おにぎりレシピ

帽子屋

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はじまっていた日 12:31~

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昼時のコンビ二は長蛇の列が出来ており、朝の路線混乱から正常運転、いつも通りの日常を取り戻しているようだった。梅先と紫野の二人は、3件目のコンビ二の中をぐるりと一周してまたしても手ぶらでその自動ドアを出た。
「寒ッ」
冷たい風に紫野は上着を持ってこなかったことを後悔した。
「朝の気温が嘘のようだね。まさに異常気象、超自然的現象だったと思わないか、紫野?」
上着をきちんと持って出てきた梅先は、4月の初旬の平均気温に身をすくめる後輩に声をかけた。朝の異常な気温上昇はいったいなんだったんだろう。やはり超常現象だったのではないか。梅先はいまだ出会ったことのない、ではない現象、状況に思いを巡らせていた。
「そうっすねーこの寒さは超常現象かもしれないですねー マジ、さみぃ」
手配書片手のあてどもない新人探し、3件目のコンビ二も空振りだった紫野は一つ大きく溜息をつこうとしたが、口からは盛大にくしゃみが出ていった。
「この時期はこれぐらいの気温で普通だよ。朝の暑さが異常だったんだ。その異常な暑さがこうも簡単に落ち着くなんて、普通じゃないと思わないか?」
「あー えーっと、そうっすね……うん、そうかもしれないっす。しっかし新人どこにいるんすかねー」
寒い外気とは裏腹に、梅先の熱い眼差しからほとばしるオカルト熱にあてられまいと、次のコンビ二に向かいながら紫野は話を変えようとしたが「新人……まさか、神隠し?」梅先は過熱する一方のようだった。「いや。それはない。ないでしょ。ないない。てか、梅先さん本気で言ってま……」『す? ……言ってるネ、この人』
「何かが起きようとしている……いや、もしかしたらもう始まっているのかも……」
梅先はひとりごとを呟き始め、紫野の完全否定はそれを止めるどころか耳にも入っていない。
「ちきしょー……古津のやつどこにいるんだよ。俺が風邪ひいちまうじゃねえか。しかも煙草も忘れてきたし……」
こうなった梅先には何を言ってもから当分帰ってこないだろうと、紫野は会ったこともない手元の履歴書、新人の顔写真に向けて何度目かの文句を吐き、今度こそ溜息をついた。

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