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第一楽章
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「サプラ~~~~~~~~イズ!!!」
博物館にあるM110A2の砲身のような筒を手にした男が叫んだ。
その砲口から発射されジムの体に当たったのは、正確には、筒からぴょんと下へ降りて(落ちて)辛うじて、ジムの膝下辺りに体当たりしたか、蹴りを入れたか、或いは床への落下後に足を踏んづけてどこかへ散らばっていった、白や茶色の柔らかい何か。兎に角、M201榴弾砲ではない。
「って少しは感動してよ。君の為に、飾り付けまでしたんだからさ。大変だったんだから」
ジムの目の前には独りハロウィンのようなタキシードにシルクハットを小脇に抱えた男。
何故だ。
周囲は、オフィスとは名ばかりの花や草木や鳥が飾られた壁。
な・ぜ・だ。
感動?感動どころか、目眩を覚えている。気のせいじゃない。気が遠くなりそうだ。
俺は生きて帰れるのか?
……落ち着け、俺。
ジムが招待されたティーパーティへ出掛ける前に悲痛な顔をしたブライアンは『気を確かにな』と言ってジムの肩に手を置いた。その横でウミガメの箱を抱えていたホリーは(仕事の指令が出たので広げていた卵を仕舞い込んでいる最中だった)眼鏡の奥から真剣な眼差しで『隊長、気を強く持って』とエールを送った。
教えてくれ。
どうやってこの状況で“気”を、確かに、強く、持つんだ?
その時、口達者を自負するロンはと言えば、二人の意見に乗り遅れまいと『チェシャネコだけに、消されないように注意っす』と変人との邂逅を知らないくせに意味深なことを言った。お前の口を消してやろうか、ちらと過ぎったことをロンに言わず来たことを、ジムは今少しだけ後悔していた。
「うーーーーーん。君は、本当に、表情ってものから何も読み取れないね。まあいいや。わからないんだから、心から驚き喜び感激し、そしてこの招待に感謝している。そういうことかもしれない。さぁ、どうぞ」
頭を大きく左右に振りながら、ジムの顔をあらゆる角度からのぞいた男は一人納得すると、黒い砲身のツバをくるりと回転させて頭へ乗せ、パーティ会場へと案内した。
テーブルクロスが敷かれた上には、きちんと折られたナプキンに、ナイフ、フォーク、スプーン、ストレナーが行儀良く並び、ティーポット、ティーカップ・ソーサー・ティースプーンのスリーピース、三段のケーキスタンドには下からサンドイッチ、スコーン、そしてケーキが載っている。その横には、シュガーとミルクだろう。
ティーポットが置かれた側の椅子に手を掛けた男は、反対側の椅子の前で立ち尽くすジムに、どうぞ、と掌で示した。
「座ってよ。それとも君は、座れ、と命令されないと座れないの?僕は別に君の上司でも何でもないけど」
ジムが無言で椅子を引くと満足したように変人は座り、両肘を机について手を組みそこへ顎を乗せた。
「さあ。お茶会を始めようじゃないか。わんちゃん?」
組まれた手の上の顔は、まさにチェシャネコそのものだった。
博物館にあるM110A2の砲身のような筒を手にした男が叫んだ。
その砲口から発射されジムの体に当たったのは、正確には、筒からぴょんと下へ降りて(落ちて)辛うじて、ジムの膝下辺りに体当たりしたか、蹴りを入れたか、或いは床への落下後に足を踏んづけてどこかへ散らばっていった、白や茶色の柔らかい何か。兎に角、M201榴弾砲ではない。
「って少しは感動してよ。君の為に、飾り付けまでしたんだからさ。大変だったんだから」
ジムの目の前には独りハロウィンのようなタキシードにシルクハットを小脇に抱えた男。
何故だ。
周囲は、オフィスとは名ばかりの花や草木や鳥が飾られた壁。
な・ぜ・だ。
感動?感動どころか、目眩を覚えている。気のせいじゃない。気が遠くなりそうだ。
俺は生きて帰れるのか?
……落ち着け、俺。
ジムが招待されたティーパーティへ出掛ける前に悲痛な顔をしたブライアンは『気を確かにな』と言ってジムの肩に手を置いた。その横でウミガメの箱を抱えていたホリーは(仕事の指令が出たので広げていた卵を仕舞い込んでいる最中だった)眼鏡の奥から真剣な眼差しで『隊長、気を強く持って』とエールを送った。
教えてくれ。
どうやってこの状況で“気”を、確かに、強く、持つんだ?
その時、口達者を自負するロンはと言えば、二人の意見に乗り遅れまいと『チェシャネコだけに、消されないように注意っす』と変人との邂逅を知らないくせに意味深なことを言った。お前の口を消してやろうか、ちらと過ぎったことをロンに言わず来たことを、ジムは今少しだけ後悔していた。
「うーーーーーん。君は、本当に、表情ってものから何も読み取れないね。まあいいや。わからないんだから、心から驚き喜び感激し、そしてこの招待に感謝している。そういうことかもしれない。さぁ、どうぞ」
頭を大きく左右に振りながら、ジムの顔をあらゆる角度からのぞいた男は一人納得すると、黒い砲身のツバをくるりと回転させて頭へ乗せ、パーティ会場へと案内した。
テーブルクロスが敷かれた上には、きちんと折られたナプキンに、ナイフ、フォーク、スプーン、ストレナーが行儀良く並び、ティーポット、ティーカップ・ソーサー・ティースプーンのスリーピース、三段のケーキスタンドには下からサンドイッチ、スコーン、そしてケーキが載っている。その横には、シュガーとミルクだろう。
ティーポットが置かれた側の椅子に手を掛けた男は、反対側の椅子の前で立ち尽くすジムに、どうぞ、と掌で示した。
「座ってよ。それとも君は、座れ、と命令されないと座れないの?僕は別に君の上司でも何でもないけど」
ジムが無言で椅子を引くと満足したように変人は座り、両肘を机について手を組みそこへ顎を乗せた。
「さあ。お茶会を始めようじゃないか。わんちゃん?」
組まれた手の上の顔は、まさにチェシャネコそのものだった。
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