重く頭の中に響いてくる。思考が書き換えられていく……
……確かに。その通りだ。釣り合ってない。俺はパーティに……必要……ない……俺は無価値だ……なんの意味もない……一緒にいちゃ行けないんだ……イールこそがふさわしい……俺はいちゃいけないんだ……
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
「ようやく起きたか、ゴミ」
拠点のベッドで目を覚ますとそこにはイールがいた。
イールは俺たち幼なじみで構成された魔王討伐隊に急に入ってきた人物で……少なくとも俺よりはみんなの役にたっている。
「……イール、みんなのことを任せた。俺はこのパーティを抜けるよ」
とにかく早く出ていかなきゃ行けないような気がした。俺は足でまといだから早くみんなから離れなきゃ。
「くっ!ははははは!!どうやら洗脳は成功してい――なんでもない。そうだな善は急げだ。そろそろみんな帰ってくる頃だ。みんなに報告してこい」
「……わかった」
俺が部屋を出た瞬間に玄関の扉が開いた。
「……ッ!!フエル!傷はもう大丈夫なの?痛いところは?」
リリスが俺の……俺なんかの方に駆け寄って心配そうに身体のあちこちを見てくる。
きっと普段の俺なら、
(心配すんなって!)と答えていたのだろう。でも今考えたらおかしな話だ。
だって俺とリリス……勇者様達は住む世界が違うのだから。
「大丈夫……です……勇者様」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>
ラララキヲ
ファンタジー
フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。
それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。
彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。
そしてフライアルド聖国の歴史は動く。
『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……
神「プンスコ(`3´)」
!!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!!
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇ちょっと【恋愛】もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる